今回，私は自身の初めての個展に『M』と名付けました。『M』は母、『Mother』がテーマです。この『母』が持つ意味は，そのもの，私の母、母に憧れる自分、そして、そのものの本質的な力が凄まじいエネルギーを放っていて、その『母』に圧倒される力無き自分に問題定義を投げかけます。
普遍的なものは絶えず、いつまでも越えられない壁である母は私の中の家族と生の象徴です。
モチーフや素材や表現方法は何であれ、個体、そして私自身に『母』が存在した記憶を反芻させる制作肯定は当り前のように繰り返されました。
それは私の『母』だけでなく、世の生命の流れにおいての形作られる『母』の力。
それに私は目を向けずにはいられないのです。
それだけではなく、わたしの『母』に対する愛情は真実なのに、私自身の母にそれを表現し、それが母に伝わることは後にも先にもなかったのです。それは気持ちのやり場の無くなってしまった。そこには、制作の中の大事なものが存在すると考えました。
『後悔』は何かの力を呼び覚ます原動力になりうるのか、答えは『はい』だと思っています。
今回の個展は、母に宛てた作品を中心に、この一年の新作を展示する予定です。
私自身の生き方は、褒められるようなものではなかったかもしれないと感じる程、反面教師な部分はありましたが、作品の側面にはここ数年の私の生活の中で大きな存在を感じて止まない母への讃歌があります。

マチダ　ナヲ

1983年　大分県生まれ
2001年　第一回福知山市佐藤太清賞　絵画の部　特選
女子美術大学付属高等学校卒業
2002年　多摩美術大学美術学部絵画学科日本画専攻入学
2005年　グループ展「ダンデラ展」（小津和紙ギャラリー/日本橋）
多摩美術大学絵画学科日本画卒業制作展（東京銀座画廊/銀座）
五美大学卒業制作展
多摩美術大学美術学部絵画学科日本画専攻卒業
2006年　多摩美術大学大学院美術研究科入学
グループ展「e-mit」（銀座スルガ台画廊/銀座）
藤沢琨明友好都市提携25周年記念「日中文化交流展」
琨明市博物館/中国雲南省　出品
2007年　グループ展「毛玉展」（ギャラリー青羅/銀座）
グループ展「e-mit2」（銀座スルガ台画廊/銀座）
多摩美術大学大学院修了制作展（東京銀座画廊/銀座）
多摩美術大学大学院美術研究科修了
2008年　グループ展「毛玉展」（東和ギャラリー/銀座）
「11th contemporary young Painters Exhibition from japan 」出品
（Zainul Gallery /Bangladesh）
2009年　グループ展「萌えるアジア展」（中和ギャラリー/有楽町）
グループ展「※come展」（藤屋画廊/銀座）
グループ展「e-mit4」（銀座スルガ台画廊/銀座）