「たとえ、世界の終わりが来ても絵を描き続ける」
といったのは、誰だったか?
ちょっとど忘れしたが、アップル展のコンセプトは、たとえ、どんなことがあっても絵を描こうというメンバーのグループ展。
リーダ−の永井肇先生は、多摩美術大学で教鞭をとっておられ、その後は、保育園の子どもに絵を指導していた。
先生は、昭和三年、お正月にご誕生。
当年、80歳をこえて、お元気であったが、初夏に倒れたらしく、今も病状がよろしくないらしい。
昨年の展覧会では、毎日いらっしゃっる先生と精神病理学から宇宙論まで発展するくらいのおしゃべりに興じ、時間を忘れるくらいだった。
楽しい会話が充分にできないので、とてもさびしい。
先生の脳の中は、どうなってしまったのであろうか?
レモン色の黄色い空に、レモンの形の雲が浮かんでいる。
先生の好きなマリンブルーは、黄色い空や海に包まれ、マリンブルーの島には、船や帆船がたくさん
係留されている。
島には水族館もある。森もある。島ごと、船みたいだ。
先生は、何処にいかれようとしているのだろうか?
そんなことを漠然と考えた。
そして、晩年、ゴーギャンが夢見た楽園を永井先生も見ておられるのではないかと思う。
人は何処から来て、何処へ行こうとしているのか?
高村光太郎の詩にもあるように、智恵子がかじったレモン。
レモンの空は何を暗示しているのか?
先生が元気になることを予感させる絵だと信じたい。