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佐野紀満展 かすみ雲

佐野紀満の初個展は羅針盤だが、ずっとモチーフは動物だ。
動物は作者自身なのだろうか?
ややデフォルメされている。
しかし、その動物達をくっきりと際出させているのは、背景の装飾にある。
花が多いが,トケイソウやおだまきなど珍しい形の花ばかり。
佐野さんは、かなり勉強熱心なタイプで、日本画の昔からある伝統的な手法を実験的に多く取り入れる作家だ。
今回の新しさは、主にかすみ雲にあるようだ。
かすみ雲は、伝統的な装飾で、丸い雲のような形で、場面の仕切り直しや遠近法に使われるものだそうだが、今回はめだって用いられている。
銀箔の部分がほぼそうなのだろう。
やや暗めにしてみると、銀箔が鈍く輝き効果的である事が分かる。
覗き込むような動物のまなざしをより引き立ててくれそうだ。
しかし、優しいまなざしの動物達は、私たちを癒してくれるのであろうか?
遠いまなざしのチーターは困った表情をしている。
福島の子供達が内部被爆をしていると、ニュ―スで聞きながら、とんでもない事態が訪れたと思う。
原発の近くの海岸で打ち上げられた畸形の亀やイルカに罪はない。
水と空気と土がなければ,生き物は生きていけない。

 


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