不思議な国のアリスという小説は誠に、というか正に不思議な小説である。作者チャールズ・ライトウイッジ・ドジソン
は丁度私と100年ずれて生まれている。ペンネームはルイス・キャロル。 イギリスの数学者,論理学者,作家、詩人で
あり、作家として活動する時にルイス・キャロルのペンネームを用いた。ウイキペデイア。
これは私の年齢に比例して,また体験と知識をとうして別物の読み物として存在していた。あるときは少年であり、あると
きは社会人として。その都度変貌する誠に不思議な読み物であった。かような存在であったこの小説が1963年のアメ
リカ留学をきっかけに彫刻家となった私に野村工芸社からのオファーで当時流行っていたマルチプル・アートのさきがけ
として「Alice in Wanderland」1972年というタイトルで50点エデイションで発表したのである。ところがこのタイ
トルと「不思議な国のアリス」では我々日本人とまたはこの日本語のニュワンスを理解する少数の外国人というように小
説そのものが変貌するのである。これは2017年に作り未発表のまま今日にいたり今回の個展のテーマとなったもので
ある。
2019年7月5日金曜日土浦協同病院循環器内科べッド上にて 篠田守男
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