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池田満寿夫との出会い

父の状態が思いのほか悪く、実家に帰省した。
空港には、中,高と仲良しだった親友のむっちゃんが迎えにきてくれた。
着くと車の中にチョコムースとおいしい霧島の水が用意されていた。
とても嬉しかったし,心強かった。
親友のムッちゃんは、中学では、明るく楽しい性格で、大変な人気者だった。
私のふるさとは、九州でも有数の僻地、特攻隊の基地、鹿屋だ。
母校は,80周年を迎える伝統校で、80周年記念に、各界で活躍する卒業生の授業が予定された。
画廊経営者として、私にもお声がかかっていたが、結局、ギャラリストの私ではなく、同級生の大学教授にお声がかかったようだ。
僻地なので、芸術や文化とはほど遠いからか、私はおよびではなかったらしいが、こういう不毛の土地だからこそ、誰もが目指さない芸術家の話とやらをしたかった。
高校時代の塾の先生のところに文学部の現役大学生達が集まり、同人雑誌を創っていたが、私も高校生ながら、つたない詩を書いては投稿していた。
その当時、「エーゲ海にそそぐ」で芥川賞作家の池田満寿夫を知り、現代美術に夢中になったのがきっかけで、今に至ったと思っている。
池田満寿夫の版画集やエッセイ集は、高校生の自分には、充分過ぎるほど,刺激的だった。
残念ながら、一度も御会いする事ができなかったが、池田満寿夫の本は、バイブルのように読み尽くしたものだ。

 


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