上野明美さんの描く人物は不思議な魅力がある。プリミティブでありながら、どこか仏画のような静けさで、人を包み込む。
3年くらい前まで、一世を風靡した現代美術画廊、汲美、という画廊があった。
そこの画廊主は、イソラさんと言って、一橋大学を出、エリート社員だったはずだが、現代画廊の州之内徹に憧れ,潔く脱サラ。
お酒を酌み交わしながら,絵の話をする、サロン的なギャラリーで多くの作家を世に送り出した。
イソラさん自らも島達として、絵筆をもち、死の直前まで、自叙伝的映画を制作して上映するなど精力的に生きた人だった。
ある冬の日、汲美で絵を購入。
接待のような感じで、南千住に連れていかれた。
多くの労働者がたらふく食べられるほどの安さの不思議な店だった。
二階にはカウンターバーがあり、中国人女性がたくさん並んでいた。
私は以前、大学近くの
小金井で下宿を探そうとしたが、「中国人留学生お断り」と断らわれた経験から、中国人マフィアに間違われないかと内心びくびくしていた。
そこに毎日、デッサンをしにきている作家で、リアルな顔を描く作家が上野さんの絵を見に来てくださった。