篠田守男彫刻展

NeoーReadymade
レディメイドは、マルセルデュシャンの発明である。たまたま私が筑波大学にいた頃、コンピューターで作品を作り、少ない予算で何百も同じものができた。1950年代初頭は、コンピューターを使って作品を作るよい時代であった。マルセルデュシャンのレディメイドで有名なのは、N.Y.Momaでコレクションしている便器であろう。これは既製品を思わぬところにおいた。いわゆる場の転換といえよう。ピカソも石膏の羊の頭に自転車のサドルがつけられている作品があるが物を見て角に置き換えた。すなわち物ありきが最初にきている。ここでのNeoーReadymadeは、物ありきではない。自分の作品のパーツも再び使用するのである。今でこそ、コンピューター制御の作品はあたりまえであるが、この時代コンピューターそのものがめずらしい時にこれを行ったのである。イギリスのBBCスタッフが、コンピューターで制御するということに筑波大学まで取材にきたほどである。最後になるが、最愛の妻に捧げるモニュメントとしたい。わずか妻の死から4ヶ月の間に長男太郎が死に、たった一人の私の弟が死に、私一人になってしまった。大勢の死を迎えた中での祈作のみ展示する。

篠田守男