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格闘してるか、いないのか

絵を判断する時に重要なのは,永田義信のタイトルではないが、「格闘してるか,いないのか」だそうだ。言い換えると、作家自らが楽しんでいてはいけないのであって、苦しんでいなければいけないのだという。
なるほど、良い絵かどうかの判断についてこう語った彼は、有能なるキュレーターだけあって、真髄を突いていた。
昨日、FM東京の出演依頼の話があった。
オールナイト日本のDJに憧れて、東京に上京してきたという彼に、是非、出演してきてもらいたかったのだが、『でる!でる!でたい!』を連発している彼をなだめすかしつつ、「20代の日本画の騎手」という限定だったため、四宮義俊を推薦。
今日の夕方5時、収録の直前、銀座は大雨だが、ラジオ局のある渋谷は、晴れていたらしい。
子供の頃から,朗読が大好きだったので、声優になりたくて,アナウンス学院に通ったことがあったが、鹿児島育ちのせいで、へんてこな、『かごっまべん』のイントネーションがとれずに、声優になるのはあきらめてしまった。
話はそれたが、田村正樹の今回の100号は,久しぶりに見た格闘する絵であった。
今まで見たことのないような階調に彩られ、空間構成がダイナミックで、やや破綻寸前のその危うさという点が気に入っていた。
400号ある大作は、評判の力作であったが、大きなうねりが一つの魅力であり、さらに繊細なところ、抜けるところ、情緒的なところの抑揚の美が大きなリズムを奏でていて、交響曲を聴くような心地よさがあった。
男性作家は、時折、大きな賭けに出る時を身体の装置として備えているのだろう。
今回の田村の個展には,賭けがあり、乗りこえる大きなハードルをもっと高いものに設定しようという,気概が感じられた。
私の一番好きだった『タイドウノトキ』というタイトルの100号の大作は、美術関係者の方が個人で購入してくださった。
これから、海を渡り、オーストラリアの地で日本の若い作家として紹介されるという。
日本の代表的なアーチィストとして紹介されるにふさわしい作品だ。
彼の今後の益々の活躍が期待される。

 


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