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リベラルアーツ

今日から、京都造形大学の新人選抜展を開催中だ。
夕方、一橋大学の芸術産業論のゼミの生徒さんらが柴山先生とお見えになる。
10名足らずの学生さんと交流するのは、初めてのことだ。
柴山さんは、一橋からハーバード大学を卒業後、ロックフェラーにいた方で、もとサザビーズ、ジャパンの社長を務め、現在は京都造形大学と一橋大学で教鞭をとっておられるときく。
今は会社も経営されているが、銀座にコレクションギャラリーもあるそうだ。
以前、イタリアンをご一緒させていただいたが、お話がぽんぽんと歯切れよく、しかも明快で気持ちよく、たいへんためになることばかりだった。
今回の一橋の学生さんにアートマネージに関するお話をしてもらいたいといわれたので、「まず、画廊をやるためには一年間、資本金600万、他、運営費として1400万円が必要でした。」というところから話し始めた。
一橋大学と言えば、将来、商社、銀行マン、さらには会社経営者として活躍することが期待される。
よって、彼らにとって、関心があるのは、経済界なのだから、芸術という分野がどう繋がるのかというところだろう。
さらに、質問の切れもよく、「銀座に300くらいの画廊があるとききますが、その中で、この画廊はどういうところに差異化をはかっていますか?〉とのこと。
それこそが、画廊ビジネスの成功のキーワードと感じていたので、「いい質問ですね、情報化社会により、世界がグローバル化するにつれて、日本とは?日本人とは?という原点回帰するという視点に立ち戻るのは必須だと思われたので、日本画を見直そう、若手作家の日本画を取り扱おうと思ったんです」というと、質問をした学生が、「原点回帰ということなんですね?」と念を押す問いかけがあった。
聡明な若者たちとその後もワインを片手に語り合ったが、大変刺激的で楽しかった。
「又、個人的に遊びに来ます」とのこと。
リベラルアーツな若者に大いに期待したい。
このゼミをとるくらいだから、昔ながらの上流階級社会に必要と思われる教養、リベラルアーツを身につけて育ってきたと思われる。
芸術の話ができる若者達。
文化資本にも大きな格差が生じていると感じた。
私たち、ギャラリーの仕事も文化資本の継承と啓蒙が必要であることは疑う余地がない。


 


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