山嵜雷蔵展 レヴュー
展覧会タイトルは、ーEATHBOUND ー。
ベックリン、フリードリヒあたりの、
ロマン主義の画家の作品が思い浮かびます。
一見、再現的に描かれた風景ですが、
作家の内面を見つめ、想像力を開放しています。
結果、訪れることができないが、
どこかにあるに違いない、という、
ぞくっとした予感を誘います。
重量感あるマチエール、刻まれた痕跡などが、
作者の情念と置き換わるように、
力を生み出しています。
劇的な構成による緊張感に満ちた画面のなかに、
叙情的な調べが渡ります。
形態や色、装飾的要素が錯綜する混乱の先に、
独自の絵画的豊かさが漂う。
そんな印象でした。
山嵜雷蔵展 http://monyaart.jugem.jp/?eid=3466
■紋谷 幹男(もんや みきお)