この頃,何かと依頼が多い。
『頼まれごとが多いことは、いいことなのである』という信念に基づき人にはなるべく親切を心がけている。
そうでないと、自分という人間が誰の役にも立たないような人間になってしまうだろう。
人間を高める為のトレーニングくらいのつもりで、一銭にもならないようなことにまで奔走するのが、日々の勤めと思っている。
新ギャラリーオープンの新人の企画展の紹介に始まり、キャンセルなどの言い渡し、展覧会の推薦の資料や問い合わせ、ファイルの引き渡し、いろんな業者の紹介,仕事の斡旋、人の紹介、作品のプレゼン、記事の依頼や取材の申し込みなどなど、何かと雑多な用事ばかりである。それが結構、時間のかかることばかりで,難儀である。
頼む方は簡単に頼むが、引き受けた方は何かと電話したり,ファックスしたり、大変なのである。
作品を売買することを中心にして、すぐに利益に結びつくようなこと以外は全部断れたら、どんなに忙しくなく,心平和に暮らせるだろうと、ひそかにそんなユートピアを夢見るが、修行僧であった祖父母の血か、そうはいかない。
『ギブ&ギブの人生が送れたら素晴らしい』(もとギャラリー経営者であり,コンサルタントである、私の尊敬する野田保さんの言葉)のだと思って、日々修行の毎日を送ろう。