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永田 義信 展

2008.7.21.Mon.〜7.26.Sat.

11:00〜19:00

※最終日17:00まで





略歴
1986年 筑波大学芸術専門学群卒業
2006年 青木繁記念大賞受賞
     春季二紀展新人選抜大賞受賞
     現在二紀会同人


 私は榀のパネルを木版画の版木のように刻んで作品を作っている。「なぜ彫るのか」とはよくされる質問だがうまい具合に説明できない。例えば油絵を書いている人に「何で油絵の具で描くのか」と聞いてみたところでなかなかすっきりした答えは出てこない。結局のところ彫ることが自分の体質に合っているしおもしろいからなのだ、というぐらいしか答えようがない。しかしそれでは、私の作品の最大の特徴であるのにあまりにも自覚のない行為ということになってしまう。…そんなことはない。私はもっと彫る行為についてその意味を感じている。最近は自分の作品についてもう少し客観的に分析して考えている。
 私は「絵は物だ」と考えている。作品は、絵の中に広がる世界といったものの前に、キャンバスやパネルと共に物体としてこの世界に存在している、と考える。現代美術ではそういうとらえ方はわりと当たり前だ。そういう作品を見る場合は、「絵の世界に身を投げ出して鑑賞する」という方法ではなくて、ぐっと引いて、「作品も鑑賞者も同じ空間に対峙して考える」という感じになる。私の作品もそういう見方を少なからず必要としていると思う。彫った跡というのは、この作品が普通の絵よりずっと物体に近いことを鑑賞者に意識させる。これは絵であるというより物なのだと。物であるとすれば、それは架空の世界のことではなく、我々と対等、現実の存在なのだ。だから私の絵では、そこに入り込もうとすると跳ね返される。跳ね返されてにらめっこをすることになる。ここには絶対的な距離があって、私はこの距離感がちょうど気持ちいい。





 


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