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道楽

「儲からなくて良いんだよ」と社長は、説得力のある声でおっしゃる。
といいながら、「ああ買い足りないなあ」とおっしゃる。
「まだ買うんかい?」と心の中で思う。
「今日のところはこの辺で」と口ごもる。
お客さんの財布の中は,さみしい状態なので、「ラーメン代ありますか?」といらぬ心配もする。
羅針盤の倉庫の中には,私のコレクションなるものもあり、あまり見せたくないものもある。
コレクションは売りたくないが、コレクターは嗅覚が優れているので、ちらとでも見せると、お気に入りの絵ほど、食いつきが良い。
何故なのだろう。
私の気に入ったものを気に入らなくても良いではないか?
私の気に入ったものはこっそりの楽しみだから、人にどうこう、云われたくないし、売る気もないので
ある。
ギャラリーに飾ると、とたんに商品になるので、お気に入りはゆめゆめ自慢げに見せびらかしてはならない。
しかし、そんな商売っけのないことでいいのだろうか?
半分、道楽のような仕事なので、商売に徹しきれない。

 


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