モチーフがとても魅力的です。
長年の風雪にさらされて随分とくたびれていますが、
何とか現役として存在している建物。
工場建築のような機能優先の無機的な建造物ではなく、
住まいのような温かみある郷愁もなく、
廃墟建築のような、妖しい美しさもなく、
再生より解体を待つ、ほったらかしの建物。
画家はそんな建物、そんな状態になるに至った時間や営みに
畏敬の念を感じたようです。
美しくもない忘れられた建物の在り様が、
気持ちを込めた筆遣いの一本一本によって、
稀有な存在に変容する。
そんな印象でした。