もりのつばめの二重奏

2023年3月13日 - 2023年3月18日

藤澤伸介、安田洋

私が藤澤伸介さんと初めて出会ったのは、他でもないこの画廊、アートスペース羅針盤でした。もう二十年も前、私はまだ学生でした。

最初に私が見た藤澤さんの作品は、テラコッタの動物彫刻でした。私は、その虚飾のない表現にとても魅かれたことを覚えています。

藤澤さんからは、私の展示を見た感想など、いろいろな手紙をいただきました。そこにはいつも、読む人へのプレゼントのように、身近なもの、何か楽しいものなどの絵が簡潔な筆致で描かれているのですが、中でもとても印象的だったハガキがあります。

深い井戸の底に輝く宝石が沈んでいる絵が描かれていて、その傍らには、一人の人が立って井戸の底に釣瓶をおろしています。絵のまわりに添えられた言葉は、次のようなものでした。

「水底のダイヤ 心の中の宝玉 どこにあるのでしょう 

でも…それを探すのが芸術家の人生か」

絵も言葉も限りなくシンプルなこのハガキは、私のアトリエの片隅に貼ってあって、いつも私の制作の大切な指針になっています。

今回幸運にも藤澤さんと二人展を開く、という機会をいただき、藤澤さんとやり取りする中で、各自の作品を持ち寄ってただ並べるだけの展示ではなく、二人の作品が音楽のように響きあう、楽しいイメージのある空間を作ろう、ということになりました。

二つの楽器が響きあう二重奏、その響きを、ぜひ楽しんでいただきたいと思います。

2023年3月

安田洋

藤澤 伸介

1958年熊本に生まれる
1981年武蔵野美術大学視覚デザイン学科 中退
1982~92年KOBATAKE工房(故・彫刻家 小畠廣志主宰)にて
彫刻技法全般を学ぶ
1984~94年 二紀展(彫刻部門) 出品 (上野・東京都美術館)
‘85奨励賞 ‘86二紀賞 ‘87同人推挙 ‘88‘89同人賞
‘90 安田火災美術財団 奨励賞
1997~2023年二紀会退会後 個展活動中心となる
銀座・京橋・六本木・南青山・横浜・鎌倉・大磯・
下北沢など個展多数開催
(立体・切り紙・ドローイングで発表)

■アートスペース羅針盤では2000年・2002年・2005年・2008年個展、2023年安田洋氏と二人展開催

現在 日本美術家連盟 所属

安田 洋

1974年東京都に生まれる
2001年佐藤国際文化育英財団第11期奨学生
2003年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻日本画コース修了
2010年新潟県燕市に移住

個展

2006年安田洋個展(ギャラリーゴトウ,銀座)
2007年安田洋人物スケッチ展(Bar & kitchen Kanna,中野)
2008,10,12,13,15,17年安田洋個展(銀座煉瓦画廊,銀座)
2018年安田洋個展(アートサロン環,新潟)
2019,21年安田洋展(新潟絵屋,新潟)
2022年安田洋展(アートスペース羅針盤,京橋)
2023年安田洋展(ギャラリーみつけ, 見附市)

グループ展

2002年金子朋樹・安田洋二人展「対峙」(アートスペース羅針盤,京橋)
2003年佐藤国際文化育英財団奨学生美術展(佐藤美術館,新宿)
2005~08年羅針盤セレクション「HOPE」(アートスペース羅針盤,京橋)
2010年「墨の新しい可能性」(アートスペース羅針盤,京橋)
2019年白須純・安田洋二人展(銀座煉瓦画廊,銀座)
2021年ガリ版実験室作品展(あとりえきっか, 加茂市)

公募展

2000年臥龍桜日本画大賞展 入選(01年,05年)
2001年東海テレビ墨画展 奨励賞
2003年第35回日展 入選 
2005年日春展 入選