荒川由貴の作品のほとんどが子どもの顔。
荒川さんは現役の小学校の先生だ。
途中で絵が描けないというような状況になったが、子どもの為にも仕上げたいと思って、ついに展覧会を迎え、すべての絵が完成したのだそうだ。
子どもの顔は真正面。
リアルである。目は笑ってないが、口角が微妙に上がり気味で不思議な笑みをたたえている。
背景は、奥行きをあえて拒否し、その妙なずれによって、子どもの未来を暗示する心理的効果がでている。
本を読むお下げ髪の少女の背景にも、夕焼け色だが、不吉な暗雲をたちこめさせている。
子どもたちの群像もおもしろい。
子どもたちに負けない、純粋、無垢な魂の持ち主だからこそ、子どもの内面の声を聞いているといった
ふうにも感じる。
多摩美術大学の学長先生がお見えになったが、歴史学者でもいらした先生が彼女につけたあだ名は、荒ぶる川の神だそうだ。