湘の会 Vol.2

2013.6.17.Mon.〜6.22.Sat.

11:00〜19:00

※金曜日21:00まで
※最終日17:00まで

17日午後5時から展覧会場にてトーク・イベント


伊藤 清子
佐々木 理恵子
上田 圭一
新山 拓
小倉 亜矢子
野依 幸治
岸 麻依子
平井 智恵子
清見 佳奈子
八幡 幸子
肥沼 守
平松 礼二 特別出品






大志~次代をつくる作家へ

美大であれ、集いであれ、若い作家につねづね言い伝えてきたことがある。 「画家にとって大切なことは、大志をいだき、そしてそれをなしとげる技能と忍耐 をもつということである。その他はいづれも重要でない」 このゲーテの一章を心の灯としてきた。
平松礼二  画家

その先にある「本編」へ向けて 石川健次 本展コーディネーター、東京工芸大学教授(近現代美術史)

湘南在住の日本画家、平松礼二に師事、あるいは私淑する新鋭や中堅が、互いに切 磋琢磨してゆくことを願って誕生した「湘南美術懇談会」は今年、その名を「湘の会」 と改め、再スタートを切った。2011年に鎌倉で開いた最初の大作展に続く今回の大 作展「湘の会 vol. 2」は、文字通り新たなスタートを切ったこの機に、メンバーの 努力と成果を問うのが狙いである。「過去は序言である」と言ったシェークスピアに 倣えば、2回目となる今回、いよいよ「本編」は始まると言えるだろうか。 最初の大作展から3年、結成から数えると5年目を迎えた今、会の性格も少しずつ 変わりつつある。平松を囲んで、教え子や友人が誘い合って時折集まり、杯を手に芸 術について、互いの作品について語り合う。メンバーのなかの有志が随時集まって、 少人数の展覧会を開く。こうした会の日常は、以前とそう変わってはいないだろう。 そのような日常には、時にゆるい空気が流れていないわけではない。 でも、気の合う者同士の趣味的な集まりと軽んじているメンバーは、1人もいない に違いない。新たな創造へ向けて、あるいは自立した存在へ駆け上がってゆく試行錯 誤の場と、誰もが位置づけているだろう。その思いが、決意が、年を重ねるに連れて ますます強く、大きく育っているように思う。 今夏、平松はフランスのジヴェルニー印象派美術館で、同美術館の企画で大規模な 個展を開催する。準備に追われるなか、東京都内で開かれたトーク・イベントで、若 い頃を振り返って平松は「ともかく、描いて、描いて、また描いた」「望まれた仕事は、 気が進まなくてもすべて受けた」などと話した。量は、時に質を凌駕する。もちろん、 寡作な作家はいる。北斎やピカソのように、量も質もという稀代の存在も。平松の言 葉は、例えばうまくいかないと思い悩む後進に、不安や不満、失敗に学ぶなかで前進 してゆけることを示唆していたようにも感じた。 印象派の聖地とも呼べるジヴェルニーでの発表は、歴史に名を刻む希有な才能の系 譜に平松の名を加えるだけでなく、歩み続ける現在進行形≠フ平松にとって、歴史 との大いなる競演、チャレンジともなるだろう。多作であれ、寡作であれ、あるいは 早描きであれ、遅筆であれ、平松を慕って、この「湘の会」に集う誰もが、それぞれ の歩みでどこまでも駆け抜けてほしいと願う。駆け抜けた後に残る足跡は、すべて「序 言」に過ぎない。どれほど輝いているとしても、だ。この「湘の会 Vol. 2」も、や がてそうなるのだろう。「本編」は、常にその先にある。





 


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