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2017.7.18.Tue

松岡 学 画廊めぐりノートから

モチーフがとても魅力的です。
長年の風雪にさらされて随分とくたびれていますが、
何とか現役として存在している建物。
工場建築のような機能優先の無機的な建造物ではなく、
住まいのような温かみある郷愁もなく、
廃墟建築のような、妖しい美しさもなく、
再生より解体を待つ、ほったらかしの建物。

画家はそんな建物、そんな状態になるに至った時間や営みに
畏敬の念を感じたようです。
美しくもない忘れられた建物の在り様が、
気持ちを込めた筆遣いの一本一本によって、
稀有な存在に変容する。
そんな印象でした。

2017.7.18.Tue

阿部 観水 画廊めぐりノートから

不思議な絵です。
菱田春草の「落葉」を思わせる、
背景描写を省き、苔むした樹木の幹と地表をだけ描いた大作には、
意外なことに魚が泳いでいます。
「松にシーラカンス図」においては、
そんな非現実的な関係性は、更に確信的になっています。
恐らく、「奇を衒う」とは異なる次元の装飾性と思われます。

おたがいに自律した存在を同一画面に置くことで、
無関係であるが故の関係性が生まれます。
その鑑賞者の内部に生じるざわめきは、
様々な形式が出そろった現代美術において、
意外な風穴になりえる。
そんな印象でした。

 


   

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