私が表現しようとしているのは、「死やカオス、破壊、痛覚を反動として相対的に輝く生命と霊性」である。
生命と霊性が死を乗り越える役目を果たしてきたのは、長い人類の歴史の中で「生」が人間の主要な関心ごとであり続けたからである。 今ある生命を輝かせるために、経験できない「生命活動をしていない状態」に思いを巡らせてきたのだ。
私が繰り返し描く蝶や蛾は、人間の持つ「生命と霊性の輝き」の象徴なのであり、死に隣接しながらも輝き、生の向こう側に存在するであろう世界への想像力に思いを馳せているのである。
混乱・混沌とした現代に生まれた自身の状況を踏まえ、強い意志を持った絵画を創って行きたい。
中村馨章
東京藝術大学美術科日本画専攻博士2年在学中
2007年 守谷育英奨学金 奨励賞
2009年 台東区買い上げ サロンド・プランタン賞 平山郁夫奨学金
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