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2008.7. 6.Sun

タイトル

今日は木村みな展の最終日で、木村さんの80歳を超えても、まだまだ大変お元気でいらっしゃる、おばあさまの半生を聞き入った。
人間、いかに向上心が大切であるかということが,戦後の焼け野原から生き延びてきた苦労話から伝わってきた。
作家さんのお母さんが、当人もの生き方に影響を与えたであろうことは、想像にかたくないが、しかし、祖父母からの教養的、芸術的な感化というものもかなり大きい影響力があると思う。
今回は,作品を見た方のイマジネーションが強くて、もっと,タイトルを他の言葉にしたらどうかというような意見がみられた。
昨年の個展の会期中に、かなりお若いにもかかわらず、熱心に「古事記」のような古典文学を読んでいた木村みなさんの宇宙観はもっと深いと思われる。
そこで、作品のタイトルをつける時の表現する言葉のありかたが今後の課題となったようだ。
扇に俳画を描いたり、俳句を作るなど、いろいろなことをなさっているおばあさまにタイトルをつけてもらうのもいいかもしれない。

2008.7. 9.Wed

搬入時のお客様

搬入時のお客は,最重要顧客と思って間違いない。
搬入で躍起になっている作家を尻目に私は,お客に笑顔で接し,ある時はお茶やビールを差し出し、
作家そっちのけで,お客と対談。飾り付けが終わる頃には,お客は上機嫌で、誰にも邪魔されずに、最新のコレクションを手に入れてほっと一息。そう、搬入時にお客が顔を出したら,買ってもらえると思って間違いはない。
しかし、そんな私の重要顧客を帰れとばかりに睨みつけた作家がいた。冷たい視線を投げ掛け、私の大切なお客様に憮然とした態度を取ったのである
彼はたぶん個展の会期中なら、そんな態度はとらず、ひたすら、お客様に愛想を振りまいたにちがいない。しかし、搬入時には精神的に非常に緊迫していたと思われる。仕方がないと言えば仕方がないのだが、そんなささいな瞬間にも,人となりというか、人間性がうかがわれ、ファンを逃してしまうことがあるのである。
そのお客様は、いつも産地直送のおいしい干物やお漬け物などをもってきてくれる。これがまた選び抜かれた一級品ばかりで,このお客さんがいらした時は,パブロフのイヌではないが、心からうれしくなる。
人間,真心と取り巻きが大事だねと一言。
今週の段ボール素材をタイルばりのように貼付けてモザイクしてできた、おづたかしの大作にこれこそ,芸術だね、魅力があるね、いいねえとの言葉はうれしかった。リアルに感想を伝えてくれるお客様には感謝の気持ちでいっぱいです。

2008.7.11.Fri

キャンセル

10月初旬の週にキャンセル空きがでた。だいたい、こういうことは予想内なので,あまり慌てないのだが、しばらくは、様子を見て、それからどうしてもあいてしまいそうなら、グループ展を組むことにしている。お決まりの羅針盤セレクションである。
来年は、想像以上に早い予約のいりのため、グループ展の企画をいれることができなくなった。
しかし、お客さんが小品の展覧会を楽しみにしているので、羅針盤セレクションもやりたいと思っている。

2008.7.11.Fri

紹介

この頃,何かと依頼が多い。
『頼まれごとが多いことは、いいことなのである』という信念に基づき人にはなるべく親切を心がけている。
そうでないと、自分という人間が誰の役にも立たないような人間になってしまうだろう。
人間を高める為のトレーニングくらいのつもりで、一銭にもならないようなことにまで奔走するのが、日々の勤めと思っている。
新ギャラリーオープンの新人の企画展の紹介に始まり、キャンセルなどの言い渡し、展覧会の推薦の資料や問い合わせ、ファイルの引き渡し、いろんな業者の紹介,仕事の斡旋、人の紹介、作品のプレゼン、記事の依頼や取材の申し込みなどなど、何かと雑多な用事ばかりである。それが結構、時間のかかることばかりで,難儀である。
頼む方は簡単に頼むが、引き受けた方は何かと電話したり,ファックスしたり、大変なのである。
作品を売買することを中心にして、すぐに利益に結びつくようなこと以外は全部断れたら、どんなに忙しくなく,心平和に暮らせるだろうと、ひそかにそんなユートピアを夢見るが、修行僧であった祖父母の血か、そうはいかない。
『ギブ&ギブの人生が送れたら素晴らしい』(もとギャラリー経営者であり,コンサルタントである、私の尊敬する野田保さんの言葉)のだと思って、日々修行の毎日を送ろう。

2008.7.12.Sat

会場風景-おづたかし-

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2008.7.18.Fri

境に引く線

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2008.7.18.Fri

おしゃれな絵

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毎週必ず画廊に来る訪問客がいる。
自称、福の神。
僕がいると絵が売れるよといって、お留守番のアルバイトをせがむ客なのである。
画廊に集うメンバーは、時折、ゲゲゲのきたろうにでてくるような個性的な妖怪のようにおもしろい人物ばかりで、全く飽きない。
この日も、あやかったので、上記の絵が売れた。
ギャラリー山口に野見山先生の絵を見にきた方で、上品な女性客である。
この絵、とってもおしゃれね、といって購入して頂いたのだが、中田恭平くんは、どぎまぎしながら、
たいそう興奮気味のご様子。
それは、生まれて初めての展示で、生まれて初めて絵が売れたというので、それはそれはうれしそうであった。


2008.7.19.Sat

ワンピース倶楽部

1年に一つの作品を購入し、画廊界を活気づけようという趣旨のもと、コレクターが集う『ワンピース倶楽部』という会に時々、顔を出している。しかし、私は購入してもらう方なので、会員にはならない。ひたすら、勉強のつもりで参加している。
昨日は、憧れ(?)の小山登美夫の話を聞きたくて、参加した。
もともと人見知りが強く、社交が苦手なので、自分なりにがんばって参加してみたのである。
小山氏は、たいへん博識で、しかも経験豊富で、話を聞いてるだけで、圧倒されそうなタフさをもった方であった。同じ年とは思えないほどのスケール感を持った人物という印象だ。
スタンスが違うとはいえ、世界の美術のマーケットに詳しいので、非常に刺激になった。

2008.7.19.Sat

ゴロニャン方式

この頃の作家さんは、プレゼンテーションに熱心である。
クリステイーズ香港の敏腕デイレクターがアジアのマーケットを変革したということは先日、小山氏から伺ったが、シンガポールに拠点を置くゆめアートからの作品購入においても、作家本人とオーナーが直接、逢うことが条件となっている。作家本人にプレゼン能力とコミュニュケーション能力がなければ、その場で、販売交渉は成立しない。
クリステイーズ香港の敏腕デイレクターの話からもそう思ったのだが、これからは、作家本人も個人事業主でなければ成功はおぼつかないだろう。
今までの画商という役割分担は、今後どのような役割に変化してゆくのだろうか。
さて、そんな若手作家の作品が青田買いのように海外投資家の手に渡る風潮の中で、いかにも日本らしいプレゼンの仕方が『ごろにゃん方式』である。
この言葉は、とある大学教授から聞いた言葉だが、有力な評論家などに、猫なで声で近づき、頭をなでなでしてもらいながら、のし上がってゆくというものである。
この手の作家には、女性が多いと思うのだが、なかなか有効な手だてのようである。

2008.7.24.Thu

中学生

永田義信展を見にきたかわいい女の子三人。
どう見ても中学生。
画廊に入るなり、わあー、すごーい、、、、このおじさんちょーかっこいいと奇声。
画面にはいっている、ローマ字を読み出した。
あいしているのか、、、いないのか、、、アーーー読めた。
中学生を馬鹿にしてはいけない。ビビットな感性なのである。
画廊に行き慣れているおしゃれな学生らは、女子美の付属の中学生。
それをまぶしそうに眺めているのは、私の姪っ子のももちゃんである。
なんかちがう、、と、九州の田舎の中学生はおばちゃんの後ろから彼女達を見ていた。
夏休みになった中学一年生のももちゃんは、何を血迷っているのか、おばちゃんの画廊を継ぐと決めている。
今年,中高一貫の名門中学にはいったばかり。
西洋美術館でコローを鑑賞。
博物館で、恐竜を見、伊東屋で文房具を買ってゴキゲン。
元,国語の先生だったおばちゃんとしては、教えたがる思いを止めることが出来なかった。
しかし、モナリザの作者をすらすらと言えたのには驚いた。
中学生と言えども,馬鹿には出来ない。

2008.7.24.Thu

あいしているのか、いないのか

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2008.7.27.Sun

あいうえお はひふへほ

姪のももを連れて、奥野ビルのギャラリーに行った。
地下の階段下のギャラリーで靴の足跡をかたどった絵にももは反応する。
『おもしろいねえ』振り返りざま、ここもギャラリーかと問う。
さらに銀座一丁目というギャラリーで、ももちゃんは叫ぶ。
『あ、猫集会だ』
そして、猫の絵がらのピンバッチを見つけた。150円。
にんまりしながら、オーナーさんにお金を差し出した。
そして、自分の住所を書いた。
「もえもえ(萌々)なんだあ」と声をかけられたところ、いつになくはっきりした声できっぱりと言い放った。
「も も  です」
ももは、ミヒャエルエンデのモモなので、もえもえではないと後でおばちゃんに語って聴かせた。

以下の詩は 姪のももが小学4年生の時に毎日新聞に掲載された詩である。

あいうえお に はひふへほをつけたら
あは いひ うふ えへ おほ
なんだか たのしくなってくるよね

おかざきもも


ももは昨日九州の家に帰った。
空港について、大好きなコカコーラを飲んだ。
そして,別れたあと、『今搭乗口に着いたよ!緊張するなあ』と絵文字付きのメールをくれた。
今どきの中学生は,メールで返答するのである。

モモのパパは、佐野紀満のファンである。
倉庫会社の役員なのだが、常務室には新たに3点の新作が飾られていることだろう。
ももとぱぱは画廊に来るなり、佐野くんの絵に釘付け。
これもあれもと親子で選び、3点をゲットした。
母と弟とももで買い占める日も近い。

2008.7.27.Sun

いまどきこんな絵

アートソムリエの山本さんが以下のようなブログを書いてくれていた。

『ギャラリー羅針盤に行ったが、入るなり社会主義国のポスターかと思うような絵が目に飛び込んできた。よく見ると板を掘ってあり、版木のようなものに色をつけたような作品だ。いまどきこんな絵を描いている人もいるのだと、やや驚く。』
さらに
『前述した永田義信さんは、筑波大学を卒業し、2006年には青木繁記念大賞を受賞しているし、二紀会でも既に同人であるがこれではとても絵では食えないだろうと思ったが、やはり学校の美術の先生をしているようだ。流行を追うのはやさしいが、いまどきこんな絵を描いているところが好きだ。』

「今どきこんな絵」なので、ある種の異様なインパクトがあり、かなりの反響があり、貨幣と利殖の業界の新聞紙に大きく一面で、若手作家のホープとして紹介されることになった。

2008.7.29.Tue

エクアドルの帆船

先日、国立近代美術館にイタリア現代陶芸の巨匠であるカルロ・ザウリ展を見に行った。
ちょうど、ギャラリーガイドの日で、講義を聴きながらの展覧となった。彫刻に触ることもできて、たいへんおもしろかった。
見終わった後、2Fのレストランでハーフサイズのチキンとビールを頼んだ。クイーンアリスは有名店だけあって、料理は格別においしい。午後のテラスにでて、暮れてゆく空の様子をみながら、のんびりするのがいい。
日が暮れる前に相棒を誘って、晴海に寄港しているエクアドルの帆船を見に行った。世界の艦船の専属カメラマンから、今日は入れないとの情報だったが,午後からは一般公開をしていたので、甲板で潮の香りを楽しむことが出来た。練習船の帆船なので、小さいながらもシルエットは美しい。
艦船マニアらしき人物がいるので,話しかけると,これから来航するいくつかの船の情報を教えてもらった。
月刊誌『世界の艦船』編集部に勤めていたのは10年も前のことだが、艦船マニアは今も健在のようだ。
以前,日経ラジオに出演したとき、クラムアートの大西さんが軍艦の話ばかり、聴きたがり、本題のアートの話に戻るのが後回しになった、羅針盤のルーツは軍艦なんだと納得していただければよかった
だけのさわりであったのに。

2008.7.29.Tue

旗ふり海賊

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2008.7.29.Tue

田村正樹展

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2008.7.29.Tue

永田義信展

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2008.7.30.Wed

万葉集おたく

私の教員生活最後の教え子に万葉オタクがいた。
おたくもいろいろだが、艦船オタク、美術オタク、などなどオタクを相手に商売をしてきたが、高校生の万葉オタクは,今はなんと大学の講師なのである。英文科に進み、ランボーが専門だ。
私ことコユ先生にはジルドルージュの翻訳本をプレゼントしてくれた。
学習塾の先生と大学で英文学を講義しながら、生計を立てている。その知的ながらもあどけなかった万葉オタクの教え子も昨年結婚した。
ふたりの台所に飾る絵に田村正樹の絵が選ばれた時、その絵が象徴するものは何だろうかと考えた。
二人の台所にはあたたかな空気が流れているのだろうと思った。
平和そのもののようなやさしい空気。話さなくても、阿吽の呼吸で分かり合える程よい距離感。
田村正樹の絵には、そういう人と人が寄り添ってちょうどいい距離感というものの心地よさがあるのだろう。


 


   

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