福島の復興は遠のくばかり、既に過去のものとして忘れ去られようとしています。
福島の作家としてこの状況の中で何をすべきなのか迷います。
自分自身が今の状況に流されて行く無力さを感じない訳にはゆきません。
福島を離れ，仲間たちが一堂に発表することで自分を取り戻す機会になればと考えています。
このような機会を企画していただいた羅針盤の岡崎さん、作家仲間をまとめてくれたよこたこういちさんに感謝申し上げます。

渡辺　武郎

僅か2年しか経っていないのに、あの大震災そいて人災である原発事故は過去のことになりつつある。
今、忘れ去られようとしている「ふくしま」。復旧，復興とお題目は並ぶが未だ何一つ改善されず、
人々は不安と共に暮らすか、故郷を離れるしか術がない。
　公園、学校等公的場所の至る所にリアルタイム線量計が設置され、まるでロボットに監視されてる
かのような錯覚を覚える。0.2　0.3　0.4　.....何が正しい数字なのかよくわからない。マイクロシー
ベルトという言葉は覚えた。セシウムという物質があることも知らされた。それで、これから先どん
な未来を描けばいいのか正直言ってわからない。
　それでも私たちはフクシマで生きていく。小さな幸せを感じればそれでいい。あと半世紀かかっても
美しい自然を取り戻し、子供たちに誇れるふるさとを残したい。
　おとなたちが何をしたか、未来からの留学生が見つめている。

やはた文明