1984　神奈川県生まれ
2009　東京芸術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業
2009.1〜2010.5
小泉淳作氏の制作アシスタントとして東大寺襖絵制作に携わる
2012　春季創画展入選

協力　　日本橋めぐりの会　

岡ちえこ 展
単色の地に、草花が浮かび上がる。 鉢植えや花器に生けられた花も、日々の暮らしの空間から切り離されて色面に 今ひとたび置き直されることで、強く印象にのこる。すこし離れたところから全体を捉えたかと思えば、ぐっと近づいて花びらの重なりに目を凝らす̶̶ 描かれたモティーフとの距離感に身をゆだねると、造形の面白みやリズムを的確に感じとる岡の柔軟な視点といつの間にか連動している。その佇まいは空間 に浮遊するようでいながら、そのものがもつ独特の「かたち」から目を離せなくなるような吸引力をはらんでいることに気づく。じっと眺めていると、静謐 さを漂わせていたはずの画面から、自然の造形が備える「えぐみ」のようなものがじわりと滲み出てくるかのようだ。 そうした「かたち」に引き込まれる一方で、静かに横たわる余白との対話をも促される。岡の作品は、彼女が日常の中で眼をとめたモティーフを描く静物画 でありながら、それを観る私たちの心を映す心象風景となって立ち現れることだろう。 今年の三月に北鎌倉の長寿禅寺にて開かれた初個展にひきつづき、今回は大き なものを含めてこの半年の間に精力的に描かれた作品を中心として、東京で味わっていただく運びとなりました。より多くの方々が岡の作品と出逢い、心の 対話を重ねる機会になることを願っております。
友岡真秀