足立正平展がすばらしいです。
友人の一人からこんな嬉しいメールがありました。
それに答えて私からの返信メールです。
岡崎様
こんにちは
昨晩はありがとうございました。
気候も秋と夏を行き来するようで、なんとも落ち着きませんね。
我々の世代も段々とアイディアが実り、仕事が増える一方で、
真に芸術家を志すための工夫も必要になって参りました。
画業とは何とも行きつ戻りつしているようで、いつでも足踏みばかりと数ミリも進んでない様子に聊か焦りの様な感覚を覚えますが、
「我がやどに、韓藍(からあい)蒔(ま)き生(お)ほし、枯れぬれど、懲りずてまたも、蒔かむとぞ思ふ(山部赤人)」
の和歌の様に、懲りずにまた絵を描くことで自然に次が咲くのだなと、それを信じて筆を取り続ける日々でございます。
そんなことを考えつつ、羅針盤で作品を観たり、皆さんとお話したり、こゆさんとお酒を酌み交わす(笑)と、とても元気になります!
先日ご一緒した方に
「なぜ羅針盤は人が集まるのか?」と聞かれた際に、
「そこに鮮やかな彩があるから!」と説明をいたしました。
これこそ展示の、画廊の醍醐味のように感じます。
例によっていろいろと長くなりましたが、今日は少し涼しいのでお許しください(笑)
それではまたと思います。
時節柄お身体ご自愛ください。
PS:和歌の解説:
私の家の庭に、韓藍(からあい=鶏頭の花)の種をまいて育てているうちに、いつしか枯れてしまったけれど、懲りずにまた、種をまこうと思う。
先日、友人からもらったハゼの盆栽を見事に枯らしてしまいました→あっという間に紅葉したのでどうもおかしいなと思ったのでございます(笑)
返信メール
本日、白い虹の書は、残念ですが、他の方のところにお嫁入りしました。
さて、足立さんの中国の友人の話などがたいへんおもしろいので、時間がたつのが
わからなくなり、本日も夜は10時過ぎとなりました。
「僕のためにも宣伝などしなくてはならないので、今週もたいへん忙しいらしい」と嬉しそうな様子でした。
いつもありがとうございます。
懲りずてまたも、蒔かむとぞ思ふ
大事ですねえ。
枯れてしまったかのような作家さんにがっかりしないで、これからも種まきはしようとおもう。
どこから,芽が出てくるかわからないから、、、、、
怒られそうな解釈ですねえ。
練馬区美術館の野地さんは、文人たる足立さんに大変興味を示しつつ、漢詩も
さらりと読みつつ、詩人の生涯にも詳しいので、尊敬しました。
祖父が漢文の先生で,幼稚園時代から,暗記させられたから、というのでした。
昨日、水木しげるの「人生をいじくり回してはいけない」というエッセイを読みました。
その中に
「自分の好きなことをやる。そのために人は生まれて来たのだと私は思っています。やりがいだとか、
充実感といった言葉をよく耳にしますが、結局は自分が好きなことしか、そういうものは見つからないような気がします。」
とあり、
やはり,絵描きさんはなにより絵を描くのが好きだから,描くんだろうと想像しました。
絵を描くために生まれて来たから,描く。それが幸せに繋がると。
さらに
「人生にはいろんなことが起こって当り前。それらに一喜一憂するのではなく,放っておくことです。
人生をへたにいじくり回したところで、何の解決にもなりません。」
足立くんの引用した李賀の漢詩に、蜘蛛の糸がちぎれてしまいそうだ。それはわたしかもしれないし、あなたかもしれない、と本人なりの解釈をつけてくれました。
人生をいじくりまわさないで、ちぎれそうな蜘蛛の糸のように生きよう、カボソイ生命しかないけれど、と。
か細い私ですが、羅針盤には「そこに鮮やかな彩があるから!」というお褒めのお言葉に気がよくなり、調子づいて、むやみに長くなってしまいました。
涼しいからではありません。
またのお越しをお待ちします。
アートスペース羅針盤
岡崎こゆ