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さっちゃんの遺作展

今日は,岡田幸子遺作展を見に行った。
岡田さんは、羅針盤で現代陶芸を発表していた。
北欧を旅し、ノルウェーの森をイメージし、蒼い渦巻き状の塔を何本も並べたインスタレーション作品で好評をえた。
底抜けに明るく、末期癌で闘病生活を送りながらも、次の作品の構想を語り続けていた。
天国に召される時が近いとヒョコリ顔を出された時も、「あのね、私ね、一度死んだんだよ。魂は身体から抜けていったんだよ。痛みもなくて,とても楽になったから,心配しないでね」と、いつものちょっと甘えたような声でささやいた。
それから、「一度、死んで幽体、離脱するとね、こゆさんの秘密も全部、見えちゃうんだよー」と怖いこともいう。
今日、GKというギャラリーに行ったら、なぜか、本人がまだ生きているんじゃないかと思うような気がしたが、やはり、もう二度と会えないという事実に気がついた。
ダリは、自分のことをダリは死ぬのかと問いかけ、しかし,神はそれを許さない、と日記に書き残しているように、何人もいずれ、死にゆくのである。
何故,絵が好きなのか?というと、死ぬのが怖いからなのかもしれず、愛する人と別れるのが悲しいからなのかもしれず、かなわない夢のような世界を夢想する人間の悲しい性なのだろう。

 


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