ステートメント
私の絵画制作における動機は、本来そこにあるべきものが存在しないことを意味する「不在」をテーマに、具体的な対象=「存在」を描くことで間接的に立ち上がる、「観念としての対象」を想起させることにある。
具象とは、現実の物体をそれとわかるように表す美術のことであるが、私の絵画制作での試みは、具体的な対象を描きながら、それとは別の、画面上に可視化しない対象がそこに居た余韻を表すことである。日本画の制作では、写生の重要性や、対象と描き手の主従関係(対象が主、描き手が従)を学んできたが、私はその外側に興味を持った。
人が関わった痕跡を描くことで、画面には登場しなくても、人が確実にそこにいた場面を切り取る。そこに「不在感」が生じる。実在する、もしくは実在していた対象を描くことで、描かない存在を表すという、メタフィジカルな状態の絵画を成立させることが、私の制作の狙いである。
また制作においては「見立て」の手法と、既存の芸術作品からの「引用(サンプリング)」を駆使して画面構成を行い、作中の具体的な登場人物の「不在」を表している。それはあくまで「ささやかな遊び」としての企てであり、日本文化に見られる「形式の借用」の域を出ない。
杉山佳
杉山佳
来歴
1988年 奈良県出身
2011年 東京藝術大学美術学部絵画科日本画入学
2015年 東京藝術大学美術学部卒業 同大学大学院日本画入学
2017年 東京藝術大学修士課程修了 同大学美術研究科博士後期課程
美術専攻日本画入学
2020年 東京藝術大学美術研究科博士後期課程美術専攻日本画領域修了
博士号(美術)取得 博士論文『不在』
展示歴、受賞歴
2015年 卒業制作(東京都美術館)台東区長賞、サロン・ド・プランタン賞、平成芸術賞
素描展(東京藝大陳列館)以後16年、17年、18年
2016年 松柏日本画大賞展(松柏美術館) 優秀賞
三國G展 (ソウル大学)
2017年 修了制作(東京藝大大学美術館)東京藝大美術館買い上げ賞、平山郁夫奨学金
守谷育英会奨学金(以後18年)
創画展(東京都美術館) 入選(以後18年)
全国美術・教育リサーチプロジェクト(東京藝術大学大学美術館)
2018年 桃源郷芸術祭2018(茨城県天心記念五浦美術館)
春季創画展(西武池袋)初入選 (以後19年)
佐藤国際文化育英財団 第28期奨学生
創画会東京研究会 第22回 夏の会(ギャラリー青羅)
MITUKOSHI×東京藝術大学 夏の芸術祭2018(日本橋三越)
日本画第一研究室発表展(東京藝大陳列館)
日本画三人展(アートスペース羅針盤)
2019年 レスポワール展 個展(銀座スルガ台画廊)
春季創画展 春季展賞
HOME 個展 (京都ギャラリー北野)
なつのにわ 二人展(ギャラリー子の星)
日本画三人展 (数寄和)
東京藝術大学博士審査展(東京藝術大学大学美術館)
2020年 杉山佳 個展(アートスペース羅針盤) |