ある日、山梨県に生息する「神代櫻」という老木に出逢いました。樹齢およそ2000年という気の遠くなるような長い年月を経て、いくつもの時代を生きてきたその幹や枝は、ボロボロになりながらもまるで地を這うかのようにうねりをあげて立ち昇り、今も春になると空を覆うほどに満開のサクラを咲き誇らせます。それは圧倒的・衝撃的な生命でした。生涯 記憶に残るであろうその光景に私は瞬時に憧れ、その存在が辺り一面に香らせる魂の有り様や、生命という凄まじい力にしがみつきたい一心で、作品を描き始めたように思います。
様々に取り巻く環境やしがらみ、それにより立たされる逆境や生じる迷いなど、一切にとらわれることのない真っ直ぐな生き様、その根底にある本能・力強い魂を求め、今はその感情を制作の糧としています。
生命に宿り、それを保ち、心をつかさどる精神的魂とも思える「本能」の魅力をテーマに、自身ではコントロールしきれない感覚や営みに日々振り回されながら、そんな不甲斐ない自分がやれる微かな抵抗として、現在は、純真無垢な「子ども」という姿を通し、煩悩の滑稽な有り様やそれに相反する屈強な精神を探り、表現していきたいと思っています。
小田恵理子
小田恵理子 Eriko Oda 略歴
1976 広島県安芸高田市生まれ
2003 多摩美術大学 大 学 院 美術研究科 修了
2005 多摩美術大学 美術学部 共通教育 副手(−2008)
2008 多摩美術大学 美術学部 共通教育 助手(−現在)
■個展
2001 第1回 個展 [ 日常と現実 ](日本橋 アートギャラリー環)
2002 第2回 個展 [ 神 代 櫻 ] (日本橋 アートギャラリー環)
2004 第3回 個展 [ 性−さが− ] (京 橋 アートスペース羅針盤)
2005 第4回 個展 [ 悶 々 ] (日本橋 アートギャラリー環)
2006 第5回 個展 [ 本 能 ] (飯田橋 ギャラリー52)
2009 第6回 個展 [ ココロザシ ](京 橋 アートスペース羅針盤)
■グループ展、公募展・企画展
2001 第11回 臥龍桜日本画大賞展 入選
第5回 川の絵画全国公募展 入選
第1回 佐藤太清賞公募美術展 入選
2002 環展−2002日本画による−(日本橋 アートギャラリー環)
ふるえる3人展(目黒区大崎 O美術館)
2003 RIKURI展(目黒美術館 区民ギャラリー)
環展−裸婦五態−(日本橋 アートギャラリー環)
ミサワホーム好日の家展(横浜 モデルルーム内展示)
平和へのメッセージ展(佐藤美術館)
ふるえる3人展(京橋 アートスペース羅針盤)
2004 環展−情と感と知と夢と−(日本橋 アートギャラリー環)
2005 環コレクション展(日本橋 アートギャラリー環)
第1回 渓展(新宿 ギャラリー渓)
2006 様々なニホン画 羅針盤セレクションHOPE 2006(京橋 アートスペース羅針盤)
第7回 渓展(新宿 ギャラリー渓)
2007 中之条ビエンナーレ(群馬県中之条町)
第11回 渓展(新宿 ギャラリー渓)
2008 羅針盤セレクション−日本画6人展−様々な日本画vol.2(京橋 アートスペース羅針盤)
2008羅針盤企画「Artland Japan EXHIBITION」(京橋 アートスペース羅針盤)
KDDI主催「術展」(原宿 KDDIデザイニングギャラリー Kスタジオ)
羅針盤セレクション日本画小作品展(京橋 アートスペース羅針盤)
都筑民家園アートプロジェクトvol.3「ニュータウン☆パラダイス」(横浜 都筑民家園)
「告白の作法−ひとから、ひとへ−」(多摩美術大学 八王子キャンパス)
2009 絵金蔵・タマリン館協同企画「絵金へのオマージュ展」(高知県香南市 タマリン館)
渓展(新宿 ギャラリー渓)
第45回 神奈川県美術展 入選
■その他の活動
2004 テレビ朝日・TBS「月曜ミステリー」美術作品制作・貸出・提供
2005 テレビ朝日・TBS「着信アリ」美術作品提供・貸出
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