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2010.1.14.Thu

今年も宜しくお願いします。

2010年を迎えました。
コンパスをしばらくお休みしておりましたが,今年はブログも充実させたいと思っています。
冬休みは,実家に帰省し、父母と過ごしました。
鹿児島の桜島は、このところ、噴火続きです。
噴煙が上がりっ放しですが、今に大爆発が起こるのではないかと母は云っていました。
空港まで車で元気よく迎えに来てくれた母と錦江湾の湾岸道路沿いの黒酢レストランの近くに松下美術館があったので、のぞいてみました。
キスリング、ピカソ、モネなど、個人美術館とは思えないほどの充実ぶりです。
個人美術館としては、かなり有名な美術館とのことでしたので、鑑賞出来てよかった。
正月には、明日香ギャラリーに挨拶に行きましたが、シューズデザイナーの明日香さんと陶芸家のお父さんとギャラリーオーナーのお母さんに正月料理をご馳走になりました。
芸術談義に話は盛り上がり、楽しいひとときでした。

2010.1.16.Sat

作家のいい分

ある作家さんのブログです。以下。。。

老舗の画廊が次々と閉廊している。

しかし、活きの良い画廊はそんなことには関係なく・・・。

とうことで、またまた銀座に数時間いました


こわれたなー。これまでの美術界。

学閥なり、画壇なり、美術の階段を、巨匠たちの作品を買い支えてきた老舗ギャラリーが、とうとう目に見えて崩壊し始めたのだった。

コレクターが、そういう権威という日本独自のマーテットの在り方にノーをつきつけた

1980年代までは、土地、日本の景気、芸術作品の価値は右肩上がりで、下がるなどという事態を想定していないから、画商さんは高額の作品を売る場合、慣習として、売り手に、いつかいらなくなったら、売ったときと同額で買い取ることを約束してきた。

何年も経って、価値の上がった作品を、売ったときと同額で買えるとすれば、画廊側も都合がいいというシステムでした。インフレ信仰だな。

ところが、今現在、デフレがすすんで、1980年代までの景気のいい時代に作品を買った方々が寄る年波で物故し、遺された子供が、受け継いだ作品を持て余し、色々な所に買い取りを求める。

しかしその時、このマーケットの崩壊で、買ったときのような値段で、買ってくれる所が一つもない。

そこで、売ったときと同額で買い戻すと言う画廊の言葉をたよりに買い戻してくれと、持ち込んでくる。しかし、買い戻すほどの力がもう無い・・・廃業。

これからは、美術作品にプレミアがつかない時代に入ります。まったくの実力次第。

リーズナブルな値段で、自分の目利きだけで権威に関係なく作家を選ぶ画廊だけが生き延びている。


というようなブログを見つけました。
作家さんを侮ってはならないというのが10年の画廊経験の私事の教訓です。

作家さんと深く関わってこそ、見えてくる実情があります。
知性も感性も優れて、さらに先見性もあるアーチィストの鋭い意見は、耳をダンボにして聞かなくてはならないでしょう。

私のささやかな経営手腕は、愛する作家の切実なるため息に耳を傾けるだけというささやかなことだけという気もします。

2010.1.16.Sat

カロンズネットから

すばらしいレビューをカロンズネットの小金沢さんが書いてくれた。

カロンズネット執筆:小金沢智 2010年1月11日更新

今、アートスペース羅針盤が大変なことになっている。個展を開催しているのは画家の西川芳孝。日本画出身の西川が試みたのは、会場の壁面全てを水墨画で覆うインスタレーションだ。同様の試みは一昨年の同所での個展でも行っているが、ポートフォリオを見るかぎりそのスケールは格段に増している。展示壁面はもちろんのこと、事務所のドアまで作品に覆われているのだから。

作品には、作家によると宇宙のイメージである地の上に、大きな鳥が数羽描かれている。タイトルは《鳥》(墨・墨汁・胡粉・膠・新鳥の子紙、2009-2010)。宇宙とは作家の話を聞くまで考え及ばなかったが、夥しい数描かれている球体はエネルギーの塊のごとく、ケモノの眼球のようでもあり、荒々しい筆致が迫力に拍車をかける。重苦しくもあるが、そのため白い線のみで描かれている鳥の軽やかさが引き立つ。大きなものに包まれている心地がし、優しさも感じる大作だ。

2010.1.17.Sun

佐藤美術館のコレクション展

午後、山本冬彦のコレクション展を見に行った。
羅針盤で購入してくださった作品もあり,懐かしく嬉しい限りだった。
とにかく、純粋に作品を楽しめるのがいい。
昨日は、山本冬彦のコレクション展のNHKの取材もあったようで、羅針盤にもギャラリーツアーの方々と来てくださった。

2010.1.28.Thu

ベートーベン

ベートーベンのコンサートに誘われたので、池袋にある芸術劇場に行く。
田園など有名な曲ばかりだが、やはりすごいと思わずにはいられない。
あまり音楽には詳しくないが,小学生の頃からクラリネットを習っていたので、音にはうるさい。
クラリネットの音色が大好きだ。
モーツアルトが好きだった。
いつのまにか弟が私の買ったレコードを聴いていて、モーツアルトにはまっていたのには驚いた。
兄弟というのは,間接的にでも影響を与え合うものなのか?

今日は昼間にスパンアートギャラリーに行ったが、種村さんがいらっしゃったので、すこしお話をすることが出来た。
種村季弘というドイツ文学者に傾倒した20代であった。
ドイツのホフマンに夢中だったことがある。
種村季弘先生のご子息さまがスパンアートギャラリーをなさっているとうわさで聞いたが、なかなか御会い出来なかった。
種村先生は私の恩師であり、現代美術の水先案内人でもあった。
とにかく,早口で、博覧強記で、その後、書物を読みあさったものだが、頭の回転は全く追いつかない。
憧れるばかりで、近寄ることも出来ず、ギャラリーを始めた時に挨拶も出来ないほどだったが、こうして、息子さんとお話が出来るなんて,なんだか不思議でならない。
お父さんとは何か違うなあと思うけれど、すこし面影があったりして、なんだかそばにいるだけで嬉しかったりする。

2010.1.30.Sat

羅針盤セレクション

1970年生まれの女性作家の展覧会を開催中。
評論家の評判もよい。
レベルの高い展覧会だ。
ここ数年の間に実力が発揮され、個性があり、画面に強度がある。
今日は、金曜日なので、9時まで開いたが、たくさんの人で大賑わいだ。
活気があり、楽しい雰囲気に溢れている。
ビールをたくさん買ってきてくれる作家さんもいて、その場で宴会だ。
寒い冬の日にたくさんの人が集まっていることは、なぜか,心まで温まるような気がする。

2010.1.30.Sat

ご冥福を祈ります。

「どうして、三十年もやっていた画廊を閉じる決心をしたんですか?ずいぶんお悩みだったんでしょう。さみしいじゃないですか?山口さんがいてくれたから、うちもがんばってこれたんです。」というと、
山口さんは、「ごめんね、ありがとう」とこちらを見ずに目を伏せたまま応えた。
それが最後の会話になろうとは知る由もなかった。
実に1999年の春に羅針盤をオープンしたが、2010年のいままで挨拶程度にしかつきあいがなかった。
それもこれも、あまりに経営に困難を極めており、その解決案に必死すぎて、こちらに余裕がなかったためかもしれない。
なんとか,危機を乗り越えてきたが、やはりなんといっても、皆様のおかげでということかもしれない。
三十年も続いたのだから、皆様のおかげということは重々承知のことだろうが、周りの悲しみはいかばかりか、又,関係者の無念のお気持ちは計り知れない。
大事なことは先延ばしにする.、これは短気で、気の弱い私の格言だが、死、などという大事なことは
できれば先延ばしにして欲しかった。
先延ばしにしているうちに,何とかなることもあろうから。
君は人が良すぎる,どこまで馬鹿なんだといわれようと、やはり、悲しみに涙し、共感し、なにか、自分に出来ることはないのかと自答する。
ご冥福を祈ります。
本当にさみしい限りです。
ですが、元気印の羅針盤は頑張ります。

2010.1.31.Sun

負の現在

百年にわたる上からの近代化によって負へと閉鎖した日本美術。(日夏露彦の『負の現在』から)
まさにその通り。
山口さんは、ビルの大家さんに『時代よ!』と叫んだと言うが、大家さんには何のことか分からないだろうが、この一言の意味は重い。
ここ10年の美術の変遷は、めまぐるしいものがある。
作家の制作状況も決して好転の兆しを見せない。
ならば、どうするか?
すれすれの生活を支える彼らの精神力に敬意を表するか、実質的にハローワークとなるか。
作家にお詫びしながら、首をくくるか,否か。
地面に近いほど、重荷が重いほど、真実に近くなる。
ならば、地に足をつけ、一歩一歩前進するしかないだろう。
今日,夕方には、山口画廊は閉鎖した。
あっけなく幕はおりた。
しかし、残されたものたちは、この険しい道のりを歩いていかねばならないだろう。


 


   

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