会場風景。
展覧会タイトルは、ー環る景色(めぐるけしき)ー。
いかにもな、山水画風の大作です。
色は使われず(僅かに黄色だけが認められます)、
山水画アイテム(山岳、樹木、岩石、河川)の組み合わせで
架空の風景を成していますが、
肝心の全体像には、
伝統的な山水画に潜む、神仙や霊獣の予感や、
しっとりとした心象風景が見出せません。
表現における言語として山水画を取り込んだものの、
精神性に「深入り」せずに、
不思議な雲の渦巻や、
スケールアウトした石ころなどを、
さりげなく取り込むことで、
抽象表現の一形態としてドライに割り切っているようです。
結果、山水画に似た風景だが、
キリコにおけるアーチの並ぶ古典的な建築と同様、
人気のない、時の流れの止まる、
非日常的な世界を出現させている。
そんな印象でした。