満尾洋之さんインタビュー★
今回のコンセプトは?
ータイトルのリミナリティーとは、境界状態(人が社会から逸脱している状態)という意味があります。人々が、所属する社会を移動する途中、境目を表現しています。それは例えば、会社の帰りに飲みに行くことであったり、ネットカフェに行くことであったり、遊園地に行くことであったりする、憩いの時間なんです。
それらを、もともと好きだった河鍋暁斎の絵に登場するカエルや、浮世絵の要素を取り入れながら描いています。また、カエルは両生類ですから、タイトルのリミナリティー、境界を表現するのに合っているということもあり、登場させています。
都会を舞台に描かれていますが、何故ですか?
ー都会に魅力や迫力を感じているというのがあります。例えば東京モンスターという作品は、新宿のビル群を鳥瞰図で描いていますが、都会のビル群そのものが、ある意味で妖怪のような怖さや迫力を持っていると思っています。新宿以外には、上野や、地元である荒川の風景を引用しています。中には、震災ボランティアに行った経験から、東北の風景も引用していたりします。これは、被災地の悲惨な街並みを見た後に、都会に帰って来た時の落差が頭に強く残っていたためです。
その他、技法などについて教えて下さい。
ー基本的には墨で描いています。カエルなどの黒以外の色は、水干絵具(水彩絵具に似たもの)を使っています。墨は滲み防止剤を用いながら、裏からも描くことで、独特な質感を出しています。また、背景にはマーブリングを用いることで、画面全体を柔らかい印象にし、怪しい雰囲気も表現しています。
下図には写真を用いています。こうすることでより平面的でシュールな要素を取り込むことが出来ます。よく版画に見えると言われますが、これは写真を下図に用いているためです。
以上今回の個展の作家である満尾洋之さんへのインタビューでした!
是非アートスペース羅針盤で生の作品をご覧下さい!