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羅針盤日記 アーカイブ

2008年06月24日

リニューアルオープンします。

ホームページのリニューアル中。
皆様お待たせしています。
少しずつ、新着情報などを皆様にリアルタイムにお届けしたいと思います。
羅針盤で起こる日々のドラマも織り交ぜつつ、皆様に気楽に読んで頂ければ幸いです。

昨日から、芸大の博士課程に在籍中の新進作家、屋宜久美子展を開催中です。
初日には、ファイルに入ったドローイングが好評で売れています。

ぜひ、屋宜久美子の静謐な絵画をご覧いただきたいと思います。

2008年06月27日

ペリエ

夕方、6時頃になるとビールが飲みたくなるので、銀座一丁目のなすだ商店に画廊までケースごと運んでもらっていたが、さすがに習慣化するといけないので、この頃は炭酸水のペリエにしている。
以前,美人の若い女性作家さんに2ケースのペリエがプレゼントに届き、惜しげもなくたくさんいただいたことがきっかけで、ペリエファンになった。。いざという時には、ワイン、ビール、焼酎、コーヒー、紅茶、麦茶と何でも揃っている時には、ラシンバーになることもある。
本日も8時半までお客さんがどやどやといらっしゃったのだが、50号の大作4点を4人のお客様が一点ずつ購入するとかしないとか、からかわれてるのか、本気なのか、わからないまま、今日も一日がドラマティックに過ぎたのであった。

2008年06月28日

昨年のメールから


メールを検索していたら,昨年に屋宜さんに送ったメールがでてきました。
ちょうど個展前に芸大の修了制作がめでたく買い上げとなり,その直後の個展だったので、
感激して送った時の懐かしいメールです。さて,今年の感想は。。。。。
明日までの展示ですが,是非、ご覧いただきたい、おすすめの展覧会です。
昨年に展示した過去の作品も小品室に展示しています。


屋宜久美子さま

今日はご苦労様でしたね。

知的でクールな印象ですが、偶然的な断片が、魅力でした。
見ると言う体験を枠の中で固定されたイメージの凝視から、より広い感覚や感情の場の想起へと押し広げていました。

ロランバルトの「説明的な要素」と「偶然的な細部」という言葉を思い出しながら、楽しませてもらいました。

試作段階を経て、作品化するまでの実験的な過程が見えることも魅力です。
今回の作品は、仕上がりも手が込んでいて、きれいに整えられ、完璧でした。
大変美しく、鑑賞者のイリュージョンを満たしてくれるものとなっています。

予想以上の進化を経て、私の最も好みとする作品になり、時期的には予定した通りのいい状況での個展が楽しみです。
早速のメールをいただきまして、ありがとうございます。

買い上げ、本当におめでとうございます。

それでは、また。

羅針盤

岡崎こゆ

以下は彼女からの返信です。

On 2007/02/25, at 20:07, 屋宜 久美子 wrote:

岡崎様
こんばんは。お疲れ様です。
今日はお忙しい中、修了展の会場に足を運んでいただきありがとうございました。
1年前に岡崎さんに声をかけていただいたおかげで、このようなよいタイミングで個展を行えること、とても感謝しています。
展示の時期もせまってきましたが、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
                                  屋宜久美子

会場風景

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2008年06月30日

最終日のこと

最終日のこと,この頃、お見えになるお客様が『あれ、わっからねえなあ,宇宙かい?』と一言。
「いつも仕事でもやもやしてんだからさあ、この絵を見るとますますもやもやするよ」とかいいながら、片隅の椅子に腰かけてから、数分が過ぎた。さらに奥の部屋にかけてあった過去の作品が一目見て、お気に召したらしい。電気をぱっと消すと,絵は全く見えなくなるんです、というと、何のことかわからないらしいので、フレームのアクリル板の方に樹脂で溶かして輪郭をつけたひと形の部分が,ライトを照らして影となり、描かれたように見えるんですよとライトをつけたり,消したりしながら、説明。絵よりライトの設置の方にお金がかかるなどと笑いながらいっていた。『びっくりしたなあと』大笑いしながらのやりとり。そして、購入。さらに、お客さんは、草間弥生をはじめて見た時の感動と一緒の心のときめきを今、屋宜久美子の作品に感じたそうで、えんえんとどんな気持ちになったのか,語り始め、あの50号もある4点の連作を買いたいと言い出した。今回の展示で彼女の作品に魅了されてしまった多くのコレクターさんがたくさんいた。屋宜久美子は私が思っていたとおりの本当に素晴らしい感性の作家であることが証明された展覧会になった。
以下は、ギャラリーレビューの記事である。
これを毎週10年近く書いてきたSさんのレヴューはまさに私が感じた通りのことをこのように素晴らしい文章にしてくれた。的を得て、さらに読む人にもはっと気づかせてくれる詩的な文章である。自分が書けないので,以下、引用させていただきました。

屋宜久美子@アートスペース羅針盤
<06/23/08〜06/28/08>
深海と体内、それに宇宙をイメージして制作したという。皮膚のような表層的イメージは、ひかりを透過して深層へとみちびく。
筆をつかわず、キャンパスを上下して絵具を移動させる。偶然の軌跡がもたらす造形である。それにしてもマチエールの平滑なつくりは目をみはる。
自然界との調和をもとめるかのように、アクリルケースにメディウムをたらした作品もある。そのシルエットが自然の光景をつくる。そのナイーブなイメージが魅力だ。


2008年07月06日

タイトル

今日は木村みな展の最終日で、木村さんの80歳を超えても、まだまだ大変お元気でいらっしゃる、おばあさまの半生を聞き入った。
人間、いかに向上心が大切であるかということが,戦後の焼け野原から生き延びてきた苦労話から伝わってきた。
作家さんのお母さんが、当人もの生き方に影響を与えたであろうことは、想像にかたくないが、しかし、祖父母からの教養的、芸術的な感化というものもかなり大きい影響力があると思う。
今回は,作品を見た方のイマジネーションが強くて、もっと,タイトルを他の言葉にしたらどうかというような意見がみられた。
昨年の個展の会期中に、かなりお若いにもかかわらず、熱心に「古事記」のような古典文学を読んでいた木村みなさんの宇宙観はもっと深いと思われる。
そこで、作品のタイトルをつける時の表現する言葉のありかたが今後の課題となったようだ。
扇に俳画を描いたり、俳句を作るなど、いろいろなことをなさっているおばあさまにタイトルをつけてもらうのもいいかもしれない。

2008年07月09日

搬入時のお客様

搬入時のお客は,最重要顧客と思って間違いない。
搬入で躍起になっている作家を尻目に私は,お客に笑顔で接し,ある時はお茶やビールを差し出し、
作家そっちのけで,お客と対談。飾り付けが終わる頃には,お客は上機嫌で、誰にも邪魔されずに、最新のコレクションを手に入れてほっと一息。そう、搬入時にお客が顔を出したら,買ってもらえると思って間違いはない。
しかし、そんな私の重要顧客を帰れとばかりに睨みつけた作家がいた。冷たい視線を投げ掛け、私の大切なお客様に憮然とした態度を取ったのである
彼はたぶん個展の会期中なら、そんな態度はとらず、ひたすら、お客様に愛想を振りまいたにちがいない。しかし、搬入時には精神的に非常に緊迫していたと思われる。仕方がないと言えば仕方がないのだが、そんなささいな瞬間にも,人となりというか、人間性がうかがわれ、ファンを逃してしまうことがあるのである。
そのお客様は、いつも産地直送のおいしい干物やお漬け物などをもってきてくれる。これがまた選び抜かれた一級品ばかりで,このお客さんがいらした時は,パブロフのイヌではないが、心からうれしくなる。
人間,真心と取り巻きが大事だねと一言。
今週の段ボール素材をタイルばりのように貼付けてモザイクしてできた、おづたかしの大作にこれこそ,芸術だね、魅力があるね、いいねえとの言葉はうれしかった。リアルに感想を伝えてくれるお客様には感謝の気持ちでいっぱいです。

2008年07月11日

キャンセル

10月初旬の週にキャンセル空きがでた。だいたい、こういうことは予想内なので,あまり慌てないのだが、しばらくは、様子を見て、それからどうしてもあいてしまいそうなら、グループ展を組むことにしている。お決まりの羅針盤セレクションである。
来年は、想像以上に早い予約のいりのため、グループ展の企画をいれることができなくなった。
しかし、お客さんが小品の展覧会を楽しみにしているので、羅針盤セレクションもやりたいと思っている。

紹介

この頃,何かと依頼が多い。
『頼まれごとが多いことは、いいことなのである』という信念に基づき人にはなるべく親切を心がけている。
そうでないと、自分という人間が誰の役にも立たないような人間になってしまうだろう。
人間を高める為のトレーニングくらいのつもりで、一銭にもならないようなことにまで奔走するのが、日々の勤めと思っている。
新ギャラリーオープンの新人の企画展の紹介に始まり、キャンセルなどの言い渡し、展覧会の推薦の資料や問い合わせ、ファイルの引き渡し、いろんな業者の紹介,仕事の斡旋、人の紹介、作品のプレゼン、記事の依頼や取材の申し込みなどなど、何かと雑多な用事ばかりである。それが結構、時間のかかることばかりで,難儀である。
頼む方は簡単に頼むが、引き受けた方は何かと電話したり,ファックスしたり、大変なのである。
作品を売買することを中心にして、すぐに利益に結びつくようなこと以外は全部断れたら、どんなに忙しくなく,心平和に暮らせるだろうと、ひそかにそんなユートピアを夢見るが、修行僧であった祖父母の血か、そうはいかない。
『ギブ&ギブの人生が送れたら素晴らしい』(もとギャラリー経営者であり,コンサルタントである、私の尊敬する野田保さんの言葉)のだと思って、日々修行の毎日を送ろう。

2008年07月12日

会場風景-おづたかし-

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2008年07月18日

境に引く線

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おしゃれな絵

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毎週必ず画廊に来る訪問客がいる。
自称、福の神。
僕がいると絵が売れるよといって、お留守番のアルバイトをせがむ客なのである。
画廊に集うメンバーは、時折、ゲゲゲのきたろうにでてくるような個性的な妖怪のようにおもしろい人物ばかりで、全く飽きない。
この日も、あやかったので、上記の絵が売れた。
ギャラリー山口に野見山先生の絵を見にきた方で、上品な女性客である。
この絵、とってもおしゃれね、といって購入して頂いたのだが、中田恭平くんは、どぎまぎしながら、
たいそう興奮気味のご様子。
それは、生まれて初めての展示で、生まれて初めて絵が売れたというので、それはそれはうれしそうであった。


2008年07月19日

ゴロニャン方式

この頃の作家さんは、プレゼンテーションに熱心である。
クリステイーズ香港の敏腕デイレクターがアジアのマーケットを変革したということは先日、小山氏から伺ったが、シンガポールに拠点を置くゆめアートからの作品購入においても、作家本人とオーナーが直接、逢うことが条件となっている。作家本人にプレゼン能力とコミュニュケーション能力がなければ、その場で、販売交渉は成立しない。
クリステイーズ香港の敏腕デイレクターの話からもそう思ったのだが、これからは、作家本人も個人事業主でなければ成功はおぼつかないだろう。
今までの画商という役割分担は、今後どのような役割に変化してゆくのだろうか。
さて、そんな若手作家の作品が青田買いのように海外投資家の手に渡る風潮の中で、いかにも日本らしいプレゼンの仕方が『ごろにゃん方式』である。
この言葉は、とある大学教授から聞いた言葉だが、有力な評論家などに、猫なで声で近づき、頭をなでなでしてもらいながら、のし上がってゆくというものである。
この手の作家には、女性が多いと思うのだが、なかなか有効な手だてのようである。

2008年07月24日

中学生

永田義信展を見にきたかわいい女の子三人。
どう見ても中学生。
画廊に入るなり、わあー、すごーい、、、、このおじさんちょーかっこいいと奇声。
画面にはいっている、ローマ字を読み出した。
あいしているのか、、、いないのか、、、アーーー読めた。
中学生を馬鹿にしてはいけない。ビビットな感性なのである。
画廊に行き慣れているおしゃれな学生らは、女子美の付属の中学生。
それをまぶしそうに眺めているのは、私の姪っ子のももちゃんである。
なんかちがう、、と、九州の田舎の中学生はおばちゃんの後ろから彼女達を見ていた。
夏休みになった中学一年生のももちゃんは、何を血迷っているのか、おばちゃんの画廊を継ぐと決めている。
今年,中高一貫の名門中学にはいったばかり。
西洋美術館でコローを鑑賞。
博物館で、恐竜を見、伊東屋で文房具を買ってゴキゲン。
元,国語の先生だったおばちゃんとしては、教えたがる思いを止めることが出来なかった。
しかし、モナリザの作者をすらすらと言えたのには驚いた。
中学生と言えども,馬鹿には出来ない。

あいしているのか、いないのか

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2008年07月27日

あいうえお はひふへほ

姪のももを連れて、奥野ビルのギャラリーに行った。
地下の階段下のギャラリーで靴の足跡をかたどった絵にももは反応する。
『おもしろいねえ』振り返りざま、ここもギャラリーかと問う。
さらに銀座一丁目というギャラリーで、ももちゃんは叫ぶ。
『あ、猫集会だ』
そして、猫の絵がらのピンバッチを見つけた。150円。
にんまりしながら、オーナーさんにお金を差し出した。
そして、自分の住所を書いた。
「もえもえ(萌々)なんだあ」と声をかけられたところ、いつになくはっきりした声できっぱりと言い放った。
「も も  です」
ももは、ミヒャエルエンデのモモなので、もえもえではないと後でおばちゃんに語って聴かせた。

以下の詩は 姪のももが小学4年生の時に毎日新聞に掲載された詩である。

あいうえお に はひふへほをつけたら
あは いひ うふ えへ おほ
なんだか たのしくなってくるよね

おかざきもも


ももは昨日九州の家に帰った。
空港について、大好きなコカコーラを飲んだ。
そして,別れたあと、『今搭乗口に着いたよ!緊張するなあ』と絵文字付きのメールをくれた。
今どきの中学生は,メールで返答するのである。

モモのパパは、佐野紀満のファンである。
倉庫会社の役員なのだが、常務室には新たに3点の新作が飾られていることだろう。
ももとぱぱは画廊に来るなり、佐野くんの絵に釘付け。
これもあれもと親子で選び、3点をゲットした。
母と弟とももで買い占める日も近い。

いまどきこんな絵

アートソムリエの山本さんが以下のようなブログを書いてくれていた。

『ギャラリー羅針盤に行ったが、入るなり社会主義国のポスターかと思うような絵が目に飛び込んできた。よく見ると板を掘ってあり、版木のようなものに色をつけたような作品だ。いまどきこんな絵を描いている人もいるのだと、やや驚く。』
さらに
『前述した永田義信さんは、筑波大学を卒業し、2006年には青木繁記念大賞を受賞しているし、二紀会でも既に同人であるがこれではとても絵では食えないだろうと思ったが、やはり学校の美術の先生をしているようだ。流行を追うのはやさしいが、いまどきこんな絵を描いているところが好きだ。』

「今どきこんな絵」なので、ある種の異様なインパクトがあり、かなりの反響があり、貨幣と利殖の業界の新聞紙に大きく一面で、若手作家のホープとして紹介されることになった。

2008年07月29日

エクアドルの帆船

先日、国立近代美術館にイタリア現代陶芸の巨匠であるカルロ・ザウリ展を見に行った。
ちょうど、ギャラリーガイドの日で、講義を聴きながらの展覧となった。彫刻に触ることもできて、たいへんおもしろかった。
見終わった後、2Fのレストランでハーフサイズのチキンとビールを頼んだ。クイーンアリスは有名店だけあって、料理は格別においしい。午後のテラスにでて、暮れてゆく空の様子をみながら、のんびりするのがいい。
日が暮れる前に相棒を誘って、晴海に寄港しているエクアドルの帆船を見に行った。世界の艦船の専属カメラマンから、今日は入れないとの情報だったが,午後からは一般公開をしていたので、甲板で潮の香りを楽しむことが出来た。練習船の帆船なので、小さいながらもシルエットは美しい。
艦船マニアらしき人物がいるので,話しかけると,これから来航するいくつかの船の情報を教えてもらった。
月刊誌『世界の艦船』編集部に勤めていたのは10年も前のことだが、艦船マニアは今も健在のようだ。
以前,日経ラジオに出演したとき、クラムアートの大西さんが軍艦の話ばかり、聴きたがり、本題のアートの話に戻るのが後回しになった、羅針盤のルーツは軍艦なんだと納得していただければよかった
だけのさわりであったのに。

旗ふり海賊

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永田義信展

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2008年08月13日

原稿募集中

昔から文才のあった教え子が原稿を送ってくれた。
ありがたい。
ブログに載せる原稿を募集しています。
皆様よろしく。

こゆ先生

田村さんの感想書きました〜☆ 先生が「万葉オタク」って言うから、ちゃんとそれを発揮してみたよ(笑) 誤字脱字がありましたら、ごめんなさい。以下、本文です。

ではでは☆ にーなより

山影を追って――『田村正樹展』感想
藤井仁奈

田村正樹さんの作品に出会ったのは、数年前の秋のことだ。彼は、持ち歩いていた鞄から、一枚の白い美しい絵画を取り出し、羅針盤のスタッフルームで拡げてくれた。一瞬にして私は、頭の中の世界を占領されてしまったのだ。春の霞がかったような、真っ白な光の世界。
 以来、田村正樹の東京で行われる個展を、私は数回にわたり見てきた。そこにはいつも白の中に浮かぶ山影のような焦げ茶とも黒とも表現しがたい心の闇のような存在を感じていた。
 今回のアートスペース羅針盤での個展では、ひときわ眼を惹いたのが「Genesis」だ。羅針盤の岡崎こゆ氏も、〈格闘する絵〉とブログで述べられていたが、その〈気概〉は確かに作品の中に存在していた。七転八倒しながら、苦闘の末に完成させた白くはない世界。むしろ、黒と焦げ茶の、破壊と再生の物語。ひょっとしたら、その物語のなかで、〈格闘〉の末に白の世界を破壊して、新たな天へと湧き立つ黒い山の物語を再生させたのかしら……。
 「Genesis」をゆうに半時間以上鑑賞したあと、再び眼を惹いたのは、やはり白の「韻」という作品だった。画面いっぱいに拡がっているのは、美しい品のある白の世界だった。作家は言った。「ある本の中に『気韻』という言葉があって、その文で使われていた『気韻』の意味と作品のイメージが重なった」と。つまり、〈気韻〉の白。それはまさに作家のこころの表裏を垣間見た瞬間だった。苦闘の黒と、品の白。予期せず、作家の内面の深さを感じてしまう。
 羅針盤のスペースを一周する私が、最後に惹かれたのは、「湧」。作家の基本的なモチーフとも呼べる「山影」のアルカイックな雰囲気が、そこには現れていた。それを見て安心感を覚えたのは、多分それが作家の心の奥底にある遠い記憶の、あるいはもしかすると日本人の記憶に脈々と受け継がれてきた原風景だからなのだろう。
田村正樹の絵画は、抽象でありながらも叙景詩のような感覚を鑑賞者の中に引き起こす。そういえば、こんな歌を思い出す――〈三輪山を しかも隠すか 雲だにも 心あらなも 隠さふべしや〉。

2008年08月14日

白い制服

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2009年01月11日

あけおめ

あけましておめでとうございます。
今年もますますパワーアップしますので、どうぞ宜しく御願いします。

初日から作品が売れ始め、明るい兆しすら見えてくる羅針盤です。
芸大生達のフレッシュで意欲的な作品は、お客様を惹き付ける魅力があります。

是非、見にいらしてください。

2009年02月15日

滲み出る感性

自画自賛ではないが、今年に入って素晴らしい展覧会を連続して開催出来ている。
日本画の秀逸な大型新人作家を次々と紹介できたので、画廊への期待は更に高まっていると感じる。
作品が好きなのでお声かけさせていただいた作家への期待感は高まるには違いない。
しかし、予想以上の反響があったのは、たぶん、作品もさることながら、作家さんの人柄や人間性が素晴らしかったからだ。
若くて、才能にあふれながらも、努力も惜しまない。
しかも謙虚な人柄から学ぶことは多く、滲み出る人間性の素晴らしさに感動しながら、あまりに楽しすぎる毎日だったので、ブログどころではなかった。
と同時に、キャンセル空きがあり、グループ展などを企画するなど忙しくしていたので、余裕がなかった。
キャンセルがあっても,かえって良い展覧会になるようなチャンスにするというのが羅針盤のモットーであり、ピンチをチャンスにかえる発想さえあれば,ある程度のことは乗りこえられるような気がする。

岩坪賢の初個展がすばらしい

今週は以下のようなメールをいただいたのでご紹介です。

日本画の岩坪賢の初個展がすばらしい。中央区京橋のアートスペース羅針盤で2月14日まで開かれている。左右2メートル前後の大作に、若い娘たちの眠っていたりくつろいでいる姿を描いている。画面には2、3人の娘たちが描かれているが、彼女たちがいる空間は微妙にずれていて、同一面に存在していない。不思議な空間構成となっている。それも大きな魅力だ。

 いや最初に眼につくのは岩坪の絵の巧さだ。だが単に巧いだけではなく、不思議な画面を作っている。それが魅力なのだ。

 画廊で配布しているカタログには内田あぐりの言葉が紹介されている。

 いったい、彼女たちは何を思いながら其処にいるのだろうか。肉体の重さを持たずに、手足を投げ出しながら、彼方を見つめている。作者が描く女性たちは、表面的な美しさだけでなく、一人の人間としての内面性まで顕れている。若い感性が滲みでる、美しい絵画世界である。

 岩坪賢は1980年大阪府生まれ。2006年武蔵野美術大学大学院日本画コース修了。すでに3月7日から始まる「第28回 損保ジャパン美術財団選抜奨励展」への出品も決まっている。

 岩坪にサインをお願いすると、小さなスケッチブックの片隅に楷書体の真面目そうな署名をしてくれた。性格が表れているようだ。

2009年03月12日

雪景色

本間法子さんの個展を開催中。
本間さんのふるさとは,北海道の小樽である。
真っ白な雪山ばかりではなく、しんしんと降る雪に様々な光が乱舞して,オレンジ色に染まり、夜景は美しく彩られるらしい。
そうした現実の小樽の夜景を鮮やかなオレンジ色で描いた大作は見応えがあり、寒さを忘れて、心が温まる瞬間だ。
今日は、お客さんに誘われて,お台場のテレコムセンターでFXの講義を聞き入り、そのあとパシフックホテルでフルコースとワインを楽しんだ。
FXは私には全くなじみのない外為オンラインのことだが、大変面白かった。
しかし,元来、懐疑心の強い私には向いてないと思った。
24時間もやっていられるとなると私の性格からして、おちおち、夜も眠れなくなるではないか。
これではもともこもない。
本末転倒だ。
という結論が出て、フルコースを堪能することにした。
フルコースは伊勢エビとほたてのカレー風味のクリームそえと牛タンのステーキがメインだったが、スープがたいへんおいしかった。
エグゼクティブな女性が学び合おうという第一回目の会だったが、やはりフランス料理に惹かれてしまったことは正直に認めねばならない。

2009年03月18日

ヘビとチョウチョ

ヘビとチョウチョに共通するものは、輪廻ということだから、金未来(きんみれ)の絵は、彼女の死生観を表現していると思うんだ。。。。と、美味しい京風イタリアンのコース料理をいただきながら、彼女の絵を見たカメラマンはいう。
昨日は、丸の内にある洒落たレストランでフルコースを堪能。
オリーブオイルが二種類あって、大変香りが強く、その独特の香りが癖になる美味しさだ。
パンが4種類あり、どれもこれも美味しい。
前菜は鯛の刺身を彩ったもので、まるでお菓子のように美しく盛られ、食べるのが惜しくなるくらい。真っ白いお皿にガラス細工のように繊細に盛りつけられていた。
ついぞ、丸の内のレストランには訪れる機会がなかったが、来てみるととても快適で、普段着のように慣れ親しんだ銀座の裏界隈のお店とは違う新鮮さがある。
おいしい料理と絵画の話。
なんと至福の一瞬とひとりごちる。
みれさんの絵の中で、小ヘビを口にくわえるシーンがあるが、ちょっと気になるところである。
さらに一部、顔にうろこが描かれているが、なんともそれがそそる感じがしていい。
この作品は、豊橋トリエンナーレで審査委員長賞を受賞した作品である。


2009年03月29日

圧迫される現代人

「ビルに圧迫されるんだよね」
都庁にお勤めのコレクターさんは、川田綾子さんの作品を見ながら云う。
そして「古い人家をビルから見下ろすようになるんだよね」とも。
川田さんの作品のモチーフは、人目につかない路地や倉庫街やビルの谷間にひっそりとある人家の屋根などだ。そこには人の気配はない。猫すらいない。
焼け野原から復興した戦後の日本を描いた池袋モンパルナスの画家たちのような郷愁を誘う、やや、かなしげな色使い。
華やかな繁栄の裏。
取り残されたような古い人家。
しかし、彼女の筆致は力強く、確かな確信に満ちている。
しかも構成力の確かさからくる安定感がある。
学芸員さんが欲しがっていた作品は軍艦島を描いた作品だ。
ネットで見たお客さんからもオファーがあったほどの人気の作品だが、この作品は建物よりも空や海の色が魅力的である。

メールたより

先々週の羅針盤セレクションに参加した作家さんから以下のようなメールをいただきました。
こういう感想をいただけると張り合いがあり、うれしいですね。
参加した作家さん達がこれをきっかけに大きく羽ばたくようになってもらいたいものです。

この度、羅針盤セレクションにお誘い頂き本当にありがとうございました。
東京での展示は京都で展示するのとは全く違った経験を得ることができとても勉強になりました。
展示を見にきて下さった方々と自身の制作内容について深く話せた事で客観的に自作を見つめ直すことができ、今後の展開が良い形で目の前に広がってきたので本当に充実した良い時間を過ご
す事ができました。羅針盤さんでの展示以外では決してお話することが出来ないような方々にもお
会いし、意見を頂けたことは貴重な宝となりました。

メンバーの皆も気さくで本当楽しかったです。皆モチベーションが高く、一層気を引き締めなければ
と思うことができました。

2009年04月10日

ねじれ

人間関係というものは大変難しい。
「一度ねじったモノをもう一度ねじると、元の位置に戻ってくるだろうか。おそらくは戻って来ない。」
これは、今回の四宮義俊のコンセプトについて明記してあった文章からの抜粋だが、このことは人間関係においても多くのことを示唆してくれるだろう。
一度ねじれた人と人のつながりをもう一度再生しようとしても元の関係に戻れるだろうか?
一度、離婚した相手ともう一度楽しい結婚生活が送れるだろうか?
おそらくは、難しいであろう。
画商を営みとしている私の事でもあるが、作家さんとの関係も、一度ねじれると修復は不可能であることが多い。
金銭がらみとなると、ますます難しい。
作品の素晴らしさは認めても、作家個人の人間性に疑問をもち始めると、つきあいはたいへん困難だ。
だいたい、お互いにこの相手とは馬が合わないということをお互いが感じ合っているから、なんとなく疎遠になる。
意外なようだが、私は桜島のように爆発するたちだ。
なかなか、穏やかな精神状態を保つことは難しい。

2009年04月13日

39℃

先週の木曜日あたりから、風邪気味のような気がしていたが、いよいよ本格的に様態が悪くなった。金曜日の夕方から高熱を発し、40度近い高熱だ。
ここ四、五年はこんな高熱になったことはないので、体温計が壊れてるのかと思ったが、ただ事ではない苦しさなので、インフルエンザにかかったのかなと疑った。
高熱の中、このまま死ぬのかなあなどとつぶやいていると、『どうしたの?』と電話をかけてくれる人がいるので、このときはさすがにお願いがあると頼み込んで画廊の搬入と搬出をお願いした。
高熱のためだろう。火だるまになって死ぬ夢を見た。
今日は早速、病院に行った。
インフルエンザでもなく、単なる風邪と分かり、更にすっかり良くなっていたので、ほっとした。
やはり、健康管理が一番と思い知った。
栄養を取って、早く寝よう。

2009年04月14日

陸ガメのカシオペア

今、展示中のヤワラカイワタシノというグループ展に笹川香織さんという若い女性作家さんがいる。ホームページがあるので、のぞいてみたら、ペアペアと云う名前の亀を飼っているらしく、主に亀の写真ばかりで、亀にヨーグルトを食べさせたりする。写真は、ヨーグルトだらけの亀の鼻で、それでも「鼻の穴がくっきり2個ある」とか、「ペアペアは顔のすぐ上に蝶々のイラストの模様があるのが特徴」などと観察眼は鋭い。
しかし、今どきのペットの亀も何やら他のペットのように甘く愛されているようだ。
昔、川で釣りをしていると、足の上で昼寝していた亀がいる。あまりにかわいいので、家に持ち帰り、水槽で飼っていたが、ヨーグルトをあげたことはなかった。
川でカニも釣れたので、持ち帰り、同じ水槽で飼っていたが、ある時、亀が甲羅のみで浮いている。
よーく見ると、亀の頭はカニの爪に刺さっていたのであった。もちろん、亀の足はそれぞれがカニにくわれたあとであった。
小さな水槽でもおそろしい生存競争が繰り広げられていた。


2009年04月15日

ヤワラカイワタシノ

昔からなじみのが画材屋さんが嘆いていた。
まったくといっていいほど、額が売れないのだそうだ。
今、何でもネットで手に入る。
ネットオークションも盛んだ。
とても安い中国産のフレームが安価で手に入るし、仕上がりもきれいで、ほんとにびっくりするほど安い。
注文を取る額縁制作屋さんは、ますます競争に勝てず、材料を仕入れることもままならないと聞く。
絵描きさんは,絵を描くことには精魂込めるが,最後の仕上げの段階のフレーム選びにはずいぶんと手抜きのような気がする。
ファッションセンスを磨くように、フレーム研究でもして、自分の絵にあったフレームを見つけ出して、ピタと決めて見せてくれませんか?
そういう努力もしてもらいたいものである。
絵をいじくり回すより、グレードアップするかもしれない。
しかし,評論家やコレクターたちというものは、ゼロから創作をする芸術家に対して、ああしたら、こうしたら、と蘊蓄をし、純粋でうら若き「ヤワラカイワタシノ」感性にぐさっとくるような助言を致すようではあるが、ひやかしや自己満足のための語りは、困る。
羅針盤にはそういうたぐいのお客様は少ないと思うが、一番の賞賛は購入し、手元において見続けてあげることですと、私はいいたい。


2009年04月18日

風の音

今日は久しぶりのオープニングだった。
野見山先生や山本貞先生などそうそうたる作家さんが大勢いらして賑わった。
二紀の女性6名の実力派ぞろいのグループ展、風の音だ。
いつもなら調子にのって飲むところだが、控えておいた。
また風邪がぶり返したり、体調を崩すと困るからだ。
今週は,モダンアートのオープニングもあり、懐かしい地方に住む作家さんと会う約束もしているが、
夜はお出かけは控えたい。
もう少し暖かくなったら、スポーツ倶楽部に入ろうと思っている。

2009年04月21日

献上

以下のようなメールが来た。

「さっきはビールごちそうになりありがとうございました!!
めちゃめちゃ楽しかったです!
今 帰り道、お腹が減り 先程頂いた食パンを2枚頂きましたが
ハッキリ言って食パンとは別モノと思う程旨いですこれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
最高ですっ!
どうしてもそれだけ伝えたくてメールしてしまいました。
ご馳走さまです!

とあるが、この食パンは羅針盤の近くのホテル西洋銀座の有名な食パンで、一日限定数のある高級食パンなのである。

そこで、すぐメールした。

だろ!!!!!!!!!!!
高級なパンはうまい。
当たり前かって。
およそ、画廊のオーナーの言葉とは思えないリアクションでした。
では、またいい絵かくんだよーーーーー。
其れしか期待してないから。
がんばれ。
酔っぱらってます。
すいません。

絵描きさんは、美を探求する人種なので、美食家が多く、案外、舌も肥えている。
本当に一級品といわれるものの価値が分かる人なのである。
だから、若い作家さんにも敬意を表して、美味しいものを献上しているのである。
もし、本当に美味しいものをもっと美味しく味わいたいなら、絵描きさんにも極上品をごちそうしてみよう。
ものすごく喜んで味わってくれるに違いない。


2009年04月22日

才能

弟の娘を画廊の跡継ぎにしようと思って教育中だ。
早速、成績の結果を報告させた。
まだ、中学二年だが、教育で大事なのはここのところだ。
おばちゃんは朝の復習を勧める。
人並みにぼんやりと寝ていてはいけない。
人より早めに起きて,復習をせよと言い聞かせた。
自分はとても精力的な子供だった。
毎朝,早く起きて、昨日の夜,覚えたことをもう一度復習していた。
中学二年で油絵を知り,誰にも教わることなく,油絵を描いた。
誰にも教わることなくシュークリームを作った。
誰にも教わることなく,小鳥の繁殖のコツを覚えた。
その頃、荒れ果てた校内暴力の中、クラスの問題児の対応に困った先生の相談にのっていた。
生徒である私がである。
いじめもせず,いじめられもせず、なんだか違う時空で存在していたみたいだ。
大人になり、耳の聞こえない学校で先生をすることに。
職員室で、ワルの生徒をどう指導するかについて会議していたが、だれもそのワルの良いところについては語らない。
そのワルは、書道が上手でずば抜けて感覚の良い生徒だったので、こっそりコンクールに出しといたら、その会議のあと、読売新聞社賞を受賞。うれしかったね。
先生達に「彼はワルではないよ、だたまだ自分の良いところを発見出来ないから、ふてくされてるだけだよ。今に彼のすごさに気がつきますよ」と分からない先生方に教えといた。
才能は埋もれている。
誰かの手で発掘しなければ、本人自身が気がつかない。

2009年04月23日

習慣

以下のようなメールをもらい照れています。どうも。。。。。

私は毎朝 パソコンの電源を入れメールチェック後、羅針盤のコンパス通信を見る習慣です。
今回の「才能」を今朝読んであまりにも感激したので思わずメールしました。
ワルと言われた生徒、他の先生は彼の悪い点しか見ていない、しかし岡崎さんは良い点を見つけひそかに応援してあげ、結果彼が賞をとれた所。
周りの方のような一方的な見かたでなく、岡崎さんは平等で広い見かたで人に接し応援しておられると思い、朝から目の奥が熱くなりました。
教育とは、そうでなくてはならないし、その優しい大きな視点でギャラリーに立っておられる事がとても嬉しく思いました。
その様なギャラリストに出会えた私は幸せだと思いました。

感性の道場

昨日、登校拒否児の学校の理事の中島清さんが、バリトンのオペラ歌手とご一緒にいらした。
中島さんは,大変立派な方で、昨年に脳梗塞で倒れられたが、不屈の精神で、回復。
回復までの壮絶なリハビリ闘病記を綴っていた。
今も、やや麻痺を抱えながら、リハビリといって、画廊まで訪れるのである。
「感性の道場、アートスペース羅針盤に行ってみよう」とブログにまで紹介していただいている。
ご一緒にいらしたオペラ歌手さんは、『この絵はみな何かの宗教観のようなもので統一されてる感じがするが、どうなんでしょうか?』と、作家さんらに聞いていた。
イタリア歌曲がご専門らしいが、本日はその場で、日本の歌曲を歌っていただいた。
画廊が振動し,地響きがするほどの太く大きな声で素晴らしい喉を披露。
身体が大きな楽器に見えた。
一階のオーナーの山口さんが「何事ですか?」と上がって来られたが、プロの歌声は鳴り止まない。

2009年04月25日

亡霊

以前のことだが、東京駅で後ろから「あなたの顔にあまりにもはっきり誰か他の方の顔が写っているので」という若い女性が云う。
名古屋までの新幹線に乗るので、時間がない。
後ろからついてくるので、大きな声で『印鑑の勧誘?いりませんよ。』とはねつけた。
しかし、女性は、『今日,誰かの命日ではないですか?』としつこい。
はたと気がついた。
その日は,祖母の命日であった。
その日、地方都市のセブンイレブンで、竹取物語ではないが、かぐや姫のいた竹のようにぼーっと光るものを発見。
それは、文庫本の背表紙だった。
ジェームズ・アレンの『原因と結果の法則』と云う本だ。
地方都市のホテルで一気に読んだ。
素晴らしい本だった。
そして、どうしても他人とは思えない気がしたので,生年月日を見ると自分と同じではないか?
そして、弟とも同じで、弟のちょうど100年前の人だった。
「原因をもたずに発生する物事は何ひとつありません。発生することのすべてが、そうなるための正当な理由をもっています』とアレンは、人生の永遠の課題をシンプルに解き明かしている。
今年は十何年ぶりかでお墓参りをしたが、そのご褒美か?

2009年04月26日

上野明美さんの描く人物は不思議な魅力がある。プリミティブでありながら、どこか仏画のような静けさで、人を包み込む。
3年くらい前まで、一世を風靡した現代美術画廊、汲美、という画廊があった。
そこの画廊主は、イソラさんと言って、一橋大学を出、エリート社員だったはずだが、現代画廊の州之内徹に憧れ,潔く脱サラ。
お酒を酌み交わしながら,絵の話をする、サロン的なギャラリーで多くの作家を世に送り出した。
イソラさん自らも島達として、絵筆をもち、死の直前まで、自叙伝的映画を制作して上映するなど精力的に生きた人だった。
ある冬の日、汲美で絵を購入。
接待のような感じで、南千住に連れていかれた。
多くの労働者がたらふく食べられるほどの安さの不思議な店だった。
二階にはカウンターバーがあり、中国人女性がたくさん並んでいた。
私は以前、大学近くの
小金井で下宿を探そうとしたが、「中国人留学生お断り」と断らわれた経験から、中国人マフィアに間違われないかと内心びくびくしていた。
そこに毎日、デッサンをしにきている作家で、リアルな顔を描く作家が上野さんの絵を見に来てくださった。


2009年04月28日

有難い

朝一番にいらっしゃるお客様は、有難いことに副住職さまである。
先月は、花祭りを開催し,自ら演出まで成し遂げ、来年は、ケーブルテレビにもその様子を放映したいと意欲満々なのである。
花祭りは、檀家に集まるご高齢の方の健康をおもんぱかってのことで、両手には、桜の花の枝をもたせて、華やかな踊りで,振り付けも,歌もすべてはオリジナルというからすごい。
参加費は500円である。
この住職様は、とても良い声でいらっしゃるので、話の内容よりも、耳に心地よく,気分が良くなるので、何となくお引き止め致したくなるのである。
さて、副住職様のお父様がお書きになった御本『生活の中の仏教語』が大変面白く,ためになるので紹介しよう。
たとえば、

有難い-ありがたい
何がそんなに有難いのかと言えば、実は「人間としてこの世に生れ出たことが有難い」ということなのである。

ゴキブリに生まれて来なかったことを、感謝すべきだとは云わないが、仏教の教えによれば、人間に生まれてくる確率は、気の遠くなるほど少ないのである。大海に浮かぶ穴のあいた木片に、盲目の亀が百年に一度浮上して、偶然その穴に首を突っ込むほどの、少ない確率と教えているからである。

総じて,現代人は感謝する心がなくなってしまった。『お陰』も「ご恩」もすべて捨ててしまった。有限の人生にあって,無限の欲を追い求めても、そこには『苦』が残るだけだというのに。

2009年05月03日

壁塗り

昨日は、作家の坂本佳代子さんは、静岡から大きな絵と一緒にトラックに乗って搬入にいらした。
そして、また4時間後には、どんこにのって実家,富士市へお帰りになるらしいが、一人で飾り付けという。
今回は、私も出番とばかり、時間に間に合うように頑張った。
この頃、年をとってきたせいか、無理をすると,次の日にしっかりと疲れからくる症状なるものが出る。
しばし、私の元気さにも翳りが見えてきたため、身体をいたわりながら,ライトの微調整をするのである。
坂本さんの作品は、余白が美しい作品なので、壁の汚れは致命的と思い、作品をきれいに見せたいと強く思ったので、坂本さんとおにぎりを一個ずつ食べ終わってから、作品を外して、白く壁を塗った。
さっぱりときれいになったので,気持ちがいいが、さて、次の日に、疲れがどっと押し寄せなければいいが、やや心配になった。
しかし,どうしても行かねばならぬ上野の美術館と船堀でのアートイベントがある。
上野は、大変な賑わいだ。
賑わう人の群れの中で,ひたひたと孤独感が湧いてきた。
家族がいないと行楽日和もさびしいなあなどとセンチになったりする。
やはり,夕方から、昨日の壁塗りの疲れが出てきたようだ。
楽しみにしていた船堀でのアートイベントは、諦めて、自宅に足を引きずるようにして帰った。
弱々しくなったものである。


2009年05月04日

作家の夫

女性作家たるもの,夫にふさわしい男性選びを誤ってはならない。
それは、世のすべての女性にも云えるのだが、女性作家ともなれば夫選びによって将来が大きくかわると云えるだろう。
先週の作家さんの旦那様は、同じ作家さんではあったが、人間味溢れ、立派な方であった。
あたたかな人柄は、彼女が病気になっても見守り続け、支えていることでも充分だが、展覧会では他のメンバーの方の展示を嫌な顔一つせず、率先して行うのである。
さらに妻の展示中に夫のお母さんがお見えになり、作品を購入してくださるだけでなく、励ましの言葉までいただいた。
息子以上にお嫁さんの活躍に手放しで応援出来るお姑さんに感激した。
昔,美大で油彩を描いていたという。
お姑さんが美術が大好きな方だったら、ほとんどのところ、結婚生活はうまくいっているように思う。
押さえどころは、旦那のお母さんだ。

2009年05月06日

道楽

「儲からなくて良いんだよ」と社長は、説得力のある声でおっしゃる。
といいながら、「ああ買い足りないなあ」とおっしゃる。
「まだ買うんかい?」と心の中で思う。
「今日のところはこの辺で」と口ごもる。
お客さんの財布の中は,さみしい状態なので、「ラーメン代ありますか?」といらぬ心配もする。
羅針盤の倉庫の中には,私のコレクションなるものもあり、あまり見せたくないものもある。
コレクションは売りたくないが、コレクターは嗅覚が優れているので、ちらとでも見せると、お気に入りの絵ほど、食いつきが良い。
何故なのだろう。
私の気に入ったものを気に入らなくても良いではないか?
私の気に入ったものはこっそりの楽しみだから、人にどうこう、云われたくないし、売る気もないので
ある。
ギャラリーに飾ると、とたんに商品になるので、お気に入りはゆめゆめ自慢げに見せびらかしてはならない。
しかし、そんな商売っけのないことでいいのだろうか?
半分、道楽のような仕事なので、商売に徹しきれない。

2009年05月08日

すべては回っているんだね 夜も朝にくるりとね

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『すべては回っているんだね 夜も朝にくるりとね』

昨日は、画廊をアルバイトに任せて、家で経理などしていたが、急に眠くなり、起きたら夕方だった。
お腹もすいたので、今、こっているカトキチの冷凍うどんを食べたら、うとうと。。。。。
カトキチの冷凍うどんは歯ごたえがあっておいしい。
つゆにごまをたっぷりかけて食べるのが好き。
ぐっすり、眠り込んでしまい、とうとう次の日の朝が来た。
『すべては回っているんだね 夜も朝にくるりとね』とは、坂本佳代子さんの絵のタイトルだが、まさに、私の生活そのものだ。
夜が来て、朝が来て、とうとうくるりと次の日だ。
坂本さんの絵のタイトルは、私のことのようでもあり、どこか哲学的でもある。
『だけど僕の生活は どこか 奇麗な円にならない』
確かに、私の生活はかっこよくない。
傍目で見ると、現代絵画を扱うギャラリストであり、奇麗でかっこいい仕事なはずだが、実際は私だからなのだが、ハチャメチャで、ドタバタの喜劇だ。
『やっと 何処かで つながりながら ガタゴト揺れる 線で描いて』
まさに、そのとおり。
画廊は10年を迎えたが、やっと人と人が繋がって、低空飛行ながら、軌跡を描いて今があるんだ。
人間の営みというのは、彼女の描くような奇麗な円にはならないが、ガタゴト揺れながら、人生という道を描いてるのかもしれない。

2009年05月11日

23人の会

日曜日から23人の会展が始まった。
大学の美術部OB会で、なんと36回も続いているらしい。
ほぼ、団塊世代と無気力世代の狭間の世代といったらいいか、50歳代なのに、とてもバランスのいい生き方をしている、伸びやかな人たちの集まりだ。
東大を始め、有名私大の美術部のサークルが主体だが、しかし、武蔵野美大出身の方もいて、なかなか
面白いと思う。


2009年05月12日

いつだって緊張

月刊美術の「これが円熟の力!アートは50年後に真の評価をされる」という対談が掲載されている。
作家の佐々木豊と評論家の本江邦夫先生のカットの写真には、野球少年だった二人のキャッチボールの姿が掲載されていて、長身の本江先生は結構かっこいい。
学生の頃、芸大と東大で試合して完投勝利したとある。
なんと、ピッチャーだったのだ。
「僕は50代になった頃から色々なことがよく分かり、妙なこだわりがなくなったんですよ。その一方で,常に真剣に絵画を見ていました。どこにいい絵があるか分からないからいつだって緊張している」と語っている。
その姿勢には、感激した。
実際に忙しいにもかかわらず、毎週と言っていいほど,おいでになりますから。
よく目を凝らして絵に近づき、作家がいると質問などするお姿は印象深い。
私もたくさんの案内状をいただくが、なかなか個展会場にまで出掛けられない。
言い訳などせずに作家さんの待つ会場に出掛けられるようにしたいと思う記事であった。


2009年05月14日

「東京街景」

23人の会の橋谷勇慈さんは、「東京街景」を題材に巨大都市「東京」のいろいろな表情を切り取り、700点近くの油彩を描いている。このところは、画廊企画をはじめ、大忙しのもよう。
近作では、コージーコーナーのあたりを描いた風景がとてもいい。
コージーコーナーのフルーツティーは贅沢にフルーツが入っていて、果物の自然な甘みがおいしい。
二階の窓から見える景色もお気に入り。


「東京」は冷たい街ようにも見えますが、確かに人の血は通っています(通っていてほしいです)。 そんなところを画風から感じていただければ幸いです。
それとは別に、最近のテーマは「色と形とタッチやマチエールなどで平面を構成して、何か自分なりにの価値のあるものを生む」というセザンヌ的な絵画の追求にあります。その方法として抽象表現ではなく、対象として従来通り身近に接する風景を選んでいます。

とホームページで、東京の懐かしくなる風景などの作品を掲載している。
http://homepage3.nifty.com/hashy/


2009年05月24日

ロックンローラ―

たまにはロックでもと、江古田にあるライブハウスのekoda buddyへ。
アラフォー世代は、佐野元春や山下達郎やユーミンを聞いて青春していた。
ど田舎の小学校を卒業し、大きな中学に行ったところ、横須賀などや横浜生まれの都会っこの友達が出来て、家に遊びに行くと、中学一年でギターなんかもっていて弾いてくれる。特に井上陽水の曲にしびれた私は、すぐにおこづかいをためて、ギターを買った。なかなか上手にならない。本来なら小学校からやっているクラリネットの練習こそしなければならないのに、ギターの方がこっこいいじゃんと思ってたみたい。
ライブは,4時からなので、楽しみにしていた練馬区立美術館へ直行。現代の水墨画2009を見る。
三瀬夏之介の大作はおもしろかったなあ。
佐藤美術館での個展もすごかった。パワー全開だし、あれだけ作品があれば説得力がある。
美術館をあとにし、ライブ会場へ。
今日のステージに立つロック歌手は、石渡長門氏。
前に勤めていた会社で大変お世話になった方のコンサートだ。
ロックンローラーなのだが、小さい女の子も愛くるしく腰をふりふり踊っていた。
やはり、ぼんやりしている場合ではないな。
絵描きもしぼんでる場合ではないな.ロックンローラ―せなあかんやろ。


2009年05月27日

ゴスロリファッション

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写真家の雨宮里江さんは、オズマガジンにて上記のようなファッションのコーディネートでグランプリ受賞し、お洋服をもらったらしい。
こういうゴスロリは原宿あたりで流行ってるのか、よく知らないが、とても似合っていて、しかも下品にならないのがすごい。
アーチィストだから、表現者としての存在感があるのだろう。
やや低い声なのに、笑ったりする仕草がかわゆい。
とにかく、いつでも描いてる、いつでも写真とってる、いつでも表現しているのだから、すごい。
作品の膨大なファイルもあり、彼女らしさは満載だ。

井元千香展

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 今週は、井元千香展です。
月曜日は、朝からお客さんが沢山お見えになった。
彼女の絵にはたくさんの生き物が描かれている。
クスクスもいるし、なまけものもいる。
たくさんの鳥や子供達が遊んでいる。
彼女のふるさとは和歌山は紀伊半島の白浜の海辺近くと聞いている。
おおらかでやさしい雰囲気をもった彼女の性格も明るい陽光の中でおおらかに育まれたにちがいない。
ひまわりの大輪の花のようにぱっと華やかな雰囲気をもっているので、アップしてみた。

2009年05月28日

習慣

今日は,アルバイトのちこさんがお休み。
ちこさんは、日本画家。
今日からK'Sギャラリーで個展を開催している。
日本画といってもダークな抽象画だ。
銀箔を敷き詰めてその上から岩絵の具で構築していくのだが、やや重厚感があり、知的な構成力とクールな色彩が魅力。
いつも木曜日は,地子さんに任せて,家で仕事したりしているが、なぜか3時からうとうと。
習慣とは怖いものだ。
画廊にいるのに,耐えられず,猛烈に眠くなり,椅子を2つ並べて、完全な状態でぐっすり寝込んでしまった。
一階の山口さんは、お着物姿で颯爽としているのに、私は睡魔に襲われ、グースカである。
いかん,いかんと思いながら、作家に知られないようにと願ったが、そんなことはお見通し。
そっとしておいてくれたらしい。

2009年05月29日

ニュージーランド便り

友遠方より来る、また楽しからずや。
との言葉通り、懐かしい友人からのメールがニュージーランドから来た。
彼女は、児童書や絵本の編集者であった。
明るく,きれいで、聡明な編集者であり、いい絵本をいつも紹介してくれた。
お陰で、うちの姪っ子や甥っ子のクリスマスプレゼントは,大変珍しい海外の翻訳絵本ときまっとる。
彼女の紹介で、セーラー出版の絵本の展覧会などの企画も行うことが出来た。
絵本は子供のためのものだろうか?
疲れた大人にこそ,こころの栄養は必要なものだ。

以下、彼女からのメールだ。
部分は抜粋ですが。


久しぶりに羅針盤のサイト訪問しました。
羅針盤10年になるのですね。
展示会のなかに、成瀬遼さんや河原隼平さん、小山利枝子さん、そして藤澤伸介さんのお名前を拝見して、
時が止まったかのような懐かしさを感じました。
でも、皆さんの今の作品を拝見して、そこに進化を見、時間の流れを感じ、
羅針盤に足蹴く通っていたのももうずいぶん前のことなのだなと、感慨深くなりました。

5月8日の日記が印象的でした。
阪本佳代子さんの絵のタイトルいいですね。
でも、岡崎さんの言葉もストンと心に響きました。
「私の生活はかっこよくない」
「人と人とがつながって、軌跡を描いて今がある」
「人間の営みというのは〜」のくだり。
自然体な文体の陰に、10年の重みを感じました。

私たちのNZでの暮らしも4年目に入りました。
実は早くて年末、遅くても来年の春までには日本に戻ります。


2009年05月31日

蜘蛛

「こゆさんのイメージで描いてみました」と今日までMORISIギャラリーで開催中の笹川香織展で作家本人がにっこり。
タイトルは、「弱さと強さ」である。
モチーフは、くも。
木の葉が二枚ほど右上に描かれ、背景はぼんやりと薄いグレートーン。
小さいパールで出来た蜘蛛の指輪が私のお気に入りで、左手の中指にはめていたが、その蜘蛛の指輪を覚えていたらし。そのイメージが印象的で描きたいと思ったのだそうだ。
平安時代は蜘蛛は縁起のいいものの象徴であり、蜘蛛占いというものがあり、蜘蛛の糸の張り具合で、恋しいあの人が今日来るかしらという歌まで残されている。
3年くらい前のことだが、虫をテーマにした展覧会を行ったが、昆虫学者との妙なコラボレーションとなった。
タランチュラとサソリを会期中、置いていいか?というので、いいわけないでしょ、というのに、持ち込んでしまった。
虹色クワガタもいた。
一匹だったはずのタランチュラは、到着後,二匹になっていた。
脱皮していたのだった。
絵描きだったはずの作家は,この虫達に魅せられて、虫の世話が忙しく、もう絵は描けないという。
私のイメージの蜘蛛の作品、今もって、気になるところである。

幻の展覧会 

5年も前になるが、S氏のレビュー作家展という企画があった。
この企画はS氏がサラリーマンのかたわらに行われた。
S氏は、キュレーターとしての手腕も見事というほかないものだった。
才能ある作家を発掘し、身銭を切って、場を提供するのみならず、購入して、さらに応援し続けるというもの。
この美術愛好者のささやかな応援は、作家にとって、どういう意味を持つのだろうか?
ここ10年の間に多くのスターを育てたことは、周知の事実でもあるだけに、彼の存在は、かけがえのないものとなっているにちがいない。
作家の才能を花開かせるきっかけになった、幻の展覧会は、レビューに載ったアーティストたち−Sの心象評論−だったのだ。
そのS氏の今週のレビューに井元千香展があったので、以下に紹介する。

Gallery Review 05300918
村上春樹の長編『1Q84』に夢中です …シオイリです。

井元千香@アートスペース羅針盤
<05/25/09〜05/30/09>
あまり目に触れることのない動物たち。その一つひとつは、
実物を写生したものだ。日本画であることに思い至らせる
のだが、表現内容は枠にとらわれない。森の中で輪舞する
少女たち。足もとは水面にあって、そこに少女の輪が反射
している。山口薫の世界を連想してしまうが、まわりの景色
に溶け込むかのように感じられるのは、作者固有の表現。
日本画らしさを感じさせないところが、魅力のようだ。

余談…

昨夜は村上春樹の新作『1Q84』(1,2)に夢中で、ついに
徹夜寸前となってしまいました。奇妙な題名ですが、これは
ジョージ・オーエルの小説『1984年』からヒントを得たもの
です。当時の事件が、記憶を解きほぐすように語られてい
きます。ようやく1冊目を読み終えたところですが、しばらく
は睡眠不足がつづきそうです。
今月は香港でアートフェアーやオークションが続きました。
内容的にはいまの情勢を反映したものですが、物故作家の
落札が眼に留まりました。


_/_/_/_/_/_/_/ shio web art museum _/_/_/_/_/_/_/
*********** http://www.peeler.jp/ *******************
>>>>>>>http://www.geocities.jp/shiogruesse/index.html<<<<<<<<<
----------- shiogruesse@ybb.ne.jp --------------

2009年06月02日

干物

母方の親戚の干物は最高の味だ。
関サバと関アジ、イサキの干物、そしてふぐ。
先日、朝、その親戚のおばさまが私に逢いたいというので、お待ちしていた。
私の母方の親戚が、大分の備後水道の海産問屋を営んでいるが、なんと絵を収集している。
この頃はどんな絵を買ってますかと聞くと、岡村桂三郎というので、ちょっとびっくりした。
たいしたものは、ないんですよ。と謙遜しながら、その他は、舟越桂や有元利夫というのである。
そういえば舟越先生にはお正月に「やまろ渡辺」の海産詰めをお年賀にお渡ししたことがある。
「やまろ渡辺」には、海産物のお店の中にギャラリも併設されている。


2009年06月12日

着物姿の新倉佳奈子さん

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新倉さんは、横須賀の出身で、海の近くに住んでいる。
庭には、昔からの夏みかんの木があるので、家族でジャムを作ろうということになったらしい。
おばあさんの名前をとって新倉なみ子の夏みかんジャムを販売しているが、このジャムは無添加で大変美味しい。
夏みかんといちごとレモンがあるが、どれもおいしい。
この日は、自分で作ったという帯を締めて、すずやかに着物で登場。
趣味は、鼓。
大きな屏風仕立ての作品は、波とそらと岩。
有機的な曲線と波の強い直線と岩の形に造形的なセンスの良さを見出せる。
波間から立ち上がる雲のような固まりがふわりふわりとユーモラスに立ち上る。
時折、波間から小さな幼子の手がのぞく。
足もある。
完成度が高く、今後の活躍が期待される。

友人から

私は若かりし頃、長崎県の女子校の教師であった。
初めての教職員の研修会に出席した時に、白いスーツを着たとてもすてきな先生に目がとまった。
画廊を初めて、6年くらいたった頃、その先生が画廊にたっているので、びっくりした。
懐かしいなあという具合で、メールなどのやり取りをしている。

通信、いつも楽しみに読んでいます。
姪っ子さん、これからの成長が楽しみですね。
怖い(?)おばさん(失礼 おねえさん)にビシバシ鍛えられる姿を想像して笑ってしまいました。
それにしても、あなたは子供のころから他と違った感性の持ち主だったのですね。
いじめっ子のことで教師から相談されたというエピソードには驚かされました。
私は、子供のころから単独行動を取る方で人と一緒に何かをするというのが苦手でした。
今でもそうですが。でも、小中はクラスの委員長だったので、優等生でもあったようです。
自分では勉強をしていた記憶はまったくないのですが、母からお前は黙っていても自分から勉強していたよ。
お前に勉強しなさいと言ったことは一度もなかった。
と聞いて びっくりしたことがあります。

それにしても、「亀頭かにはさみ事件」は強烈ですね。
亀が蟹より弱いとは初耳でした。
きっと小さなバケツの中では、K1もびっくりの死闘が繰り広げられたのでしょうね。
                     

2009年06月19日

湿疹

顔に赤い湿疹ができて悩んでいる。
有名な皮膚科で診察したら、ウイルスのためと言うが、どうもそうではないようなので、早速、内科で血液検査をしたら、ウイルスはなかった。
サバ、あじ、サンマを食べるとアレルギーが出ていた時期がある。
先生はなんども放っとけば治る、青い魚はたべるな!というが、納得出来ない。
5年前に、門倉直子という作家が、「サバを食べた女」という絵を描いていたが、何を隠そう私がモデルのようだ。
むずかゆい顔の表情がよく描けていて、笑いを誘うおもしろさがあった。
大変、面白い作家で、我が家にもよく泊まった。
酔っぱらいながら、馬鹿な恋愛話をして、兄弟のように付き合ったが、羅針盤もそろそろ卒業ということになった。
企画画廊では有名なギャラリー椿から声がかかり、海外のアートフェアでの発表も好評のようだ。
羅針盤でスタートした作家さんには、大きく羽ばたいてもらいたい。

2009年06月22日

子どもの顔

荒川由貴の作品のほとんどが子どもの顔。
荒川さんは現役の小学校の先生だ。
途中で絵が描けないというような状況になったが、子どもの為にも仕上げたいと思って、ついに展覧会を迎え、すべての絵が完成したのだそうだ。
子どもの顔は真正面。
リアルである。目は笑ってないが、口角が微妙に上がり気味で不思議な笑みをたたえている。
背景は、奥行きをあえて拒否し、その妙なずれによって、子どもの未来を暗示する心理的効果がでている。
本を読むお下げ髪の少女の背景にも、夕焼け色だが、不吉な暗雲をたちこめさせている。
子どもたちの群像もおもしろい。
子どもたちに負けない、純粋、無垢な魂の持ち主だからこそ、子どもの内面の声を聞いているといった
ふうにも感じる。
多摩美術大学の学長先生がお見えになったが、歴史学者でもいらした先生が彼女につけたあだ名は、荒ぶる川の神だそうだ。

2009年06月23日

120パーセントの法則

学生時代の友人が雀荘を経営している。
女手一つで、子供を一人前にし、「マーいいじゃん」というふざけたネーミングの真面目な雀荘をやっている。
そうとう前のことになるが、「良いひと紹介するね」というので、楽しみにしていた。
待ち合わせは、帝国ホテルの喫茶ルーム。
元,刑事と聞いていたので、すぐにその人と分かった。
なぜなら、新聞を読むふりをしている、いかにもテレビの刑事役にふさわしい人物がいるではないか?
ドンピシャの彼が、真犯人を捕まえる法則を教えてくれた。
彼が現役の刑事だった時、先輩にいわれたことは、同じパターンのパトロールはするなということだった。
あと、二十分、ちょっと違う経路のパトロールをせよとのこと。
さて、そういう時、真犯人を捕まえることができたという。
100パーセントではだめで、120パーセントの無駄のような努力が必要なのだと云う。
この120パーセントの法則で、執念の外回りで作品代を回収したことがある。
画廊の周りをうろつきながら、未払いの客に会いたいなと思って,散歩なぞするのである。
今日も、ちょっと遅くまで,若い作家さんと作家論議などしていた。
帰ろうかなという頃に、作品を欲しいなコールだ。
たまには、羽目を外そう。
いつもと同じパターンを繰り返していないか,時折見直しながら、120パーセントの法則で幸運をつかもう。

2009年06月29日

成瀬 遼くん

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2002年に高校生だった遼君が、羅針盤で初個展をした。
クレパスで構成的な抽象画を描いた作品は、とても新鮮だった。
大きなキャンパスにアクリルで描いた作品もすばらしかった。
展示中に買い物に出た私は、偶然、コレクターの群れを発見。
どうやら、美楽舎というコレクターの会合の後のようだ。
ぜひ、高校生の天才画家が展示しているからみて欲しいとその群れを引っ張って来た。
案の定、その才能にみな惹かれ,作品のほぼ半分が即売となった。
高校生の頃の遼君は呆然としていた。
さて、7年ぶりの彼はすっかり大人になっていた。
部屋のベットやテーブル、その上に置かれたコップや皿をシンプルに写実的に描きながら、精神性が強い。
シンガポールで見つけ、題材にしたベットの絵があるが、昔からの先輩の画商さんが、「震えるほどだ」と絶賛。
搬入前の準備段階で、もう描かないで、休んでくださいと言ったにもかかわらず、何日も徹夜をして、身体を壊しかかっている。
さて、緊張でのあまり消え入りそうな遼君です。
皆さん、どうか、温かい言葉で応援してください。

2009年07月06日

ギャラリー椿さんの日記から。

成瀬遼展は、思いもかけず、作品がよく売れて、本当にびっくりした。
まだ、24歳で毎日絵を描いて生活している。
独学とはいえ、週刊新潮の表紙絵の成瀬政博さんのご子息であるから、門前の小僧でもあるだろう。
8年前に成瀬政博さんとエプソンの展覧会で知り合い、当時高校生だった遼君の個展を頼まれた。
病いを抱えながらの個展であったので、夕方は夜ごはんを食べさせ、宿舎までおくり届けるのが日課であった。
障害児の学校の先生をやっていたせいか、事細かに指導する癖が治らない。
遼君は、すでにれっきとした大人で、いつまでも子供扱いをする私には閉口している。
以下、ギャラリー椿の椿原さんがブログの話題にしていただいた。
同感である。
ご多忙中、お越しいただき、感謝申し上げます。
●7月3日

お客様に薦められて近くの画廊の個展を見に行く。
まだ20代の作家で、17歳のときに個展をして以来2回目の個展だそうだ。
驚いたことに、殆どの作品に赤マークが付いている。
若い作家にしてはかなり高い価格なのだが、この時節にこれだけ売れているのはすごい。
路線価が大幅に下落したとか、失業率が増加したとか、景気のいい話が少ないだけに、ご同業が売れているのは心強い。
私のところも幸い大作がすべて売約となり、こうした時期に買っていただけるのは本当に有難く、多分その画廊さんも同じ思いでいるに違いない。
以前に書いたかもしれないが、昔勤めた画廊の社長に、空襲の最中でも絵は売れたとの話を聞いたことがある。
それほど極端ではないが、美術愛好家にとっては、好きな作品を手に入れるにはご飯一膳減らしてもという気持ちなのかもしれない。
そうした人たちに支えられて、40年を超えてここまで仕事を続けることが出来たことに改めて感謝である。

夜遊びダイエット

遼君が、やめてくれと云うにもかかわらず、断食を開始。
いつの間にか、6キロも太ったため、去年のワンピースが入らない。
困った。
さらに、コレステロールが高いと指摘されたので、これはもうダイエットしかないと決意。
それで、夜遊びしながら、やせる方式をあみだした。
時間さえあれば、いつまでも寝ている。
だから、太るのだが、涼しくなった夜に銀座を散歩するのは楽しい。
ついでに、買い物もするし,少々のお酒も飲むし、これらの夜遊びは、ストレス解消というわけだ。
一週間でもう2キロ痩せ、順調に痩せている。
今日も朝から何も食べてないので、キリンのお店でタマネギのサラダとさざえの塩焼きを注文。
ワインを一杯飲んで、ほろ酔い加減で、新橋のカジマバーに向かった。
途中、ドイツの歯磨き用品の専門店で歯ブラシと歯磨き粉とガムを買う。このお店はフランクフルトの直営店だそうだが、とてもおもしろい。
2時間くらい歩き、やっとカジマバーで、またワインを注文。
ミネラルも必要と薄く切った黒パンも勧められて食べてみたが、これも香ばしく焼きたてで美味しい。
カジマバーでは、来年、個展を予定している浅野紋子展を開催中だが、とてもいい。
もん子ワールドを見ながら、お酒を飲むのは最高だ。
心地よいバーのカウンターから見る心象風景は、記憶の誘いだ。
カジマさんは、日曜日にはいないそうだが、かわりにアルバイトの面白い作家の子がいる。
楽しいひとときを過ごし,また徒歩で歩いて自宅まで帰った。
すでに11時を回っていた。

2009年07月20日

ゴーギャン

昨日の夜、友人の雀荘屋のママから「めっちゃ暇なの。遊んでー」というので、ゴーギャン展に誘った。
『我々はどこから来たのか  我々は何者か 我々はどこへ行くのか』という問いかけは深い。
初期の頃は,ピサロに学んだらしい印象派の風景画なのだが、タヒチに行ってからは画風ががらっと変わっている。
版画も多く展示されているが、とてもセンスが良くて、かっこいい作品なので、ときめいた。
見終わると,心持ち高揚している。
お決まりのコースだが、近代美術館のレストランのクイーンアリスでお食事。
ローズマリー風味のチキンと白魚のサラダがとてもおいしい。
ああ,なんて幸せと至福の時。
そう,私にとって、良い絵画を鑑賞すること、そして、おいしいお料理とお酒があれば、世界はバラ色に輝いている。
だからこそ,画廊なんていう仕事をやっているのだが、好きなだけでは成功しないのが実業界の悲しい
常識だ。
雀荘屋のママも云っているが、「雀荘以外のことで、めんどくさい雑用があるのよねえ」と言っているが、画廊経営の私にも同じことが云える。
日頃,電車に乗り馴れてない二人は,何度も反対方向の電車に乗り間違え,やっとこさで銀座に辿り着いた。
知り合いのやっている樽というバーで、上田正樹のライブがあるので,のぞいてみた。
あまり、乗り気でない私は、とうとうライブ中、爆睡していたらしく、友人の膝付きで何度か起こされた。
お店を出る時のふてぶてしい私の態度に友人は呆れていたが、いつものことだ。

2009年07月22日

吉岡順一展

今週は,羅針盤おすすめのレギュラー作家、吉岡順一の展覧会だ。
多摩美術大学の大学院を卒業するやいなや、臥龍桜でグランプリ、田中一村の第一回のコンクールでもグランプリ、さらに創画会の展賞を受賞し、文化庁インターシップに選ばれるなど、華々しい受賞歴だ。
初個展は,佐藤美術館である。
その後,羅針盤で個展をすることになるのだが、圧倒的な作業量で見るものを惹き付ける。テクニックはもちろんだが、溢れるばかりのエネルギーがあり、枯渇することがないのがすごいと思う。
今年は、創画会で奨励賞も受賞しており、今まさにその作品を展示中だ。
みなさん、すばらしいので、ぜひ、見に来てください。
ちなみに私は大きなゾウさんの後ろ姿の絵がとても気に入っています。身体で感じる、肌の感覚で感じる
スケールの大きさが魅力なんです。
いつまでも若くて、年をまったくとらない作家さんには驚かされています。

2009年07月25日

風通しの良い画廊

ニュ―ジーランドにすむ編集者の友人がブログをやっていた。
とてもおもしろい。
楽しそうだなあ。
文章がうまい。
児童書の編集者なので当たり前だが、こういう親しみやすく、癖のない文章って、そうそう書けるものじゃないんだよ。
と、ここまできて、昔、大好きだった植草甚一の口調になってきた。
恥ずかしいけれど、こんなふうに私を見ていてくれたなんて、ありがたいじゃないですか?
励まされるなあ。

風通しの良い画廊
東京の京橋で画廊を営むOさんのブログを久しぶりに拝見した。東京の出版社で働いていたときに、画廊を始めて2−3年目くらいのOさんと知りあった。Oさんは前職が編集者だった。そのせいもあって、はじめてお会いしたときから話が合い、もう長いこと知りあいだったかのような、親しみやすい空気をまとったひとだった。私もいつしか仕事の合間に足繁く通うようになった。

Oさんの画廊はいつも明るく、風通しがよかった。作家さんたちもユニークなひとが多かった。そこでひとを紹介していただいたり、紹介したり。ひとが集い、作品に出会い、そこから新しい繋がりが生まれる場だった。Oさんは親しみやすいひとだけど、そこは東京の一等地で画廊を切り盛りするギャラリスト。ひとと作品を見る目は鋭く、厳しく、力のある作家さんを抱えては、彼らを現代美術界の第一線に送り出して来た。

そんなOさんの画廊もそのキャリアも今年で10年になる。
「画廊は10年目を迎え、やっと人と人とが繋がって、低空飛行ながら、軌跡を描いて今がある。」
Oさんがブログに綴った言葉。ひとつのことを10年続けるというのは生半可なことではできない。ましてや相手は「表現者たち」。誰もがもてる手腕でないことは容易に想像できる。飾らない言葉の裏に、10年の重みを感じた。彼女の画廊の名は『羅針盤』という。作家さんたちの進むべき道を示す場にしていければいい。いつだったか由来をそう教えてくれた。

懐かしさのあまりメールを出したらすぐに返事をいただいた。
おなじみの作家さんたちの近況も綴られて、最後に「羅針盤ファミリーは健在よ」で結ばれていた。嬉しい一言。当時駆け出しの編集者で毎日が必死だった私の拠り所だった羅針盤。
Oさんと作家さんたちの航海はまだまだ続く。時折その船に立ち寄る私はさしずめ渡り鳥か?
Oさんの真摯にひとに向き合う姿。おこがましいことだけど、私は密かにOさんを目標として、その軌跡を追いかけつづける。

2009年08月02日

ココのワイン

先週の日曜日、とても暑い日、栃木の足利市にある画廊、ギャラリー碧に彫刻をおさめに行った。
浅草で彫刻家と待ち合わせていたが、せっかちな私は一時間も前に浅草についてしまい、浅草を散策。
おもしろいなあ。
だんごや神谷バーの電気ブランなどにひかれる。
ダイエット中なので我慢、我慢と言い聞かせて、ぶらぶらしていると,時間になったので、伊勢崎線のホームに行くと、すでに彫刻家の菊池君は来ていた。
菊池君は,東京芸大の保存修復の博士課程を修了し、現在、芸大の助手をしているが、9月から東大の博物館に勤めるそうだ。
実直で、誠実な性格で、人柄も温厚。
仏像の修復などの学術的な知識が滲み出る彼の作品には多くのコレクターが惹き付けられていたが、足利の画商の山川さんも例外ではなく、たいそう興味を持って、彼の話を聞いていた。
山川さんは、画商さんとして素晴らしい方で,勝手に師匠と仰いでいる。
三人でランチを一緒にということになり、こころみ学園のワイン醸造場ココ・ファーム・ワイナリーのレストランへ。
高原の傾斜地にぶどう畑がある。
そのぶどう畑のすばらしい景色を見ながら、テラスハウスでまずはワイン。
なんて新鮮な美味しいワインだろう。
ワンプレートランチには、新鮮な野菜と骨付きのソーセージに白パンが。
抜けるような青い空に、目にまぶしいくらいの高原の木々の緑。
ブドウの種で穫れたコレステロールがゼロのオイルとワインと青カビのソースを買う。
山川さんからは美味しそうな新鮮なトマトジュースをお土産にいただき、いたれり、つくせりの幸せな一日だった。

ココ・ファイナリー

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なんと、日射しの強い日でしょう。
ココのワインは最高です。

山川さんに連れて来てもらいゴキゲンの筆者。

2009年08月29日

熱狂的なあまりに

人がなんと云おうと好きなものは好き。
他の人がどう評価しようとあくまでも自分の趣味を持ち込むこと。
売れるとか、評判がいいとか、そんな他人の評価や経済的なことなど、おかまいなしでいい。
そんな企画をやることは、画廊経営者にとっての生き甲斐である。
自分にこれほど共感出来、寄り添うような作品に出会ってしまったからには、それはもう、単なる熱病としかいいようのないものだ。
そんな熱狂的な展覧会を開催することが、自分への最大のご褒美。
学校を卒業する時、入学する時、いつも見上げる空。
そして、新しい校舎の壁。ひび割れた壁やしみ。
校舎と校舎の隙間からのぞく青い空に怯えながら、新しい環境に入っていく時のときめきと緊張感。
私のやや神経症的な気分は、どこまでも青い空へと続く。
そんな新しい環境に慣れるまでの緊張とときめきを同時に感じさせてくれる作品に出会った。
それが中風明世の作品だ。
雷を浴びたように感じるものがあった。
運命の作家に出会ったと思った。
色を強烈に感じる作家、それが中風明世だ。
暑い夏の日に強烈な太陽の光を浴びるようだ。
身体に刺さるような強烈な光。
アルコールに浸したナイフにさされて死にたいと思っていた思春期の欲望を刺激するかのような作品群だ。
銀のナイフのようなジップは、上から垂直におりてくる。
バーネット・ニューマンに似てるだとか、似てないだとか、そんな議論もあった。
しかし、私にとって彼の作品は、欲望を刺激し、エロスとタナトスを同時に体感させてくれる絵画だ。
マリファナもお酒も薬もいらない。
いい絵画には、テンションをあげるだけのイリュージョンがある。

2009年09月21日

並んでるお客

今日は日曜日。
たまの休日くらい、時間を気にせず寝たい。
商売繁盛をよそおう羅針盤は、日曜日には、ギャラリーの前に並ぶお客がいたりする。
しかし、いつも長い行列を作っているのは、イデミ・スギノのケーキ屋さんの前である。
本日も羅針盤の前にはたったの2人。
イデミ・スギノの前には大勢ならんでいるのだが、売り上げの単価では決して負けていない。
だろ?と二人の客は、私を励ました。
スギノさんは、フランスはリヨンのパチシエの大会にて、蒔絵にあるような金粉をデコレートしたチョコケーキで見事一位になった。
スギノさんは、『僕はカリスマパチシエですぞ』と、ご自慢のケーキをもって、ご挨拶にいらしたが、フランスでは、ギャラリー街にケーキ屋が在るのが、通常らしい。
で、ここ、日本を代表する有名画廊街と認定された京橋にケーキ屋をオープンさせたのだ。
明日からオープンするのは、小田恵里子展。
小田恵里子さんのファンのコレクターさんだからこそ、昨夜、どんなに二日酔いであろうとも、羅針盤の前にお並びいただけるのである。
有難いことであります。
さて、お買い上げいただいたので、ほっとする間もなく、次の展覧会場にもお連れした。
場所は、小平の駅前の眼科に隣接する白矢アートスペースである。
9/23までの3日間、現代音楽とのコラボレーションをテーマに3夜連続のライブペイントを同時開催する予定。
今日は、フランス人イケメン君を4人も連れて来た女性作家、大田和亜咲宜さんにも逢えて楽しいオープニングだった。
我々は、オープン前の午後2時についてしまい、お客さんをお送りした後、時間があったので、インド料理屋でひよこ豆とチキンのサラダをつまみにビールを飲んだ。
辛いがおいしい。
正直、現代音楽は苦手なので、早々に家に帰ることにした。
私は、お芝居も好きではないし、現代音楽もあまり好きではない。
じっとして聞いていなくてはならない講演会なども、苦手だ。
絵画は、時間に縛り付けられることもないし、自分のペースで見れるので、とてもリラックスしていられる場だと思う。
息のつまる世の中で、感性を磨くだけで、充分に精神を満足させてくれる美術作品の鑑賞は、私のような気ままな人間にはぴったりである。

2009年10月02日

名前のない案内状

石川ちひろの絵にうなじという作品がある。
本人いわく、「ヤギ、好きなんですよねえ。。。とくにうなじにうっとり。。。」
後ろ姿のヤギの首が描かれていて、妙に艶かしいのである。
また、女性のヌードもあり、組んだ足の筋力を感じる不思議な魅力のある絵だ。
「高村光太郎が好き」という彼女だが、骨格を描ききるような彫刻的な絵を描いている。
以前は、静寂な趣で、木々や葉などをモチーフに描いていたので、骨太な感じには驚いた。
しかし、小さい頃にお絵描き教室に通い、高校時代は、油絵を描いていたというので、洋画独特の妙な遠近感があるのだろう。
大学は多摩美で日本画を専攻し、卒業後、仲間と集まってグループ展を開催。
はっとするいい絵を描くので、羅針盤セレクションなどの企画に誘ってみたら、案の定、小品は直ぐに完売した。
先日は、評論家のM氏がいらして、『君の絵には闇がある。それが魅力なんだよね』とも。
私が一番好きな絵は、金華鳥の絵である。
0号の小さい絵だが、表情がとてもいい。
名前などは見ないで、絵を鑑賞する研究者のSさんも『いい絵だねえ、覚えておくよ』と名前のない案内状を見ながらいう。
素敵な案内状ではあるが、なぜか、自分の名前を入れ忘れたらしく、豆粒のような字で、後から印字してある。
実にしっかり者のお姉さんのような彼女からは想像もできないようなミスだ。
しかし、Sさんのようにだれもが名前など見ずに、ただ案内状の絵と場所のみだけで来ていただけるなんて、作家にとっては、うれしいことではなかろうか?

2009年10月10日

窓をあけて

よこたこういちさんは、個展中は福島から来て滞在していた。
コラージュの作品で、5メートルくらいの大作を展示中。
ミニマルな要素とドローイングで見る人を楽しませている。
アイデアの人で、今回も四角い形を切り抜き、折り曲げて,高層住宅の窓がたくさん開いているのを遠くから見ているような作品を考えた。
心の窓を開けて!というような具合だ。
見る人によっては,いかようにもとれるが、ブルーのアクリルに白いペンでイタズラ書きのような線。
閉塞的な世の中を少しでも明るい気分にしてくれる、真ん中に黄色いミニマルな窓型のコラージュ。
初日からたくさんの人が訪れた。
福島のおみくじせんべいは好評であった。
地元では,ひょうたん屋さんでもある。
羅針盤では,昔、瓢箪展なども開催したが、よこたこういちさんのアイデアでもあり、この年回りは縁起がよろしかった。
また、漢方に詳しく、私の調子の悪いところを治してもらった恩人でもあるので、なにかと相談事をもちかけたりする。
家の裏山から湧き水を汲んで来てもらい、コーヒーをいれたが、たいへんおいしい。

浅草オペラ

先週の日曜日は、よこたこういちさんの搬入と飾り付けが終わってから,夕方に高校の先輩が、美容業界のドンと見られる方をお連れしてくださった。
美容院を経営される前は、ボクサーだったらしいので、すらりとした長身で、まったくお年を感じさせない若々しさで、強く,やさしく、豪快で,大変カリスマ性をもった方だった。
これから、浅草オペラでもいかが?というので、お言葉に甘えてついて行った。
久しぶりのオペラは、大変楽しく、オペレッタだったので、とてもユーモアたっぷりで、かたくるしいところはなかった。
先輩は、美容院のソフトウェアの会社を経営しており、大変、飄々とした方で、あまりに自然体な方で、まったく気を使わなくてすむので,助かる。
美容界のドンとおぼしき方も先輩も私も出身地が同じという事もあり、一旗揚げようなどとは思ってないくらい欲のない感じなのがうれしい。
欲はない方がいいが,戦力はねらなきゃね!という会社経営としても先輩方のお言葉が心に残った。
いろんな方と知り合うのも楽しい今日この頃である。

2009年10月17日

すきずき展 その一

「真剣だがねえ」
何がか?と言うと、絵を購入する事である。
「事務所に行くと、闘志と言うタイトルの絵がある。
50万負けて、仕事をとらねばならぬ。闘志を燃やして仕事をとるんだがねえ」
深谷市の名士とお見受けする建設業の社長さんは、口角泡を飛ばして、こう、おっしゃる。
『仕事をとるのは容易じゃない。が、仕事がとれたときには、ほっとするねえ。家に帰ると、チーターの絵がある。猛獣がやさしい目をしてるから、いいんだねえ。ほっとするがね。絵は癒しなんだよ。』
埼玉県はねぎの産地、深谷市というところに、たいへんユニークなコレクターさんらが15〜16人程いらっしゃる。
東京は上野から,普通で高崎行きに乗り、約90分程かかる。
着くと東京駅のような煉瓦作りのレトロなすてきな駅なのだ。
その方々の新作コレクションをその駅前にて、お披露目中だ。
明日までですが、たいへん楽しいのでみなさんもお出かけしてみて下さい。

2009年10月20日

すきずき展 その2

すきずき展では、羅針盤で販売した作品がたくさん展示されている。
私のおすすめの松岡歩、岩坪賢、佐野紀満、小田恵理子などの作品が展示されている。
どれもが大変魅力的でいい作品ばかりだ。
こんなにいい作品を扱っていたんだなあと、自分ながら、誇りに思う。
また、自信を持ってお勧め出来た作品ばかりで、ホッとした。
名だたる高名な作家の隣に飾っていても、遜色ないではないか。
ああ、来て良かった。
自分の目を確かめるためにも、たいへん勉強になった。
お金を出して買っていただけることは、それだけ厳しい鑑識眼にさらされる運命にあるのだと思う。
コレクション展のあとは、深谷市の有名な料亭に連れていってもらい、懐石料理をごちそうになった。
若輩者の作家二人連れである。
なんと至福のひととき。
美味しいワインをいただきながら、えも言われぬ豪華な素材の懐石料理をしみじみ味わう。
これぞ、至福の至り。
究極の幸せ。
大好きな絵、美味しい料理、楽しい会話、それ以上に何が必要なのか?
楽しむために生まれて来たのだと信じて疑わない日であった。

2009年10月21日

手塚 葉子 展

手塚さんは、二回目の二年ぶりの個展である。
みかんの皮を干して,インスタレーションをやると豪語していたが、やはり、所詮,みかんの皮。
腐ってカビが生えてきたと,あたりまえなことを大真面目に云っていた。
その後、ある有名な会社の広報部に正社員として入社した。
仕事は忙しく、だんだん制作から遠のくのではないかと心配した。
しかし、その心配はご無用で、ますます迫力が出て、勢力的になっているようだ。
搬入の日は、ボランティアの学生さんが来た。
学芸員実習の講義をとっていて、画廊でも実習体験がしたいというのだ。
21歳の茶髪。
今どきのおしゃれなイケメンくん。
しかも、頭のいい子で、物わかりがよく,気の短い私を怒らせることはなかった。
それどころか、終わってから、すぐにお礼のメールが来た。
楽しかったと。
性格もよく、もしかしたら、すごいやつになるかもと予感さえした。
作家の葉子ちゃんも喜んでいたので、仕事ははかどる、テンションは上がる、楽しい気分で盛り上がる、いいことばかりだ。
お酒は飲まないらしいので、ややつまらない。
なので、今度は豪華なお弁当をごちそうしよう。
自分からボランティアを申し出る心意気がいいではないか?
日本男子も捨てたものじゃないな。
すぐにお金を欲しがるさもしい精神の貧困な若者が増えている昨今の世の中で、額に汗して学ぼうという殊勝な心がけがいいではないか?
お金より素晴らしい宝物を彼にあげたいなあ。
それが何十年後かに実を結ぶような素晴らしい学びになるように。
私もやっと年齢をへて、そういう宝物を授けてあげられるような人脈をもてるようになったと思う。
人生の後半をどう生きるか、私もそろそろ試される年齢にもなったのである。

2009年10月24日

長期の不在

「此の絵の作者、手塚さんには、この頃大きな変化があったのではないですか?」
と、とある業界関係者が鋭く指摘した。
今回のコンセプトは、「長期の不在」だ。
親愛なるおばあさまを失った悲しみを表現した『きっと「日常」の一部なんだと思う』というタイトルで描いた作品は、着物姿の女性の泣く姿もさることながら、涙の粒がロウをたらして表現されている。
指に何本も蝋燭を挟み、たらした蝋はかさぶたのように厚く盛り込まれた。
「長期の不在」というより、『超短期の在』と言うべき,短い生涯を送るわれわれ、生きとし、生きけるものの悲しみは、作家にとっても普遍的なテーマであるようだ。

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鑞のあとが、すごく盛り上がっている。

葉子ちゃんスマイル

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葉子ちゃんの後ろに描かれた顔の無い作品は、「塞ぐ まだ何も考えられない」とあるが、モデルさんらしい可愛い女の子が初日に来た。
とても仲がいいらしく、1日中、彼女に付きっきりだ。

私が一番気に入っているのは、「引っ張る 引っ張っているつもりらしい どちらが引っ張っているかわからない」という絵だ。

黒い服を来た見知らぬ人の洋服は、黒い鑞でいっぱいだ。

月刊 ボザールの4月号で、「目に見えない真実のかたち」という特集では、展示中の「レース編みとベリーケーキ」という、絵がどのようにして描かれたのか、下書きから完成までが丁寧に掲載されている。

「今回はケーキとレース編みをモチーフに選びました。ケーキとレース編みは、幸せや甘さ、優しさの象徴として描きました。それを画面いっぱいに配置することで過剰な様子を表しています。それが幸せの状態かどうか。少し違和感をもって頂ければこの作品はうまくいったと思えます。」

2009年10月30日

アップル展

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「たとえ、世界の終わりが来ても絵を描き続ける」
といったのは、誰だったか?
ちょっとど忘れしたが、アップル展のコンセプトは、たとえ、どんなことがあっても絵を描こうというメンバーのグループ展。
リーダ−の永井肇先生は、多摩美術大学で教鞭をとっておられ、その後は、保育園の子どもに絵を指導していた。
先生は、昭和三年、お正月にご誕生。
当年、80歳をこえて、お元気であったが、初夏に倒れたらしく、今も病状がよろしくないらしい。
昨年の展覧会では、毎日いらっしゃっる先生と精神病理学から宇宙論まで発展するくらいのおしゃべりに興じ、時間を忘れるくらいだった。
楽しい会話が充分にできないので、とてもさびしい。
先生の脳の中は、どうなってしまったのであろうか?
レモン色の黄色い空に、レモンの形の雲が浮かんでいる。
先生の好きなマリンブルーは、黄色い空や海に包まれ、マリンブルーの島には、船や帆船がたくさん
係留されている。
島には水族館もある。森もある。島ごと、船みたいだ。
先生は、何処にいかれようとしているのだろうか?
そんなことを漠然と考えた。
そして、晩年、ゴーギャンが夢見た楽園を永井先生も見ておられるのではないかと思う。
人は何処から来て、何処へ行こうとしているのか?
高村光太郎の詩にもあるように、智恵子がかじったレモン。
レモンの空は何を暗示しているのか?
先生が元気になることを予感させる絵だと信じたい。

2009年10月31日

オカルトウイーク

昨日、ウルトラという青山のスパイラルのアートフェアに行った。
大変な混雑であったが、40歳以下の個性的なアートディレクタの一押し作家の作品が並ぶ。
あまりの人の多さによく見れないのが残念だったが、このところ、オカルトティックなことばかり続いたので、気分転換になった。
ちょっと急用があって、羅針盤をあけてもらった日,お留守番の福の神のじいさんから電話がなる。
それも公衆電話。
『鍵、ないよ。』(ブツ)電話のきれる音。。。。。。。
そんなはずはない。
焦った私は,落ちついて電話を待つ。
『大家さんのところに行ってくれえええ』というと、また電話がブツ。。。。。。
しばらくして、大家さんに見に行ってもらうと画廊はちゃんと開いてるし,看板も出てるよとのこと。
その後、大変なことがありますと、今度は自宅のマンションが漏水してるらしい。
やや絨毯等が濡れてる程度で水は止まったと云う。
胸を撫で下ろしたのも束の間、同姓同名のお客が現れる。
どっちが本物か,どちらが偽物かわからないうちに、なぜか販売成立。
狐に包まれたような気分で、帰途につく。
夢であって欲しいような気がしたが、どれも現実。
酔生夢死という言葉は好きだが、今回の私は酔ってるのか、酔ってないのかわからない酩酊状態で過ごした。
オカルトティックな一週間だった。
永井肇先生、守ってください。
宜しくお願いします。

2009年11月07日

藤田淳子展

今週は、大御所の藤田淳子先生の個展。
大学の教育学部の美術教育に30年以上携わった。
毎年、個展を開催し、制作意欲は衰えるどころか、ますます旺盛だ。
生きることが絵を描くこと。
絵を描くことが、健康の秘訣とおっしゃるように、個展開催中は毎日会場にいて、来て下さるお客の
一人、一人に声をかけて、お話なさるお姿は、大変、魅力的で、すばらしい。
昨日は、9時まで画廊を開けていたが、イタリアの甘いお酒、チンザノをなめるように、ちびちび飲みながら、やや毒舌気味の先生のお話を伺い、大笑いした。
藤田先生のタイトルは、『ミクロコスモス-ワンダーランド』だ。
村上春樹のハードボイルド-ワンダーランドではないが、村上春樹も良く読むとのこと。
会期中に、またいとこさんが先生の結婚式の写真をお持ちくださった。
先生は大変お美しく、また、男爵様と思われるかのような旦那様のお姿。
やや時代を感じさせるセピア色の写真。
芸大を卒業されて、すぐご結婚されたというが、生涯、芸術の魔性に取り憑かれ、炎がめらめらと燃えているような精神には、感服せざるをえない。


写真教室

今月から、森 祐二写真教室に通うことにした。
しかし、朝、早く起きられず、調布の神代植物公園に着いたのは、午後の1時過ぎだった。
バラ園は、ちょうど満開の時期だ。
花をとっては右に出る人はいないと言われた写真家の森先生に教わることに。
しかし、そう簡単に良い写真が撮れるはずはない。
なかなか難しいものだ。
あまり遅く来たので、あっという間に講座は終わった。
調布の神代植物公園の中に熱帯植物園もある。
園内はかなり広く、汗ばむほどの暖かさだ。
空気は良いし、気分は最高だ。
花の生気をすって、とてもいい気分。
終わってから、メンバーのみなさんとお茶タイム。
バラのシフォンのケーキセットを注文する。
なんて良いバラの香りだろう。
いつもギャラリーという四角い箱の中にいる私を心配した写真家の森先生が、「たまには外にでておいでえ」というので、行ってみることに。
森先生は、冗談好きで、たいへんおもしろい。
ずっと笑いっぱなしだ。
さすが、人気の講座らしく、那須の流氷の写真を夜便でたち、夜明け前に撮るというハードな講座も、満杯。
そんなハードすぎるバスツアーには興味はないが、植物園での撮影会はとても楽しい。


2009年11月13日

セドナ

大変、参考になる意見をいただいたので、本人の了解済みにて載せてみた。

玉石混合の美術界で玉を見つけるのは画廊ビジネスとして重要かと思いますが、「これぞ!」という石を拾って磨き愛でる方が本当は大事に思います。
大変勝手で失礼しますが、羅針盤の仲間からは玉に勝る石であるかのような前途洋々たる素晴らしさを感じます。
みな争うことなく仲良く並んでいる様が、もしかすると人を引き付ける安心感に繋がるのかと思います。
さすれば、岡崎さんは磁石のようで(女性なのにすみません(笑))みなさんを引き付け、羅針盤の名の通りあるべき方向を指し示す存在なのかと思います。
昨日もふっと足が向いたのはそのせいかと思いました(笑)
ただ、我々若手は磨けば「玉」、放れば「石」になってしまう危うさもありますので、これからもご指導ご鞭撻の程宜しくお願いします。』
と、あり、また、
『なんとなくですが、羅針盤に行くとラッキーなことがあるような気がします。
最近やや落ち込んでいた私には特に運気が上がったように感じます。(本当に!!)
セドナではないですが、スピリチュアルスポット(ヒーリングスポット?)なのかもしれませんね☆』
という嬉しいメールが来た。
いつでも爽やかで素敵な作家さんなので、こっちが元気をいただいてるという感じだが、やはり、前向きな波動というものがあれば、電流のように伝わっていくのではないかと思われる。
画廊を初めてすぐに日本画の存在に心惹かれ、これからは日本画に新風が吹き、世界の中で日本の独自性というものが経済よりも文化面で評価される日が来るのではないかと直感した。
『みな争うことなく仲良く並んでいる様が、もしかすると人を引き付ける安心感に繋がる』と上記にあるが、このことは、なんと得難いことではないかと思う。
真にすぐれた芸術家には、どんな国のどんな歴史をもつ民族間の争いをもなくし、平和への祈りをメッセージとして込め、象徴的に表現できる力があるだろう。
夏目漱石ではないが、則天去私の言葉が脳裏によぎるのであった。
しかし、セドナといわれてしまった。
意味深長だ。
しゃれた引っかけが上手いなあ。
私は、海には大変縁があるので、セドナに反応しましたぞ。。。。

古田ゆかり展

『川村記念美術館のロスコルームもいいけれど、それに匹敵するくらいの素晴らしさで、この空間から離れ難い』と、絶賛されている。
滞在時間が長くなればなるほど、人はみな古田ゆかり作品に魅了されるのである。
『作家のこころの思いの深さが作品の深度に呼応する素晴らしさだ』と評論家の先生から、お褒めのお言葉もいただいた。
以前は普遍的なものを描きたいと思ったそうだが、デンマークへ旅するようになってから、素の自分をその時々の心の流れのままに表現し、見る人には自然に感応していただきたいと思うようになったのだそうだ。
さて、同じ日本画の作家さんからの感想を紹介させていただくことにした。云い得ているので、感動した。

古田さんの作品からは以前にはなかった何か新しいメッセージを感じます。
今後が大変楽しみです。
画廊でお話した「絵描きの日常は絵の中にあり」と申しましたが、同時にやはりよく耳にする「自由」について最近考えておりました。
英語にすれば「free」で、往々にして同様の意味として使われますが、私の考えでは「自分に由来する」のかと思います。
上述の「何か新しいメッセージ」には彼女の「新しい自由」が当てはまるのではないかと、あの「紅葉の渓谷」や「松の木」に見える作品(本当のタイトルは「融化」「森を覆う」でしたっけ?)から感じます。
また、岩絵の具は見せて頂いたジュエリーと同じく、人の手に掛かれば陽光を放つ玉となって美しく、
反対に自然に有れば月下に佇む石となってこれも美しく感じます。
兎角、青・緑は「色」として見えることが多いのですが、古田さんのは水をしたためたようで、才能を感じます。
PS:
緑青の孔雀石の石言葉は「危険な愛情」で、
群青の藍銅鉱は「二面性の調和。理想と現実を結び付け、精神と肉体を癒す。」だそうですよ(笑)

新しい自由を獲得した彼女の内面は、人を包み込む柔らかさも兼ね備えている。
宝石のような輝きを放つ彼女の絵は、人の心をとらえて離さない。
小さい作品も多数あり、お手頃価格なので、なかなかの人気である。
ぜひ、お見逃しなく。
来て後悔はしません。

2009年11月14日

芸術家集団マニフェスト

以下のような意見もある。いかがなものか?

文字が発明される数倍もの昔から、絵画は意思伝達の手段でした。そして、それはその時代の世界観、哲学、未来予想図そのものでした。
 例えば、西洋美術において、あらゆる表現芸術や学問に魁けて、ダ・ビンチの作品は、それまでのキリスト教的価値観を否定し、人間中心で自然科学が発展していく次代を予見させました。また、ピカソの作品も、他の芸術、学問に魁けて、個人の命や生活が、まだまだ国家や社会の制約に縛られていて当然であった時代に、表現の自立を提示して、個人の人権意識を高め、実存主義、そして構造主義への橋渡しを顕現したのですから、社会的事件でもありました。美術評論家にとどまらず、あらゆる文学者や哲学者が、彼らについて大いに議論もし、研究したのは当然であって、彼らに限ってではありますが、「芸術家」と言う概念が生まれたのです。(美術に携わっているだけで、芸術家とは言えません。)
 ところが、現在、日本では、美術の社会的立場が視覚的エンターテイメント、いわゆる趣味の世界として限定され認識されています。 
 美術を生み出す側として、各個人の資質のありようが大きいのは当たり前ですが、特に、凡庸な日本の作家たちは、そのような美術の可能性を自ら気がつかないのか、あるいは放棄して、売れる作品を作ろうとエンターテイメントに徹する、あるいは過去の表現方法からぬけ出せない場合が大多数です。
 それは、我々日本人が、日本人であると言う民族的な一体感(日本人は単一民族ではありませんが)をゆりかごに、死生観を委ねてしまっているからかもしれません。
 真の表現者となるには、名誉欲や金銭欲が動機となって、社会に対しておもねることをしないで、絶対的客観性と自立性を持って、ただ、自己の美意識に身を委ねる必要があるのですが、多くの国内作家は、ゆりかごのようなレトロ感にはまりこんで、一体感を共有することが美術だと錯覚して、自分で自分の頸を絞めています。
 現代美術が、過去の価値観を「壊す」からこそ、新たな世界観を提示します。しかし、我々日本人には、長年の習慣や風習が間違いであったとしても、それを「壊す」ことに、とても抵抗感や違和感、恐怖感があります。「壊す」という概念は、日本社会の中で、なかなか受け入れられません。例えば、日本文化論者が、日本は有史以来、血なまぐさい政争で、実質上の政権が変わったとしても、万世一系の天皇制度が一度も「壊れなかった」ことが、日本文化の誇りだと発言するような。私は天皇制否定論者ではないですが、そのおかげで、全く新たな視点を得るという機会が得られなかったことも事実だと思います。従って、特に日本では、「価値観を壊す」現代美術は世間一般に受け入れ難いという前提に、私は立っています。
 新しい美を打ち立てるためには、まず「壊す」ことが重要ですが、「壊される」側がある以上、根強い抵抗があることは必然です。自分自身の手で、根本から、有史以後、国民的アイデンティティーを「壊したことがない」日本人にとって、根源的な変化は受け入れ難い概念です。(第二次大戦敗戦での国民的アイデンティティーの破壊は、「破壊された」ものであって、自ら放棄したものではありません。) 
 ということで、私は、現代美術を始めた時から、社会や世間に簡単に受け入れられる、という幻想は捨て、厳しい生活を覚悟いたしました。従って、私にとって絵を描くとは経済活動ではなく、壮大な趣味、あるいは自分にとって、作ることが宗教的意味をもつこと、になってしまいました。
 しかし、経済効果をはかる必要がないので、世間に媚びる気持ちで作品を作らずにいられることも事実です。

んだ、んだ。。。。。。。と思うでしょうか?

2009年11月17日

古田ゆかり展の感想

こんな感想をブログに載せてくれた人がいたので、以下,掲載しました。
古田さんはとても喜んでいます。

近くに用があったのでついでにいい感じがあれば見てまわろう、と、思ってたおり、
外に出てる看板が気になって2階へあがった。

最近、わたしが気になる系統だと気がついたのだが、
何を描いてるかすぐにはわからない、もやもやした感じの、
具象とも抽象ともつかぬ絵画。

言葉、に弱いわたしをくすぐる題名と、こころ惹かれる色合い、で、ぱっと見は
抽象に見える、が、その題名の意味するところがあるのかもしれない。

作家さんとお話しも出来て楽しかったのだが、
お話の中で印象に残った内容は
「題名を決めるのは制作と同時進行」

「題材は具象」
と言うくだりだった。

同じ題名の作品が3点並んでいるのも気になったが、これも
1点ずつみてもよいのだが、時間の経過で少しずつ違う局面を描いているそう。
それは3点まとめてお買い上げ、せねば。

ひさびさに気になる作家さんとの出会い、で、
わたしとしてはめずらしく会場撮影をお願いしたりした。
この画像にひっかかってギャラリーに足を運ぶかたが増えたらいいな、と思いつつ。

そう言えば去年出会った気になる作家(坂内 圭)さんも羅針盤での出会いだったと
思い出した。

会期中にもう1度足を運んでみるつもりなので、とりあえず印象に残ったことだけ。

2009年11月20日

んだ、んだ。。。。。

11月14日のブログ、んだんだと思います。
先日の物議をかもしている芸術家集団マニフェストですが、以下のような意見も。

日本人は、「守→破→離」というプロセスが好きだから、いきなり「壊す」ということは抵抗を感じるんでしょうね。
でも、何かを「壊す」には、「力」が必要です。
何かが大きくなればなるほど、壊そうとする力が大きくないと壊れない。ブタの貯金箱を金づちで叩けば簡単に壊れるけど、奈良の大仏を金づちで叩いたってびくともしない。
この平穏な世の中では、何かを壊してやろうというエネルギーは、犯罪者の負のエネルギーくらいしか生まれないのでしょうか。
壊してそこから自分で何かを構築しようという正のエネルギーの持ち主は現れにくいのかもしれませんね。

同感です。

体験型彫刻

2.jpg

荒井裕太郎作品とポーズとってました。
パチリ。

2009年11月22日

指先に宿るエロス

荒井裕太郎の彫刻を見て、『羅臼(ラウス)昆布みたいね。北海道の海にただよう昆布みたい』という。
何者をも連想させない、イメージをもたせないような彫刻だが、人は彫刻という存在の物体を何かしらかに見立てようとするのだろう。
実際には、1.2ミリの薄い鉄板を手でおりながら、一発勝負のように偶発的に出来た造形らしい。
鉄という固い金属を袋状にし、それを折り曲げながら、造形するので、先にデザインがあるのではないという。
裂いたり、折り曲げたりしながら、そのひん曲がった形に向かい、『そうでたか?なら、それを生かそう』という具合に、素材と対話しながら作るのだという。
無理にねじ曲げたり、強制的に作り込むようなやり方ではないところに作家の性格が滲み出ている。
又,却って自然な形でそこにあるかのような存在感を際立たせている。
らうす昆布と見立てた女性は、ピアニストらしいが、ピアノも鍵盤と対話し、そこには必ずエロスがあるのだという。
『この彫刻も指先に宿るエロス的対話があるのでしょう?』といい、本人がいないからもっと話すけれど、『彼の作るジュエリーも女性を象徴するような形でエロチィックよね』という。
上に伸びていく袋状は、まさに男根的でもあり、花のようでもあり、裂いた隙間から見える空洞はなんにもない空っぽだが、めくれ上がった細部には、何かしらの淫微な風情がある。
鉄で出来ているようには思えないほど、しなやかで艶かしい革のような質感はどこから来ているのか?焼き付け塗装ではあるが、熱帯魚のような黄色や赤の鮮明な色の彫刻もある。
袋状の形態を折り曲げながら作る有機的な曲線。
魚を触ったときのようなぬるっとした質感。
触りたくなるような触覚性が魅力だ。
いつも、鉄をなで回している彫刻家の手。
その艶かしい指の動きを感じる、ピアニストの指。
指に反応する音楽家にインスピレーションを与える作品であることは間違いがない。

2010年01月14日

今年も宜しくお願いします。

2010年を迎えました。
コンパスをしばらくお休みしておりましたが,今年はブログも充実させたいと思っています。
冬休みは,実家に帰省し、父母と過ごしました。
鹿児島の桜島は、このところ、噴火続きです。
噴煙が上がりっ放しですが、今に大爆発が起こるのではないかと母は云っていました。
空港まで車で元気よく迎えに来てくれた母と錦江湾の湾岸道路沿いの黒酢レストランの近くに松下美術館があったので、のぞいてみました。
キスリング、ピカソ、モネなど、個人美術館とは思えないほどの充実ぶりです。
個人美術館としては、かなり有名な美術館とのことでしたので、鑑賞出来てよかった。
正月には、明日香ギャラリーに挨拶に行きましたが、シューズデザイナーの明日香さんと陶芸家のお父さんとギャラリーオーナーのお母さんに正月料理をご馳走になりました。
芸術談義に話は盛り上がり、楽しいひとときでした。

2010年01月16日

作家のいい分

ある作家さんのブログです。以下。。。

老舗の画廊が次々と閉廊している。

しかし、活きの良い画廊はそんなことには関係なく・・・。

とうことで、またまた銀座に数時間いました


こわれたなー。これまでの美術界。

学閥なり、画壇なり、美術の階段を、巨匠たちの作品を買い支えてきた老舗ギャラリーが、とうとう目に見えて崩壊し始めたのだった。

コレクターが、そういう権威という日本独自のマーテットの在り方にノーをつきつけた

1980年代までは、土地、日本の景気、芸術作品の価値は右肩上がりで、下がるなどという事態を想定していないから、画商さんは高額の作品を売る場合、慣習として、売り手に、いつかいらなくなったら、売ったときと同額で買い取ることを約束してきた。

何年も経って、価値の上がった作品を、売ったときと同額で買えるとすれば、画廊側も都合がいいというシステムでした。インフレ信仰だな。

ところが、今現在、デフレがすすんで、1980年代までの景気のいい時代に作品を買った方々が寄る年波で物故し、遺された子供が、受け継いだ作品を持て余し、色々な所に買い取りを求める。

しかしその時、このマーケットの崩壊で、買ったときのような値段で、買ってくれる所が一つもない。

そこで、売ったときと同額で買い戻すと言う画廊の言葉をたよりに買い戻してくれと、持ち込んでくる。しかし、買い戻すほどの力がもう無い・・・廃業。

これからは、美術作品にプレミアがつかない時代に入ります。まったくの実力次第。

リーズナブルな値段で、自分の目利きだけで権威に関係なく作家を選ぶ画廊だけが生き延びている。


というようなブログを見つけました。
作家さんを侮ってはならないというのが10年の画廊経験の私事の教訓です。

作家さんと深く関わってこそ、見えてくる実情があります。
知性も感性も優れて、さらに先見性もあるアーチィストの鋭い意見は、耳をダンボにして聞かなくてはならないでしょう。

私のささやかな経営手腕は、愛する作家の切実なるため息に耳を傾けるだけというささやかなことだけという気もします。

カロンズネットから

すばらしいレビューをカロンズネットの小金沢さんが書いてくれた。

カロンズネット執筆:小金沢智 2010年1月11日更新

今、アートスペース羅針盤が大変なことになっている。個展を開催しているのは画家の西川芳孝。日本画出身の西川が試みたのは、会場の壁面全てを水墨画で覆うインスタレーションだ。同様の試みは一昨年の同所での個展でも行っているが、ポートフォリオを見るかぎりそのスケールは格段に増している。展示壁面はもちろんのこと、事務所のドアまで作品に覆われているのだから。

作品には、作家によると宇宙のイメージである地の上に、大きな鳥が数羽描かれている。タイトルは《鳥》(墨・墨汁・胡粉・膠・新鳥の子紙、2009-2010)。宇宙とは作家の話を聞くまで考え及ばなかったが、夥しい数描かれている球体はエネルギーの塊のごとく、ケモノの眼球のようでもあり、荒々しい筆致が迫力に拍車をかける。重苦しくもあるが、そのため白い線のみで描かれている鳥の軽やかさが引き立つ。大きなものに包まれている心地がし、優しさも感じる大作だ。

2010年01月17日

佐藤美術館のコレクション展

午後、山本冬彦のコレクション展を見に行った。
羅針盤で購入してくださった作品もあり,懐かしく嬉しい限りだった。
とにかく、純粋に作品を楽しめるのがいい。
昨日は、山本冬彦のコレクション展のNHKの取材もあったようで、羅針盤にもギャラリーツアーの方々と来てくださった。

2010年01月28日

ベートーベン

ベートーベンのコンサートに誘われたので、池袋にある芸術劇場に行く。
田園など有名な曲ばかりだが、やはりすごいと思わずにはいられない。
あまり音楽には詳しくないが,小学生の頃からクラリネットを習っていたので、音にはうるさい。
クラリネットの音色が大好きだ。
モーツアルトが好きだった。
いつのまにか弟が私の買ったレコードを聴いていて、モーツアルトにはまっていたのには驚いた。
兄弟というのは,間接的にでも影響を与え合うものなのか?

今日は昼間にスパンアートギャラリーに行ったが、種村さんがいらっしゃったので、すこしお話をすることが出来た。
種村季弘というドイツ文学者に傾倒した20代であった。
ドイツのホフマンに夢中だったことがある。
種村季弘先生のご子息さまがスパンアートギャラリーをなさっているとうわさで聞いたが、なかなか御会い出来なかった。
種村先生は私の恩師であり、現代美術の水先案内人でもあった。
とにかく,早口で、博覧強記で、その後、書物を読みあさったものだが、頭の回転は全く追いつかない。
憧れるばかりで、近寄ることも出来ず、ギャラリーを始めた時に挨拶も出来ないほどだったが、こうして、息子さんとお話が出来るなんて,なんだか不思議でならない。
お父さんとは何か違うなあと思うけれど、すこし面影があったりして、なんだかそばにいるだけで嬉しかったりする。

2010年01月30日

羅針盤セレクション

1970年生まれの女性作家の展覧会を開催中。
評論家の評判もよい。
レベルの高い展覧会だ。
ここ数年の間に実力が発揮され、個性があり、画面に強度がある。
今日は、金曜日なので、9時まで開いたが、たくさんの人で大賑わいだ。
活気があり、楽しい雰囲気に溢れている。
ビールをたくさん買ってきてくれる作家さんもいて、その場で宴会だ。
寒い冬の日にたくさんの人が集まっていることは、なぜか,心まで温まるような気がする。

ご冥福を祈ります。

「どうして、三十年もやっていた画廊を閉じる決心をしたんですか?ずいぶんお悩みだったんでしょう。さみしいじゃないですか?山口さんがいてくれたから、うちもがんばってこれたんです。」というと、
山口さんは、「ごめんね、ありがとう」とこちらを見ずに目を伏せたまま応えた。
それが最後の会話になろうとは知る由もなかった。
実に1999年の春に羅針盤をオープンしたが、2010年のいままで挨拶程度にしかつきあいがなかった。
それもこれも、あまりに経営に困難を極めており、その解決案に必死すぎて、こちらに余裕がなかったためかもしれない。
なんとか,危機を乗り越えてきたが、やはりなんといっても、皆様のおかげでということかもしれない。
三十年も続いたのだから、皆様のおかげということは重々承知のことだろうが、周りの悲しみはいかばかりか、又,関係者の無念のお気持ちは計り知れない。
大事なことは先延ばしにする.、これは短気で、気の弱い私の格言だが、死、などという大事なことは
できれば先延ばしにして欲しかった。
先延ばしにしているうちに,何とかなることもあろうから。
君は人が良すぎる,どこまで馬鹿なんだといわれようと、やはり、悲しみに涙し、共感し、なにか、自分に出来ることはないのかと自答する。
ご冥福を祈ります。
本当にさみしい限りです。
ですが、元気印の羅針盤は頑張ります。

2010年01月31日

負の現在

百年にわたる上からの近代化によって負へと閉鎖した日本美術。(日夏露彦の『負の現在』から)
まさにその通り。
山口さんは、ビルの大家さんに『時代よ!』と叫んだと言うが、大家さんには何のことか分からないだろうが、この一言の意味は重い。
ここ10年の美術の変遷は、めまぐるしいものがある。
作家の制作状況も決して好転の兆しを見せない。
ならば、どうするか?
すれすれの生活を支える彼らの精神力に敬意を表するか、実質的にハローワークとなるか。
作家にお詫びしながら、首をくくるか,否か。
地面に近いほど、重荷が重いほど、真実に近くなる。
ならば、地に足をつけ、一歩一歩前進するしかないだろう。
今日,夕方には、山口画廊は閉鎖した。
あっけなく幕はおりた。
しかし、残されたものたちは、この険しい道のりを歩いていかねばならないだろう。


2010年02月01日

楽園

ハワイに魅せられて、描いた作品を展示しています。
一年に二回は、滞在しているほど、ハワイが好きだというロイヒ大崎さんの初個展です。
ハワイのおいしいナッツ、ハワイコナのコーヒーなど用意してお待ちしています。
厳寒の二月だからこそ、あったかいハワイを体感しにいらしてください。
きっと幸せになりますよ。
ハワイにはこんなところもあるんだなあとちょっとハワイ通にもなります。
ハワイ観光局より、いろんなパンフも来てるんですよ。
ぜひ、資料ももりだくさんですから、見に来て楽しんでいってくださいね。
今日もたくさんの方が来てくださいました。
先週もすごい人でした。
今年になって、一週間、400人くらいの来場者で溢れていて、驚いています。
不景気といっても、絵がまったく売れないなんてことはないですよ。
ますます活気に溢れ、元気印です。
ちょっと、私だけが、風邪気味ですが、頑張ります。


2010年02月14日

個性的な貸し画廊

寒いですね。
s氏のレビューを読みました。
以下です。

余談…

またひとつ歴史のある貸し画廊が閉店しました。ギャラリー山口の
閉店は、貸し画廊というシステムの衰退を象徴する出来事といえる
かも知れません。80年代に全盛を極めた貸し画廊ですが、やはり
経済のグローバル化が進む中でのコマーシャルギャラリーの隆盛
の陰に、その存在感をいちだんと薄めていったことは否めません。
それでも個性的な貸し画廊がわずかでも存続しているのが、この国
のアートフィールドの裾野を広くしているといえます。リピーターの
高齢化によるマンネリから如何に脱却し、より若手作家を惹きつけ
られるかが、貸し画廊が生き残るための課題です。

個性的な貸し画廊。。。。。
羅針盤のことにちがいないとひとりごちる。
「この国のアートフィールドの裾野を広くしている」という言葉にとても勇気づけられ、さらにはっきりとした方向性を見いだす思いだ。
そう、日本のアートフィールドの裾野を広くするために羅針盤は、あるのだと。
今日、芸術院会員になられた土屋禮一先生がお見えになり、大変興味深いことをお話しくださった。
ドナルド キーンが日本という国はすばらしいと。
なぜかというと個がないからだと。
個を越えて日本国という調和のある国民だからだと。
我々日本人は周りの人たちによって救われもし、追いつめられもする。
イギリスに留学した夏目漱石は、「こころ」という小説によって、自我をもたない故に苦しみ、自殺した友人の死を自分のせいだと内省した。
自己を越えて、他者の悩みを自分のことのように思う国民だと思う。
さらに、絵画は、音楽的なところと文学的なところの両方をもつが故に難しいのだと説明し、さらにいいたくないことを描いてもいいし、描きたいことを描くのでもいいしとその両義性にも注目すべきともおっしゃる。
作家というものの本質に迫るお話をうかがい,感激ひとしおであった。
「より若手作家を惹きつけられるかが、貸し画廊が生き残るための課題」とあるが、より本質的な問いを持ち続けられるかが、ギャラリーを経営する上で、大事なことではなかろうか?


2010年02月19日

水に映る風景 野崎慎展

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なぜか今年は妙に水面にまつわる表現、実と虚の移ろいを見据えた発想が多い。
野崎慎のどこかタルコフスキー的な描写はその典型--「水面に現れた一瞬の景色を絵にしたもの」だが、
実と虚の交錯に奇妙な不在感がある。

以上の文章は、佐藤美術館で開かれたprint making × japanese paintingのテクストからの抜粋だ。
多摩美術大学教授の本江邦夫先生がこのように解説しているとおり、野崎慎の絵画の表現は秀逸で、見応えがある。
「実と虚の交錯に奇妙な不在感」とあるように、時代を映す若い作家の感性が冴える。

2010年02月26日

羅針盤セレクションVOL.3 1980年代の女性作家6人展

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毎日、作家さんが着物で迎えてくれます。

新倉さんは、小鼓をたしなんでます。
マルガリータさんは、お茶をなさっています。
二人とも、着付けをなさるのですごいですね。

月間美術のブログ

会期中に、月刊美術の編集者の西村さんがいらした。
ありがたいことに取材なさって頂いて、以下のような記事が月刊美術のブログに掲載中だ。
月刊美術は、毎月、購入している。
お気に入りは、本江邦夫先生の対談だ。
先日、深谷からいらしたコレクターさんが、本江先生に「毎週読んでるがね。40年くらいの読者だから、ね。」とお話しなさった。
本江先生は、「顔がわれてるようだ、悪いことはできない」とおっしゃる。
月刊美術は、羅針盤でも、購入できるので欲しい人は御声かけ下さい。

以下、ブログの記事です。

京橋のアートスペース羅針盤に行きましたら、若い女性作家だけを集めたグルーブ展をやってました。いずれも80年代前半生まれ、つまり27〜30歳というこれから画壇に出て行こうとするフレッシュな日本画の画家さんたちです。

小さな画面ながらゆったりした時間の流れを感じさせる新倉佳奈子さん(1981年神奈川県生まれ。女子美術大学大学院修了)の作品がもっとも日本画的だったかな。
芹澤マルガリータさん(1982年モスクワ生まれ。京都造形芸術大学大学院修了)の建物をモチーフにした風景は、ちょっと構図に凝りすぎの感じもしなくもないけど、日本画の技法で新しい世界を表現したいという果敢さを感じました。
安倍千尋さん(1981年大阪府出身。沖縄県立芸術大学卒業。多摩美術大学大学院修了)は、空を一面に描いた「薄暮」のシリーズを発表。一見、奇をてらった風ですが、しかしじっと見ていると確かに空を見上げたときの、身体が空に吸い込まれるような感覚を引き起こす、爽やかな作品です。
ほかには円窓に金魚を描いた小杉亜希子さん(1981年愛知県生まれ。名古屋造形芸術大学大学院修了)。家を俯瞰で描いた青鹿未奈さん(1982年埼玉生まれ。武蔵野美術大学大学院修了)。抽象っぽいというか、アクションペインティングっぽい小松ゆかさん(1983年神奈川県生まれ。多摩美術大学大学院修了)があります。是非ご覧ください。

作品をとおして人との出会いが楽しい

昨日いらした作家さんからのメールです。
こういう作家さんとの交流が私を元気づけてくれます。
画廊は、交流の場でもあり、自分自身を成長させてくれる場所でもあるようです。
作家の舞台であるからこそ、こちらは黒子に徹していなければと思います。

岡崎様

昨日は、突然伺ったにもかかわらず岡崎さんとお話が出来てよかったです。
羅針盤に伺うといつも頭の中でもやもやしている部分がすっきりとするようなお話が伺えるので驚きです。

岡崎さんとの会話の中でも出てきましたが、作家は作品が商品として大量に出回るということでなく、作品をとおして人との出会いが楽しいのではないでしょうか。 それが厳しい評価や嬉しい言葉であってもそれが財産になっているのではないかと、思います。また、そんな出会いによって作品1点1点に対しても責任が生まれてきますし、自分の行動にも責任が生じてきます。
作家にとって考えは様々でしょうが、僕にとっては大切なことのような気がします。
作品で生活をしているわけではなく、他の事で収入を得ているのでそんな事を言っていられるのかもしれませんが、この状況のことは本当に感謝するべきことですね。

さて、松坂屋さんのことですが、僕にとってはそういった意味でもとても充実した1週間でした。
画廊の方々から励ましのお言葉をいただいたり、色々な作家と関わっていらした中で感じていらっしゃることや出来事などをたくさん伺えたのは財産です。
もちろん、羅針盤でも展示でも毎回感じることですが・・・。
僕の場合、普段東京にいるわけではないので、そちらの展示のときは数日でも居るだけで、色んな出会いや情報が聞けます。自分ひとりでは何も出来ないけれど、人を介してどんどん世界が膨らんでいく感じです。
作品を描いていなければそんな事もないですし、まず、岡崎さんとも会えていませんしね。

2010年03月22日

ルームシェアー

東北芸工大という大学が山形にある。
比較的新しい大学だが、たいへんユニークな大学で、先生達が大変熱心で,いい教育をしている。
先週は、ルームシェアーをしている学生たちが4人集まってグループ展を開催した。
もともと絵画専攻だったが、3年生になって、版画を専攻した4人展だ。
どれもこれも技法、発想など個性的で、のびのびとしていながら,完成度が高く仕上がっており、見に来る人を驚かせていた。
澄んだ空気の中で、のびのびと人間らしく生きること。
アトリエや学校にこもりきりで集中できる素晴らしい環境を持っていること。
仲間や先生達と語り合い、心を分かち合う思いやりを育んでいること。
日本の将来に危惧する昨今の状況下の中で、こういう若者たちに期待したいところだ。

2010年03月24日

名古屋のギャラリー

先日の日曜日は,久しぶりに名古屋へ。
名古屋の中心地にあるギャラリー余白の鈴木千一の個展とギャラリーIDFの8周年記念の小品展を見に行く。
昼は、チャンポンを食べる。
その後、名古屋のロータリーまで迎えに来てくれた作家さんの車に乗ってギャラリー周り。
飲み友達でもある竹松ちかさんがオーナーのIDFは、たいへんいい作家さんが多いので、楽しいのなんの。
ビールが出るわ、つまみのイカ揚げはおいしいわ。
なんて楽しいんだろう。
楽しすぎる。
自分が客になる心地よさ。
こんなにも楽しいのかとあらためて実感。
画廊を閉めてから、ビルの一階にあるブラジル料理のコースをフルにいただくことになった。
あさりのクラムチャウダー、自家製のからすみとごはん、青のりとタイのカルパッチョ、もちもちのパンに自家製のソーセージ、牛肉のステーキ等々、美味しすぎるのであった。
珍しいワインをいただいて、幸せでした。
心温まるいいお話もオーナーシェフから聞けて、たいへん元気になった。
気分転換には思いっきり遠方に来て楽しむのもいいなと思う。
又,ブラジル料理食べたい。

2010年03月26日

音楽の贈り物

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今日の午後、Atelier Star Fish 〜ほしうを工房〜のすてきなご友人がいらした。
変わったハープをおもちで、個展のプレゼントに彼女の作った素晴らしい曲を演奏して下さった。
それはそれは美しい音色で、さざ波のような感動が押し寄せてくる。
演奏が終わり、ワインを片手に3人で楽しいおしゃべり。
外はしとしとと雨が降っているが、春の訪れとともに気は緩む。


2010年03月29日

上野の桜

今週の日曜日は、上野へ直行。
早速、VOCA展へ。
ちょうど、学芸員の岡里さんが説明をしてるので、勉強になるなあと思い、ずっと後ろから聞いてるとなかなか興味深い話をしている。
何となく見るのもいいが、こうして説明があるとそれはそれで西洋美術史的な知識がちりばめられていて、さすが、専門家の見方は違うと関心した。
その後、上野の都の美術館に行き、東北芸工大の卒業制作の作品を見る。
来週は、三瀬夏之介研究室展がある。
乞うご期待のすごい展示になるだろう。
夕方になり、マレーシアの屋台が出ているので、ごはんは4分の一にしてもらって、200円のカレーを食べる。
本格的なカレーで、とてもおいしい。
桜も咲き始めて、上野はお花見客で大賑わいだ。
この時期はモダンアートのレセプションで、地方からたくさんの作家さんがいらして賑わうのだが、
都美館の改修工事で、しばらくは、そういう再会の楽しみもない。
さみしい限りだ。


2010年04月08日

東北画がたいへんなことに。。。。

今回の展示はすごいです。
来てみれば分かりますが。
100点以上の作品が所狭しとあります。
まず、ギャラリーの入り口、いつもと違って薄暗くて怖いです。
非日常空間での東北を堪能しに来てください。
お待ちしています。

私は絵描きのタンパク質である。

「最高傑作というのは誰にでも作れるものではない。芸術作品や文学、また他のプロダクツ、それにパフォーマンスでも、その人物が作り出した「作品群」が前提として存在しなければならない。略
最高傑作という言葉に値する仕事をするためには、まず多作であることが求められるわけだが、それだけではない。体系的.重層的な作品群であることが必須で、要するにルーチンワークを拒絶していなくてはならない。」村上 龍

「私は絵描きのタンパク質である」とユニークなテキストを投げかけた三瀬夏之助という作家は、誰にでも簡単に作れるものでない作品群を体系的.重層的に作り上げた、まれに見るすごい作家と思う。

今回も結果的に自らの限界に挑む強い意思を表明した。
常に新しいモチーフを獲得し、それまで培った技術と知識と情報を総動員して、活力のなくなりつつある、この美術界に問題を提起する。すごいなあ。
グローバリズムに適応するためには、国家でなく、地方に帰属意識を持った方が健康的だろう。
しかし、いまや、日本の地方は疲弊し、崩壊しかかっている。
個人として、グローバリズムに適応するか、社会的存在として、地方の自立のために努力するのか、
東北芸工大生の東北画の行方はいかに?

2010年04月15日

鬼のような撤収

三瀬さんのブログからです。

東北画。
あぁ、疲れました、ほんとに。
トークイベント、ものすごい人数でびっくりしました。わざわざ足を運んでいただきありがとうございます。赤坂憲雄さんにも来ていただき、重い言葉をいただきました。
鬼のような1時間撤収のあとは高橋コレクション日比谷でのカオスラウンジへ。
彼らと僕らの欲望や欠乏や空間作りの同質性と異質性が感じられて興味深い。

ただこのことについてはまたゆっくりと考えることにしましょう。
とにかく今は行動とカタチにすることを優先に。

いろんな意見が出ることが健康的だと思います。
後追い記事もいくつか出る予定です。
さてようやく東北への船出ですよ!

以上

いやあ、本当,撤収はすごかったですよ。よく時間内に終わったなという感じです。
ご苦労様です。

今日は、この頃の銀座の画廊の現状を聞かせてくれと電話インタビューがありました。
また、後日、そのことに触れてみたいと思います。

2010年04月19日

IDFのブログ見つけました。

今、IDFのギャラリーでは、生川和美展を開催中です。
これがすばらしいんです。
ブログを見ていたら、あれ、私のことが書いてある。
うれしいですね。
IDFは、名古屋のコマーシャル画廊ですが、いい作家さんが多く育ってます。
オーナーの千華さんは、デザイナーの才能もあり、実業家であり、奥様であり、ママでもあります。
一人何役も。。。
私よりタフです。

以下、IDFのブログです。

東京からアートスペース羅針盤の岡崎さんが
8周年のお祝いにかけつけてくれました。

貸しと企画を行っている羅針盤はIDFの忙しさの比ではなく、
月に4展示。考えただけで目が回ってしまいます・・。
そんなタフな岡崎さんには、私がかつて絵描きをしていた頃から
お世話になっていて、今は同業となり、仕事の悩みを相談したり、
一緒に楽しく飲んだりと、ありがたい存在となっています。

いつもありがとう!!

2010年04月20日

墨の新しい可能性

今日は、実験的な試みである展覧会を開催。
墨を使った作品というくくりで12名の個性的な日本画家に依頼。
早速、ユーキャンで出版している趣味の水墨画という雑誌の取材があった。
今、この時期に何故墨なのか?から始まり、なぜ、この作家達を選んだのかに至り、インタビューは続く。
朝からコレクターさんがひっきりなしにいらっしゃる。
作品も4点が売約となり、好評だ。
5時からオープニングが始まり、参加作家さんが10名集まり、大変な盛り上がりだ。
個性的でユニークで楽しい作家さんたちばかり。
作品は明日にはアップします。
私のわがままな企画のために惜しみない努力と作品提供をしてくださった参加作家さんには感謝の気持ちで一杯です。
作品を見れば、どれだけの労力を使って描いているか、手抜きのない真摯な仕事ぶりに感激し、テンションは、上がりっ放しです。
小品の新作もたくさん用意しました。
期待を裏切りません。
是非、見にいらしてください。


2010年04月22日

妖怪図

昨日、アートソムリエの山本さんがいらして、以下のようなブログをアップしてくださった。

●今日は仕事で東京に行ったついでに京橋の羅針盤で行われている「墨の新しい可能性」展をみた。これは12人の若手日本画家が墨の可能性に挑んだ作品を展示するものだ。確かに各人が墨の大作を発表しているが、中には日本画の小品が何点もでていた。中では以前の個展で河童の屏風を出していた満尾洋之の「妖怪図」というミニ作品がおもしろかった。
 来週は東京芸大の現役日本画家10人による「といろ展」が開催されるが、こちらもおもしろそうだ。

2010年04月25日

ツイッター

ツイッターなるものが流行っている。
すごい量、しかもすごいスピードの書き込みだ。

今日、読んだツイッターに、羅針盤は日本画に徹していて飽きたなあ。。。と書いてる人がいたが、5月の展覧会は、すべて日本画ではない。
油画中心なので、その撤しなさに唖然とするだろなあ。
すみません。

ア二エスカフェのランチ

大学時代の友人と久しぶりにランチをすることになった。
そこで前から気になっていたラフィナートホテルのア二エスカフェのランチに行った。
ここのおすすめはスウィーツである。
スープに野菜サラダ、肉料理やパスタや魚料理から一品選び、さらにパンがつく。
すごいのは、飲みもの。
お気に入りは、肌にいいハーブのお茶。
たいへんおいしくブレンドされていて、三種類もある。
絶品は、スイーツだ。
4種類もある。どれもすばらしくおいしい。
これで1050円は安い。

2010年04月26日

羅針盤下見会

本日も遠方からコレクターの方々がお越し下さった。
2時から宴会が始まり、前にも聞いたことがあるが、熊谷守一のすざましい画家の生涯の話だ、
「子供が餓死しても、絵を売らなかっただよ。すごいねえ。描いて描いて描きまくるんだよ。それが絵描きってもんだと。」
モロッコの珍しいワインを開けて、おすすめするが、あまり反応はない。
さて、そうこうしていると、新宿のmiura artのオーナーの三浦氏がいらした。
書家の姫も来場。
日曜日とはいえども、私はお客様のために画廊を開けております。
いっそ、日曜日も営業しようかしらんと考えておる。。。。。

2010年04月28日

私には、2つ違いの弟がいる。
誕生日が同じなので、誕生日のケーキはいつもひとつ。
あほな弟は兄弟姉妹というものは、同じ日に生まれると信じていたらしい。
考えれば分かるだろう。
そんなはずがあるまい。
三歳の頃、海上自衛隊の航空部隊につとめる父は仕事から帰ると、隣の漁師と一緒にイカ釣り漁船に乗り込んで、朝帰り。
疲れも知らず、自衛隊に行くという、信じられないタフな男であった。
男たるものは、タフであるのが当り前、仕事は,2つはこなせるぜ、しかも愚痴はこぼさない。
これぞ,男と育てられたはずの弟は、父から逃げまくり、軟弱の極みと思うような男子であったが、
なかなか立派な社会人になっている。
人間は成長する。


2010年04月29日

自分の声で歌おうよ。

ピカソの色使いはひどい。
ターナーの人物画はどうしようもない。
ソール・スタインバーグのスケッチ技術は最低だ。
エリオットは日銭を稼げなければ暮らせなかった。
ボブ・ジュランは、歌を歌えなければ、ギターも弾けない。それでも彼らはやめなかった。

これは、アメリカで大人気の名刺漫画家の「オリジナルワンな生き方」という本からの引用だ。
『人は、表現されたカタチに感動するのではなく、その先にある人間性、その人の声、そのものに感動する。』と語るヒュー・マクラウドの言葉はとてもいい。
何事ものめり込んでみなければわからない。
芸術は魔物だが、芸術にのめり込んだ人間にしか分からないものは確かにある。
のめり込んでいると、やがて、絵を見ただけで、作家の声を聴き分けるのだ。
そうなると、しめたものだ。
喜びと感動とときめきが一度に訪れ、至福感に満たされる時が来る。
たった絵を見るという習慣だけでだ。
だから、コレクター同士は、不思議な感覚でとりとめのない言葉でも会話が成立してしまう。


2010年05月06日

極小美術館

なぜか、連休の午後、岐阜の彫刻家の長澤氏が作った極小美術館に行くことになった。
オープニングのレセプションがあったが、彫刻家の篠田守男さんもいて、思いがけず、夕刻の飲み会まで一緒になった。
豊田市美の方や武蔵野美術大学の学長さんまで同席され、たいへん有意義で楽しいひとときになった。
休みなので,気が抜けてリラックス。
なぜか、歓迎されてうれしかったなあ。

2010年05月07日

GW休業

といろ展の小品がたくさん残っていたら、ギャラリーを開けて,商売しようと考えていたが、嬉しいことに思いがけずに多くは残らなかったので、販売はせず、作家さんの了解を持って小品をすこし預かることにした。
GWなるもの、久しぶりに自分だけのために休んでみようといろいろと計画を立てた。
久しぶりに、美容院に行ってみた。
気になっていた,銀座のクラブのようなファション館のアバクロにも行ってみた。
お仏壇のはせがわにも行ってみた。
6Fのミュージアムには、芸大の修復の卒業生の作品も展示されていて必見だ。
最後は,銀座の並木通りにある三笠会館のヴィオラという立ち飲みバーに行き、アサリのワイン蒸しと三笠会館自慢の唐揚げをつまみ、ワインを一杯だけいただく。
私の今一番のお気に入りは、スタンデングバーのヴィオラ。
スタンデングバーのヴィオラは、立ち飲みだと安くなっていて、かなりお得だし、チャージもないし、季節の野菜を使った料理があり、とても美味しい。
長居しないので飲みすぎることはないし、混雑してないのがいいです。
ヴィオラの宣伝みたいですね。


2010年05月09日

といろ展の搬出、お疲れさま

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2010年05月13日

川崎マジック

一昨日の夜は,日本橋巡りの会の川崎さんにお誘いを受けて、日本橋老舗の店長会なるものに参加させていただいた。
50人もの方がいらした。
日本橋の老舗の若旦那や店長さん、老舗の画廊の方もおいでだった。眼下に広がる絶景を見ながら、ロイヤルパークホテルの20階にあるパラッツオでのお食事。
すばらしいオベラとピアノ演奏の後、赤坂迎賓館担当シェフの美味しいフランス料理を堪能。
なんてしあわせ。
そして、どうして京橋の私が場違いのようにいるかというと、川崎マジックの力である。
「サプライズが人を変える」(川崎さんの言葉)との名言のように、川崎さん自身がサプライズだ。
最初に画廊にいらしたときには、その姿から歌舞伎役者の方とばかり思っていた。
また、お話がぽんぽんと大変はぎれよいので、落語家ではないかとも疑った。
「揺すらないと実は落ちない」とのお言葉通り、揺すられぱなしだが、果たして、私ごときに実があるのかどうか?
というより、小津和紙ギャラリーでの「Shutter 10stance」というシャッターに絵を描く企画を羅針盤の作家さんたちに依頼していたことがきっかけで、たいへん仲良くなった。
今後、作家さんにコラボする企画をたて、作家さんが経済を気にせずに、絵が描けるような体制作りに
一役買ってくれそうだ。
まずは、羅針盤は7月から始まる老舗ツアーの訪問スポットとなります。
「明日の自分が今日の敵」とかっこいい名台詞をおっしゃる川崎さんは、俳句もなさる文人でもあり、
若手アーチィストの水先案内人として、今日も日本橋を闊歩なさっております。
かっこいいですねえ。

2010年05月19日

界に引く線  VOL.2

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搬入して、みんなでぱちり。
多摩美術大学の卒業生4人です。
個性的です。
シュールです。
いい展覧会ですので、ぜひ見に来てね。
待ってます。

2010年06月08日

イメージの多様性

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羅針盤セレクションのイメージの多様性の参加作家さんたちです。
最後はバローチさんがハンガリーの貴腐ワインをあけて、クロージングしました。
バローチさんは,ハンガリーに縁があって、今は,高知で庭に来るタヌキとともに共生しています。

一期一会の出会いですが、みなさん仲良く和気あいあいと楽しそうでした。
これからも制作に励んで下さい。

2010年06月16日

梅雨入り

松崎有希子展も大盛況でした。
梅雨入りしましたが、松崎有希子の描くあじさいはすがすがしいです。
しかも、いつもいつも見てくれるお客様に満足してもらおうという彼女なりの努力と気持ちの伝え方には、こんなに気持ちを込めて描いたのにうまくいかなくてすみません、、、、というような謙虚さが好きですね。
なんで俺の芸術を分からないんだろう、この世の馬鹿な奴らには分かんないんだよ、というようなおごり高ぶった気持ちは微塵もありません。

以下のような感想などいただきました。

先週末は松崎さんの個展で楽しませて頂きました。
なんだか忙しなくて失礼しましたが、沢山の花を拝見させて頂き、入梅の折に爽やかな気持ちになりました。
松崎さんの個展もいつもお母様もいらしてとても和やかに感じますし、その反面、作品のバイタリティーと何方にもお声掛けなさっていらしゃるホスピタリティーに敬服いたします。
作品は朝顔の小作品などは飾りやすく、何と言っても青がきちんと「花」になって瑞々しく、
お持ちになった方は枯れること無い永遠を毎日眺められることと羨ましく思います。
また、いつも本当に羅針盤のメンバーは作品にはっきりと成長が印されて、もちろん人格的にもですが、岡崎さんの先見の明なのだろうと感服いたします。

最近は美術の業界もニューウェーブに直面していると思います。
作品作家、ビジネススタイルなどなど。
一番は「お客様」だと思います。
旧来の方々も然ることながら新規のお客様、具体的には始めて観る方、持つ方が自然発生的に増えたことです。
本当は画廊さんや画商さんのお考えになることだと思いますが、サービス面の強化が必要に感じます。
私なんかは思う一方でまだ何も出来ていませんが、作品の簡単な取扱説明書を今度から添付できるように目下検討中です。
また1つの空間で新旧入り乱れる場合にも一策必要かななどとも。
しかし新規といって絵などは初めてでも、仕事でもなさっていれば社会人としての感覚(嗅覚)を無視できないと思います。
美術業界の事情は直ぐにお見通しとなってしまうかもしれません。
これについて「あきない」をどうするかと考えてしまいます。

今日読んだブログにこんなのがありました↓
●徳を育む人間学(学)と、知識・技術を学ぶ時務学(芸)
http://d.hatena.ne.jp/k-hisatune/20100613
張栩氏「碁」の話。「concentration」の方法。とても面白かったです。
3つほどセレクトします。

1.どんな相手であっても、自分が勝つ確率は10%くらいだと思って対局に向かいます。一手一手打ちながら、20%、30%と積み上げていくような感覚です。
2.普段から疲れた脳に最後のひと仕事をさせる訓練をしておくべきだと思います。
3.囲碁は千年以上続く素晴らしい文化で、人生をよくする力があると僕は心底信じています。

1.からは「獅子搏兎」天才でありながら努力家を感じます。
3.は碁でなくても、どの国の文化にも置き換えられる素晴らしい言葉だと思います。

相変わらず長くなり失礼しましたが、また楽しみに伺わせて頂きます。
御礼と感想まで。

2010年06月17日

音楽的共感覚的絵画

神保千絵の展覧会を開催中だ。
真空管の内部を描いた作品だ。
神保さんは女性にしては珍しく、無機的なものが好き。
かわいらしい、その容姿とは、ずれた印象のミニマルな世界を描いてきた。
たとえば、ノルウェーの私書箱など。
初めて見た絵は、メトロノームだったが。
真空管の小さな部品は、彼女を魅了したか?
そこから抽出したもので、自分の世界観をランドスケープするといった手法で、メカニカルな空間と内在する空間をいかに演出するか?
そこに神保千絵の作品の魅力がある。
抽象美術のカンデンスキーは幼い頃からピアノをよくし、パウル,クレーも幼い頃からヴァイオリンをよくし、ベルンのオーケストラで弾くほどだったらしいが、神保さんもクラリネットをするためか、作品も音楽的共感覚的絵画のようだ。
その豊かな抽象造形は、形や色彩や量やマチエールの配置関係によって、まるで音楽を奏でるようなリズムとハーモニーで成り立つ。
曲線と直線で空間を造形しながら、押さえた色使いもいい。
あらゆる芸術は音楽の状態に憧れるといったのは、ショウペンハウエルだが、神保千絵さんの作品は久しぶりに音楽と絵画の共感覚的融合の楽しみを導いてくれるものだった。
恵まれた共感覚を生かしたランドスケープ。
真空管という小さな世界に小人になって、大きな世界でオーケストラを聴いているといった、夢のような劇場に思えてくる。
ぜひ、みなさんにもこの不思議な空間を味わっていただき、見に来ていただき、感想なりをいただきたいと思っています。

2010年06月19日

顕微鏡

とても腰の低く、丁寧な絵の見方をなさる方で、毎週いらっしゃる紳士のお方が、神保千絵さんの作品をたいへん気に入ったらしい。
しかも、顕微鏡をプレゼントしてくださると言う。
それがもう、レトロな木箱に入っていて、もちろん,鍵がかかっている。
お車で運んでいただいたが、当のご本人も鍵を持ってして開けることが出来ない。
昨日の夜から今日の朝まで中身の顕微鏡が気になって、鍵穴を何十回も回してみるが、すごい錆のためか、全く開かない。
昨日の夜は,そのせいで,帰宅が大変遅くなり、真夜中になるとこだった。
今日の朝もやってみたが,だめだ。
大空襲の際に、この箱だけもって逃げ回ったという形見のような代物だ。
ただの顕微鏡ではないな、とにらんだ私は、神保さんが自宅に持ち帰るまでは、何としても、中を見たかったのである。
何とも開かない箱を睨んでる時に、高級メロンをぶら下げてのカメラマンがいらした。
メロンも魅力だが、ともかく、箱の中身が問題だ。
この人はきっと開けてくれるはずと直感。
開けて。。。。という間もなく、開きましたよ、となんの困難もなくいうので、拍子抜けした。
そこにあった顕微鏡は、家一軒の価値のあるドイツの高級な顕微鏡で、毛髪の内部まで見える。
慶応の小児科のお医者さま(私のおじさまと同じだあ。小児科の先生らしく,お優しそうでした。親しみが湧きます。)で4代目という方だからこそ、この顕微鏡を大事にされたというわけだった。
メカニカルな空間を描く神保さんにプレゼントしてくださったお医者さまは、午後、またおいでになり
開きましたか?といって、嬉しそうに顕微鏡の中をのぞいていらした。

2010年06月26日

線遠近法

渡辺真木彦の展覧会を開催中だ。
展示が始まる前に下見に来るお客様がいる。
空に浮かぶ雲が真正面から描かれている絵や新宿のビルもジオラマのように描かれており、この独特な遠近法が見る人の目に違和感があるらしい。
現場監督さんや建設業を営む方には、この遠近法はおかしいという訳だが、作家さんの狙いはそこにある。
「線遠近法がなっとらん」とのご指摘だが、あっけらかんとした空には、大きな固まりのような雲がたくさんところ狭しと並んでいる。
雲というより氷山のようだという人もいる。
雲の上の空を描いたのは、砂漠にすむ女流作家だったが、空に浮かぶ雲は、一つ一つの表情が豊かで、なんと、楽しげなことか。


淡い光

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「疲れた脳にもう一仕事させよう」というメッセージが気になったので、早速、渡辺さんが搬入でへとへとなのに、もう2点サムホールが0号の作品があるといいなと何度となく云ってみた。
すると、二日目に,「淡い光」という素敵な作品が完成を見た。
とても良い作品だったので、すぐにお嫁入りです。


ランチ会

久しぶりで高校時代の友人とランチ会。
たった三人だったが、ラフナートのアニエスカフェに行く。
ランチの前に羅針盤で絵画を鑑賞。
「日本画って、こういうのもあるの?イメージが違う。サインの文字もじょうずなんだねえ。作家さんイケメンだねえ。。。」と、とても興味深そうだった。
友人自慢みたいだが、私の友人たちは、才媛で美人揃いだ。
話題は、癌に成らない為の食事についてだ。
昔、食品加工で匂いの研究をしていた友人は、匂いもストレスが関わっているという。
自分の匂いにもっと関心を持ち、健康管理に役立てなくてはと思った。

2010年06月30日

渡辺真木彦展 メールたより

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メールをもらいました。

今週の展示、素晴らしくて驚きました。
まだまだ私が知らないだけで凄い作家さんっていらっしゃるのですね、、、。
私も頑張ります。

2010年07月01日

普天間基地問題

今、羅針盤セレクションを開催中。
油画の専攻の作家さんを集めて企画した展覧会で,今回は羅針盤のおすすめ作家で、個性的な作家ばかり。
搬入から和気あいあいと楽しい。
オープニングはいつものステーキンくいしんぼからオードブルをケタリングした。
金城 徹の作品は、鉄の板に沖縄の風景を転写しており、そこから確かに沖縄の基地問題を考えさせられる。
しかし,思いがけなかったのは、若手作家といわれる彼らがワールドカップを控えたこの場に及んで、普天間基地問題について,熱く語るので,驚いた。
とにかく、皆、主張する絵画なのでおもしろいです。
見に来てください。
明日は9時までですので、ぜひ、普天間基地問題について語りたい方もお待ちしています。

2010年07月03日

生まれてる

「こゆさん、今日すごいいいことがあったんです。」というので、何かと聞いてみたら、玄関にミミズのような、小さいもの、しかもひょろ長いものがいるという。
近づいてみると、それはヘビの子供。
「いいことありますよねえ。。。。」というが、お金でも落ちていたのかと思うのが凡人。さすが作家さんは違う。
今日も、「笑われるかもしれないけど、今日はいけません。すずめのひながいて、えさが見つからないので見つかるまでは、出掛けられないと。」
ほほう、この一週間の間に、ヘビの子供が生まれ、雀の子供まで生まれた。
私には、ヘビの夢を見たら、お金が入ってくるといいなあと思うくらいだが、どうやら、展覧会よりも重要な出来事らしいのである。
金の雫ふるふると題する上野真由の作品は、ブータンの和紙にドローイングされた作品で、ちょうど
来られないと連絡が彼女からあったので、作品を今一度見てみた。
そこには、何か蠢く生き物の姿があるように思えてくるから不思議だ。
もともと、神話的世界に題材を求めて作品化してきたが、この頃は、立体のようなものも手がけるので、だんだん空想的、妄想的世界も現実味を帯びてきてしまったように感じるのは私だけか?
和田奈緒美さんの絵画は、細胞分裂のようなミクロの世界を描いた作品だが、生命の誕生を身体的、感覚的に表現されているように感じる。
テクニックではない、自分を見つめる大いなる畏敬の念が感じられてならないところが、魅力だ。
作品も作家の子供のようなもので、作家の産みの苦しみからしか生まれないが、ヘビの子どもはヘビからしか生まれず、雀の子供は雀でしかない。
無から生まれた大いなる作品に畏敬の念を持って見ることが出来れば、作品鑑賞はイマジネーションの宝庫となる。

2010年07月29日

田村正樹展

新展開の田村正樹の展覧会をやっています。
さすが人気作家!!!
この猛暑にも関わらず、切れ目なく人が来ます。
大阪から滞在しています。
毎日、作家さんは画廊にいます
やはり圧巻は、大作です。
一つの宇宙と言うべき大画面と空間。
包まれるような空と手の中の宇宙。
どちらからも啓示を受ける、そんなすばらしい展覧会です。

2010年09月06日

接待の暑い夏

秘蔵の作家展が終わり、今週より荒川由貴展が始まった。
33点もありすごい数の作品群だ。

やっと九月になるが,まだ暑い。
今年は暑いので、とても辛い。
暑さのせいでか、コンパスはお休みしてしまった。
頑張って書かねばと思うと書けなくなるから,気ままにスケッチのつもりで書こう。(と自分で言い聞かせる)

夏休みのイベントの最後は、佐久市立近代美術館に荒井裕太郎の彫刻が収蔵されたので、その収蔵作品展に新美術新聞の油井社長さんはじめ編集者の方とともにご招待なるかたちでおうかがいしたことだ。

今年、新たに収蔵された作家さんとそのギャラリー関係者や編集者の方々と長野の佐久市へ小旅行気分で行ったのだが、美術館で作品を鑑賞したあと、鯉料理を料亭でいただき,軽くビールも入る
昼からほろ酔い加減だが、手みやげには美術館からも地元の銘菓が配られる。
手作りまんじゅうもいただく。
至れり尽くせりのすごい接待に驚きながら、ローカルならではの心温かいもてなしにぐっときた。

夕方には到着したので,ワンピースクラブのコレクション展にも行く。
私のコレクションも片隅に参加させていただいた。

しかし、同じ芸術作品とは言いながら,同時代を生きる人々のそのコレクションの好みの違いに愕然とする。

美楽舎のコレクション展は本当に変なものがあり,好奇心をそそり、実におもしろい。
ワンピースクラブの作品は、今、最新トレンドの作品が多く、それはそれでおもしろい。

まだまだ刺激的なアート界である。

ワンピースクラブの会場はメグミオギタギャラリーだったので、近くの鰻屋で鰻を食べる

そのあと、マイナス2℃のスーパードライを飲みにラフィナートホテルのビアホールへ。
全品、ワンコインだが,一杯しか飲めない。
冷たすぎるのか。満足するのか。

最後の幸せな夏の夜でした。

2010年09月07日

秘蔵の作家さんから

先週は秘蔵の作家展だった。
未知数ながら、隠れた才能を世に出す喜びは大きい。
まだ在学中の作家さんらも大作を持ち込み、その圧倒的な大きさと熱情のこもった作品にますます暑くなるような熱気が会場にあった。

初日には,大いに盛り上がり、夜通しで語りたくなるような話題もあったが、やや衰えを感じ始めた肉体をいたわるように、さっさと家路に着いた。

昔は自分から作家を誘って飲みに連れていったが、この頃はそんな元気はない。
お店に行くくらいなら,画廊に食べ物や飲み物を用意してあげた方が楽だし、楽しいのでは?と思うので、月曜日と金曜日は、そんな感じになっているから、自然と作家さん同士はお酒の力も借りて、とても仲良くなっている。

今回も搬出が終わったら、打ち上げをしていたみたいだ。いいことだなあ。
先週の作家さんに以下のようなメールをもらいました。うれしいなあ。

まず一人目から、

先週の展示は、大変お世話になりました。
同世代の作家とも知り合うことが出来、強い刺激になりました。
今後とも、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。

次に以下のようなメールが、うれしいなあ。

こちらこそ、よい機会を設けてくださりありがとうございました。
とても意義のある展示でした。

自分の作品の良い部分を指摘してくださった事も、今後に繋がる励みにもなりました。

岡崎さんを見てとても強いエネルギーを感じましたし、
たった一人で、ここまで経営して行く事にも凄みを感じました。

今後の羅針盤の展示も、非常に楽しみにしています。
ご縁あっての事なので、今後とも関わっていけたらと思っています。

また、是非お会いしましょう。

以上のような言葉をいただくと、この仕事がどんなに私を成長させてくれるかということに気がつく。

作家さんのために、私の出来る仕事があるので、使命感を持って、もうひと頑張りしなくてはと思いました。
目標と夢があれば、困難は乗り越えられます。

辛くなったら,羅針盤に集まりましょう。

酒盛りして元気になりましょう。

2010年09月09日

強い意志を持ったまなざし

今日は天気も悪く、どしゃぶりのため、午前中は全くといっていいほど人は来なかった。
しかし、午後から夕方にかけて,評論家や美術館関係者の方にお出でいただき、貴重な話が聞けた。
個展では作品販売ばかりが重要なのではなく、やはり、ジャーナリストにも関心をもってもらい、マスコミに取り上げてもらうことも大事だろう。
荒川さんの絵は、ほとんどが女性の顔だが,意志の強さがその表情やまなざしに表現されている。ボデイがそれに比べると弱いためによりいっそう、女性の存在感が強調されている。
背景は、ぼんやりとした木々や森、見え隠れするこどもの豆粒ほどのシルエットくらいだ。それは、日常の世界ではない。
彼女の絵に登場する子供達は、森からこちらを見てはいるが、足だけが描かれていたりするため,ややおそろしげでもあり、子供の無垢なかわいらしさとはムードの違うものだ。それは子供の持つ本質を描きたいという彼女自身の強いまなざしなのである。
個人的には、体操着を着た子供達がヤギと一緒に大きく回転してゆく100号の大作が一番好き。
あとは、桜の木の下で、かくれんぼする子供の絵も好き。
ふと、高校時代に読みふけった萩原朔太郎の草の上で遊ぶ猥雑な詩を思い出した。
思い出すはずのない詩のはずだが、どうしてだろう。
記憶の連鎖とは不思議なものだ。
子供が森で遊ぶ時、そこには大人の見えない魔女が悪魔の笛を吹いているだろう。
ある日突然、町から子供が消えたドイツの古い町の伝説のように。

だからいいんじゃない

東北画の案内状をたくさん持って,あるがあくさんがいらした。彼女は東北芸術工科大の4年生で,今奥野ビルの銀座フォレストというギャラリーで版画の個展を開催中だ。ドットのミニマルな作品で木版とシルクで作成し,仕上がりは,金属の風合いで,私好みの作品だ。羅針盤の4月のグループ展でも、いい作品を発表したが,今回の新作もとても完成度が上がっていた。
『そうだ。せっかく,東北から来たのだから,こういう形で宣伝してあげねば。
皆さん、行ってあげてください。』と。
「コユさんに逢うと緊張します」というので,どうしてかと聞くと「見透かされている気がするから」とあくちゃんは答える。しかし、由貴ちゃんは、「だからいいんじゃない」という。
私に云わせると,作家さんの方が怖いのである。
野生の勘によって、見抜かれるのはこちら側であろうから。

2010年09月18日

種まき

足立正平展がすばらしいです。
友人の一人からこんな嬉しいメールがありました。
それに答えて私からの返信メールです。
岡崎様
こんにちは
昨晩はありがとうございました。
気候も秋と夏を行き来するようで、なんとも落ち着きませんね。
我々の世代も段々とアイディアが実り、仕事が増える一方で、
真に芸術家を志すための工夫も必要になって参りました。
画業とは何とも行きつ戻りつしているようで、いつでも足踏みばかりと数ミリも進んでない様子に聊か焦りの様な感覚を覚えますが、
「我がやどに、韓藍(からあい)蒔(ま)き生(お)ほし、枯れぬれど、懲りずてまたも、蒔かむとぞ思ふ(山部赤人)」
の和歌の様に、懲りずにまた絵を描くことで自然に次が咲くのだなと、それを信じて筆を取り続ける日々でございます。
そんなことを考えつつ、羅針盤で作品を観たり、皆さんとお話したり、こゆさんとお酒を酌み交わす(笑)と、とても元気になります!
先日ご一緒した方に
「なぜ羅針盤は人が集まるのか?」と聞かれた際に、
「そこに鮮やかな彩があるから!」と説明をいたしました。
これこそ展示の、画廊の醍醐味のように感じます。
例によっていろいろと長くなりましたが、今日は少し涼しいのでお許しください(笑)

それではまたと思います。
時節柄お身体ご自愛ください。

PS:和歌の解説:
私の家の庭に、韓藍(からあい=鶏頭の花)の種をまいて育てているうちに、いつしか枯れてしまったけれど、懲りずにまた、種をまこうと思う。

先日、友人からもらったハゼの盆栽を見事に枯らしてしまいました→あっという間に紅葉したのでどうもおかしいなと思ったのでございます(笑)


返信メール

本日、白い虹の書は、残念ですが、他の方のところにお嫁入りしました。
さて、足立さんの中国の友人の話などがたいへんおもしろいので、時間がたつのが
わからなくなり、本日も夜は10時過ぎとなりました。
「僕のためにも宣伝などしなくてはならないので、今週もたいへん忙しいらしい」と嬉しそうな様子でした。
いつもありがとうございます。
懲りずてまたも、蒔かむとぞ思ふ
大事ですねえ。
枯れてしまったかのような作家さんにがっかりしないで、これからも種まきはしようとおもう。
どこから,芽が出てくるかわからないから、、、、、
怒られそうな解釈ですねえ。

練馬区美術館の野地さんは、文人たる足立さんに大変興味を示しつつ、漢詩も
さらりと読みつつ、詩人の生涯にも詳しいので、尊敬しました。
祖父が漢文の先生で,幼稚園時代から,暗記させられたから、というのでした。

昨日、水木しげるの「人生をいじくり回してはいけない」というエッセイを読みました。
その中に
「自分の好きなことをやる。そのために人は生まれて来たのだと私は思っています。やりがいだとか、
充実感といった言葉をよく耳にしますが、結局は自分が好きなことしか、そういうものは見つからないような気がします。」
とあり、
やはり,絵描きさんはなにより絵を描くのが好きだから,描くんだろうと想像しました。
絵を描くために生まれて来たから,描く。それが幸せに繋がると。
さらに
「人生にはいろんなことが起こって当り前。それらに一喜一憂するのではなく,放っておくことです。
人生をへたにいじくり回したところで、何の解決にもなりません。」

足立くんの引用した李賀の漢詩に、蜘蛛の糸がちぎれてしまいそうだ。それはわたしかもしれないし、あなたかもしれない、と本人なりの解釈をつけてくれました。
人生をいじくりまわさないで、ちぎれそうな蜘蛛の糸のように生きよう、カボソイ生命しかないけれど、と。

か細い私ですが、羅針盤には「そこに鮮やかな彩があるから!」というお褒めのお言葉に気がよくなり、調子づいて、むやみに長くなってしまいました。
涼しいからではありません。
またのお越しをお待ちします。

アートスペース羅針盤
岡崎こゆ

2010年09月19日

注射します。

作家さんからこんなメールをもらいました。
うるうる,,,,感激です。


「コンパス通信で、売る側の作家の気持ちとはどんなものなのか?とかいてらっしゃいましたが、私はこうでした。


私のような無名の者の作品を何万円も出して買っていただけるなんて、信じられないことで言葉にできないほど嬉しい。今はまだまだだけど、あと10年、20年たったら、もっと価値のあるものになるように、私はがんばります!と。
けれどもやはり、これで最後の別れかもしれない、と思うと、里子に出す親のような、とてもせつない気持ちで涙がでました。

なんという、気持ちの上り下りでしょうか、これほどまでに嬉しく、でも哀しい気持ちになる、気持ちの揺れに私は動揺しています。

でも、確かなことは、応援いただいた皆様のお気持ちに答えたいということ、どんなに忙しくても必ずかけつけてみにきてくださる先生がいること、それは描き続けていこう、という意志に後押ししてくれたことに間違いありません。

これからも迷い、もがき、苦しみ、時には歓喜し、ということはいくらでも想定できますが、でもいつか、私の思い描く世界を、私の頭の中で鳴り響く交響曲を画面に遺したいと思います。

岡崎さんにはお世話になりっぱなしで、とっても感謝しております。とても温かい気持ちでいっぱいになることができ、一週間のあいだに心の栄養剤を注射していただきました。」


いやいや、実際に私みたいなものが、心の栄養剤を注射していたのかどうか,心もとないが、おもしろい表現だなあと思いました。

でも、注射してもらいたい方,注射しますよ。
効くかどうか分からないけど。

文人

足立正平さんは、幼少時から書をたしなみ、漢詩も読みこなせるなど大変教養あふれる作家である。
近年、若人にまれに見る文人である。
私事になるが、前衛書の稲村雲洞という書家についていたことが、なぜか骨董美術に目をひらくきっかけになったことは、間違いがない。
目習いこそ,君に必要なことだと師はいう。
いい作品を見ることのできる眼を養えと、そのために本物を見、さらに借金してでも、「いい作品を購入して毎日眺めよ」とのたもうた。
おかげで,全くおしゃれとは無縁の今の自分が出来上がった。
そのメッセージの教えが、これほどに人生を変えるとはその時は思わなかったが、身銭を切って購入し、さらにその作品と一緒に住みながら、その作品を飽くまで眺めることによってしか、見えて来ない実感というものは確かにある。
物事が分かるということは、頭で理解することとは本質的に違うのである。
分かるということは、己の人生を変えるくらいでなければ、わかったことにはならないのであろう。
こうも云える。
もし、作家が何かを理解したなら、作品は大きく変化せざるを得ないのではないか?
人生の水先案内人の役割をしてくれるくらいの哲学者のような賢人の作家にもそろそろ出会いたい。
そういう時におすすめなのが、足立正平なのである。

2010年09月23日

ぶたの貯金箱とくじら

今週はいかねばならない展覧会がたくさんあるが、どうしても全部は行けないだろう。
まずはお気に入りの馬籠伸郎の個展へ行く。近くのツープラスというギャラリーへ行くと、作家のしんろうくんはいない。
しんろうくんのイメージは、紫という感じで紫芋のタルトと沖縄の紫の大きなドラゴンフルーツをお祝いに持っていった。
ふと、二階の階段の踊り場に見慣れぬピンクの豚の貯金箱が。。。。
その上には,サポーターになってくださいとある。
お菓子では何の足しにもなりません。感動したら、100円でも1000円でもいれてサポーターになってください。とあり、そのお金は全部作家さんに渡しますとあった。
それで、そっと札を折っていれたが、つまってしまった。
で、本人が来た時に大きな豚にした方がいいよと助言した。
でも、考えたなあ。いいことだなあ。
すこしでも,現金の方がいいものね。
会期中は交通費だってかかるし、外食代だってばかにならない。
今日は、足立正平くんと湘南くじら館へ行った。
初めての訪問。
画廊から約、車で二時間半。
ちょっとしたドライブだった。
入り口におもしろい人形が飾ってある。
目玉が飛び出していて、歯が剥き出しの得体の知れない怪物君のお出迎えだ。
外観はかわいらしい3階建ての建物で、3階には、冷蔵庫、テレビ、バス、トイレ付き、さらに調理器具もすべてそろっていてのゲストルームがあり、作家さんに500円でお貸ししていると言う。
最高だ。
窓から差し込む明るい光、吹き抜けのあか抜けたスペースにかみかわちあきさんというギリシャのキプロス在住の作家さんのオブジェやパッチワーク的作品やドローイングの数数がセンスよく配置されていた。
展示にとても慣れているベテラン作家の雰囲気があったが、オランダの美術館には所蔵されているものの日本では、初個展らしい。
この遠方の画廊は、これからも次々に大変興味深い展覧会を企画していて、眼が離せない。
おすすめの隠れ家的な画廊だ。みんなに教えてあげたいし、ツワーを組んでお出掛けしたい。
居心地のいい空間にいるとずっといたくなるなあ。
三時間もいてしまった。
長居してすみません。

以下、住所とホームページアドレスです。
湘南くじら館
[スペースkujira]252-0802
神奈川県藤沢市高倉668-12
0466-47-2946
www.shonanfujisawa.com/~kujira/

湘南はやや遠いのですが、行って損はありません。
お土産も充実してます。カエルの張り付いた携帯入れを何と1350円で買いました。安い。安すぎると思いながら、カエルを二匹連れて帰りました。

2010年10月13日

神山 玄 展

神山 玄の新作展を開催中です。
とても楽しい展覧会です。
初日から8点も売れてるんですよ。
すごい反響なのです
0号がたくさんあり、ノスタルジックな車、空き缶・・・などが、描かれています。
心惹かれる神山ワールドをぜひご覧下さい。
以下のようなメールをもらいました。


沢山の「日常」の場面を描いた作品群からはストロボ的であるものの、愛嬌あるモチーフがそれを見事に語っていると感じました。
黒猫、カラス、ノスタルジックな車、空き缶・・・これらは作家を生き映したような面持ちで、世間から逸脱した存在であり、孤独であり、淡いロマンスであるような、そういった切なさを表しているように捉えられます。
しかし、持ち前の明るさ、純朴な色遣い、散歩道の様な線、これらが真に軽やかな憧憬として観る者を引き付けて止まないように感じられます。

以上のような感想ですが、大変,共感します。
とてもいい文章ですね。


しかし、今週は大風邪をひいて、たいへんでした。
昨日は、日本橋老舗の店長会議のオペラとフレンチの食事会には頑張っていきましたが、その後、ダウン。

先週は、大阪の阪急メンズ館でのアート展にも出展していたので、一泊で搬入にも行き、休みなく動き回っていたため、疲れが出たようです。


2010年10月14日

和紙花の展示 石渡真紀

先週は、大阪の梅田にある阪急百貨店、メンズファッション館でテイティングアート展に羅針盤から珍しい和紙花の作家、石渡真紀さんをコーディネーターさせていただきました。
5日は7時頃到着。お手伝いを依頼していた作家の田村さんと真紀さんでアジアン料理を食べ、8時半から飾り付け。ようやく終わったのは、11時過ぎでした。
以下、石渡さんからメールがきました。
完璧なできばえのディスプレー、あんなにきれいにできるとは.、、
来年も3月に予定しています。
石渡真紀さんに感謝致します。今後とも宜しくお願いします。


こゆさん

お疲れさまです!

昨晩大阪から帰って参りました.
阪急でのディスプレー、あんなにきれいにできるとは.、、
期待していた以上で本当に嬉しいです.

こゆさん、田村さんのサポート心から感謝しています.
この企画の実行委員の皆さんもとてもいい人達で本当に気持ちよくイベントに参加できました.

メンズ館での様子

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総合デレクターのとしまさんと。

作家の真紀さんと

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作家の田村さんのお手伝いの様子

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夜遅くまで、展示の協力を惜しみなかった田村さん、本当にありがとうございました。
貴重なサポートでした。

2010年10月16日

美術鑑賞 その一

10月は、良い展覧会が目白押しだった。
今のマイブームは、バーネット ニューマンである。
川村記念美術館にて、開催中だ。
抽象表現主義の代表的な作家。
ジャッドなどのミニマルアートに見られる、非常にストイックな絵画表現はもともと好きだが、探究心をそそる作家の一人。
また、田中一村展もたいへんおもしろかった。
かなり昔、南日本新聞に連載していた田中一村の記事を切り抜いていたことがある。
また、鹿児島の美術館でも田中一村展を見たことがあるが、全貌を見るのは初めてでとても興味深かった。
東京芸大をすぐにやめてしまっているんだな。
しかし、膨大なデッサンにはあまり関心はしないが、早熟な知性と教養の持ち主であったことが墨絵や書の筆跡からもわかり、興味がわく。
南国には強烈な光と影があり、咲き乱れる花や植物があり、作家を惹き付けてやまない楽園があるのだろう。
昨日は、某評論家の先生のお付きとして、東美の特別展示の内覧会及びレセプションに行く。お着物のご夫人が多く,すでに場違いな格好ではあったので,控えめに先生の斜め後ろについてゆく。
さすがに,すごい作家の絵には力がこもっているなあ。また、骨董の世界は奥が深いなあ。などなど、興奮してこの日の夜もよく眠れなかった。
烏丸光広や明恵上人の掛け軸に心奪われたが、お値段も500万というので、ちょっとお買い上げとは行かない。
風邪をひいて,まだ体調が良くないが、秋の夜長にニューマンの画集を見るのが何よりの楽しみ。


2010年10月19日

リベラルアーツ

今日から、京都造形大学の新人選抜展を開催中だ。
夕方、一橋大学の芸術産業論のゼミの生徒さんらが柴山先生とお見えになる。
10名足らずの学生さんと交流するのは、初めてのことだ。
柴山さんは、一橋からハーバード大学を卒業後、ロックフェラーにいた方で、もとサザビーズ、ジャパンの社長を務め、現在は京都造形大学と一橋大学で教鞭をとっておられるときく。
今は会社も経営されているが、銀座にコレクションギャラリーもあるそうだ。
以前、イタリアンをご一緒させていただいたが、お話がぽんぽんと歯切れよく、しかも明快で気持ちよく、たいへんためになることばかりだった。
今回の一橋の学生さんにアートマネージに関するお話をしてもらいたいといわれたので、「まず、画廊をやるためには一年間、資本金600万、他、運営費として1400万円が必要でした。」というところから話し始めた。
一橋大学と言えば、将来、商社、銀行マン、さらには会社経営者として活躍することが期待される。
よって、彼らにとって、関心があるのは、経済界なのだから、芸術という分野がどう繋がるのかというところだろう。
さらに、質問の切れもよく、「銀座に300くらいの画廊があるとききますが、その中で、この画廊はどういうところに差異化をはかっていますか?〉とのこと。
それこそが、画廊ビジネスの成功のキーワードと感じていたので、「いい質問ですね、情報化社会により、世界がグローバル化するにつれて、日本とは?日本人とは?という原点回帰するという視点に立ち戻るのは必須だと思われたので、日本画を見直そう、若手作家の日本画を取り扱おうと思ったんです」というと、質問をした学生が、「原点回帰ということなんですね?」と念を押す問いかけがあった。
聡明な若者たちとその後もワインを片手に語り合ったが、大変刺激的で楽しかった。
「又、個人的に遊びに来ます」とのこと。
リベラルアーツな若者に大いに期待したい。
このゼミをとるくらいだから、昔ながらの上流階級社会に必要と思われる教養、リベラルアーツを身につけて育ってきたと思われる。
芸術の話ができる若者達。
文化資本にも大きな格差が生じていると感じた。
私たち、ギャラリーの仕事も文化資本の継承と啓蒙が必要であることは疑う余地がない。


メールだより

早速,昨日の一橋大学のゼミ生から、このようなメールをいただく。
うれしいなあ。


アートスペース羅針盤代表 岡崎こゆ様

昨日訪問いたしました、一橋大学の・・・・
(柴山先生が講師の芸術産業論履修者)です。

昨日は貴重なお話ありがとうございました。
アートスペースのマネジメントのお話、大変勉強になり、
今後授業の一環でオークションを開催するにあたって大きな糧になったと思います。

今度個人的にゆっくりと訪問したいと思っています。その時はよろしくお願いします。

2010年10月26日

京都造形芸術大学選抜展メンバー

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みなさんで集合写真を撮りました。
朝まで、マックでお化け話で盛り上がり,一睡もしていない生徒さんもいました。
眠そうですね。。。。。。
このメンバーから、スターがでそうな予感がします。
すでに佐竹くんは、アートネクストで準グランプリに選ばれ、来年はVOKAに選ばれています。
みなさんのこれからの活躍に期待します。
がんばって下さいね。

売れてます。

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浅野紋子のポストカードブックが発売されました。
昨日は100名近くの方がオープニングに来られました。
三好企画から出版された浅野紋子のポストカードブック。
素敵なポストカードです。
昨日、17冊も売れました。
絵も購入してもらいたいですが、ポストカードもなかなか良いので、ぜひ、ご覧いただきたいです。

2010年11月28日

コレクションしました。

山本淑子展がすばらしかった。
昨日、岩手新報という新聞に大きく写真入りで取り上げてもらっている。
山本さんは、現展の会員で会員賞に岩手芸術院選奨を次々にとるなど、めざましい活躍だ。
最も注目すべき、実力のある作家として認められつつある。
初めは、羅針盤で2002年頃からAXISというグループ展で毎年、新作を発表し続けてきた。
ドリッピングとも、ドローイングともつかないような手法で、実験的な作風が多かったが、突然、蝶がさなぎから脱皮するように、美しいブルーの作品を作り始めた。イルージョンが豊富で、鮮烈な青が新鮮だ。
深い森で呼吸するような清々しさが好き。
激しい雨をテーマにした今年の作品がすばらしい。
早速、小品をコレクションしました。

2011年01月12日

あけましておめでとうございます。

今年は、荘厳な曼荼羅の絵画で始まりました。
大源麻友さんの個展です。
大源麻友さんは、昨年は高野山へ作品を奉納するプロジェクトに参加。
羅針盤では初個展ですが、とにかく、修行僧のような気持ちでいなければ、絶対に描けないであろうという力作を展示しています。
新作の小品もたくさんありますので、是非、ご覧いただきたいと思っています。
初日には、美楽舎のコレクターの方やワンピース倶楽部の石鍋さん、日本橋巡りの会の川崎さんなど華やかないでたちといいますか、和装でおいでくださり、それはそれは大変な賑わいでした。
今年も羅針盤は、にぎやかにスタートしました。
ぜひともご愛顧賜りますようにお願い申し上げます。
アートスペース羅針盤
岡崎こゆ

2011年01月15日

絹本

今年はどんな年になるのだろうか?
やや心配、そしてちょっと楽しみでもある。
25歳の若さで、曼荼羅をひたすら描き続ける大源さん。
細い面相筆で、小さなみ仏を描き続けるとは、やはり何度みてもすごい。
絹の製造を100年以上も作り続けているという山形の会社の社長さんが来られた。
多くの方に応援してもらいたい作家の一人である。

2011年01月21日

講演会と懇親会のお知らせ

美楽舎の例会ですが、コレクターの高橋龍太郎先生を御招きしての座談会があります。
ぜひ、ご参加下さいませ。
人数に限りがありますので、早めに参加のご希望を御知らせ下さい。 
羅針盤でも承ります。

03-3538-0160
岡崎まで


■座談会(会員外の方も参加可)
『高橋コレクションの夢
    ― 高橋龍太郎氏を囲んで ―』
アートスペース羅針盤 中央区京橋3‐5‐3京栄ビル2F
TEL 03‐3538‐0160
2011.2.6(日)15:00〜16:30

■懇親会 :  〃      16:30〜17:30        
 懇親会費:会員1,000円  会員外2,000円

2011年01月26日

完売しました。

久しぶりに、羅針盤セレクションは、木彫や石膏などの立体を展示していました。
思いもかけず、大塚亨さんの作品が10点見事に完売。
木彫に漆や綺羅で着色した鞄や靴、ボールペンなど男性の身のまわりのグッズをモチーフにしていたのですが、男性のコレクターに大人気でした。
正月早々、大源麻友も好評でしたし、彫刻も人気があり、ほっと一息です。
寒くて、なかなか画廊に来るのは大変ですが、ぜひとも楽しいひとときを御過ごしにいらしてください。
正月早々は体調が良くなかったのですが、やっと回復。
気分を新たにがんばってます。
今、開催中のマチダナオさんも毎日、会場にいますので、ぜひご覧いただきたいと思います。
鮮やかな色彩の乱舞に、心は温かくなるはずです。
今年は、苦手なコンピューターにもついていけるように、時にはみなさんがはまっているツイッッター
なども手がけようと思います。
今年も宜しく御願いします。

2011年02月01日

注目の女性作家展やってます。

12.jpg

着物姿のマルガリータさんが出迎えてくれます。
寒い毎日ですが、ぜひ、見に来てくださいませ。

2011年02月17日

針生 卓治 展

アートソムリエの山本さんがいらしてくださった。
以下のような感想をブログで掲載してくださったとおり、小品は面白いものがあるので、ぜひ、ご覧下さい。

羅針盤の針生卓治展に立ち寄る。東北芸工大の大学院修了の針生の大作から小品まで数十点が画廊中に展示してある。大作の方は今ひとつ私の好みではないが、小品には面白いものがいくつかあって、なかなか楽しい。

針生くんは学生時代に河北新聞社主催のコンクールで大賞を受賞。4メートル近い大作を新潟市に寄贈したばかりの新進気鋭の作家だ。


2011年03月13日

緊急事態のため、展覧会は中止いたします。

皆様、だいじょうぶですか?
羅針盤は無事ですが、来週から展示の青木俊子展は、協議の上、展覧会を中止することに致しました。
皆様の無事を祈りつつ、お詫び申し上げます。


アートスペース羅針盤
岡崎こゆ

2011年03月29日

謹んでお見舞い申し上げます。

未曾有の事態に皆様の安否を心配しております。
銀座は、夕刻ともなると、かつてのように明るい街灯に照らされてはおりませんが、行き来する交通状態は変わらずに、人々の様子もややひっそりとはしているものの、ある程度の落ち着きを取り戻しているように見えます。
皆様から、大丈夫ですか?とのたくさんのメールをいただきました。
幸い、画廊の作品は全く無事で、まったく被害はなく、ほっとしています。
3.11の夜も作家さんやお客さんたちと画廊で一夜を過ごしました。
画廊を閉じることなく、ドアを朝まで、オープンにして、帰宅できない方にも休める場所を提供できました。非常事態に際し,出来ることはしようと思いました。
大地が大きく揺れ、高層ビルが左右に大きくしなり、とてつもない事態に遭遇したと感じました。
更に,原発の恐怖が待っていようとは,誰が予想したことでしょう。
このような時に、展覧会を開催しても、交通の手段がないのです。
展覧会に作家さん自ら来れないという現実を見越して、涙をのんで展示会は中止し、話し合いで延期となりました。
先の見えない状況下で、展覧会のスケジュール調整に悩みましたが、
展覧会の変更を快く承諾してくださる作家さんのおかげで、4月7日より、画廊を再開できるようになりました。
この場を借りて、皆様方のご好意に感謝致します。
コレクターの方からも、一日も早く,画廊を開けて欲しいと連絡があります。
皆様方のお越しをお待ちして準備を始めています。
もうしばらくお待ちくださいませ。
きっといい展覧会を開催しますので、ぜひご覧いただきたいと思っています。
被災地の作家さんからも一日も早く元気な岡崎さんの姿を見せてあげてください、
東京を元気にしてあげてください、とかえって励まされています。
眠れない夜を幾度もすごしながら、祈るような気持ちで過ごしています。

2011年04月13日

会場風景

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震災の影響で,プロバイダーとコンタクトがとれず、新たに更新しており、数日は、会場風景がアップできません。
それで、ブログに入れることにしました。
画廊のルータも壊れました。それで、今はメールもホームページも画廊では見れない困った事態です。

原発はまだまだ余談は許さないのだとは思いますが、画廊にいると、そういうことも忘れるときがあるほど、ゆったりとした空間に包まれています。

大きな作品ですが、鉄であることを感じさせない皮のような質感と有機体のもつなまめかしさは健在です。ぜひ、実物のスケール感をご覧いただきたいです。皆様のお越しをお待ちしています。

会場風景2

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この作品が一番好きです。
小振りですが。

作品3

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この作品も何かの生き物に見えますが、素材は鉄です。

2011年05月02日

ネットの故障でご迷惑をおかけしました。

鈴木千一展では、たくさんの方にご来廊いただきました。
作家の鈴木さんは、滅多にないことだと云うのですが,大風邪をひかれていたにもかかわらず、毎日,画廊にいて、お客様の熱心なお話に耳を傾けていました。真摯な方で、絵を描くことがどんなに楽しいかを語ってくれました。岐阜の風景や大きなサクラの木や静物など、私たちが失ってみて分かる懐かしいものの記憶がそこにはあると思いました。30年もの間、ひたすら油彩を描いて来た人生が滲み出ている絵画でした。
先週は、日本橋めぐりの会の代表をつとめる川崎さんの推薦で羅針盤のゆかりの作家,梁取文吾と満尾洋之の2人展を開催いたしました。
多くの方にご来場いただき、また作品もたくさん売れました,本当にありがたいことです。
売上金の10パーセントを義援金にさせていただきたいと思います。
皆様のご理解とご協力に感謝致します。

震災の影響でネットの環境が悪く,時々、メールが見れませんでした。
また、ホームページの、更新がままならず、ご迷惑をおかけしました。
この場を借りて,お詫び致します。
今は,解消しております。
新しいマックも購入し,心機一転、頑張ります。

2011年05月10日

散歩するように楽しんでください。

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鈴木さんの絵は、虹のように美しい。
画廊の中をウロウロするのが一番作品を楽しむ方法である。
散歩しながら、絵のまわりを角度を変えて見るのがおすすめ。
真正面からじっくり見るにはもったいなさすぎます。
ぜひ、溢れる色彩を体感しにいらして下さい。
生きることの幸福感とは、光に包まれることかもしれない。
包まれること。
無条件で愛されること。
愛がなくては人は生きられない。

2011年05月13日

光のプリズム

鈴木さんの作品を見ていると、この地球のあるべき姿を思い描く。
それは、南フランスの陽光の降り注ぐニースの幸福な風景。
それは、また、バビロンの教会のステンドグラスから差し込む光。
そして、光の屈折によるプリズム。
目眩のするような美しさだ。
明るく,軽やかな垂直線は、天上界へと続く。
降り注ぐ光に、心が満たされる瞬間があった。
それはもう,紀元前の過去の記憶のように。
幼稚園の頃、牧師様は神様のお話をしてくれた。
小さな心にも一つの魂が宿る。
祈りは、きっと届くと信じてた。
手を合わせて、神様にお願いをする。
敬虔なクリスチャンではない私でも、今は光の進む方向に歩いていきたい。


2011年05月22日

人気者

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「エスパーaokiの愉快な毒気に当てられて。。。。。」などと、初めて会った方にも強い印象を残す作家の青木さんの個展は、日々、たくさんのファンが訪れて本当に楽しいものとなった。
作品は子どものような気持ちで描くことが大事という純粋さがストレートに伝わるので、作家さんのファンも多い。
昨年、脇田美術館では大きな会場で個展を開催したが、その際に制作した大きなドローイングは圧巻だった。
脇田ではビエンナーレを行っていて、初代のグランプリ作家でもある、青木さんだが、デザイナーでもあり、また、アートディレクターでもある。
若い作家の心をつかみ、スポンサーを買って出て、さらに作家の気持ちに寄り添うようなアドバイスをしながらのアートディレクションは来年に開催予定だ。
さながらマルチの才能の持ち主。
Tシャツに自分で金具やリボンで細工をするなどのファッションセンスもあるので、若い作家にも大人気で、人生を謳歌するその姿勢が素敵だ。


黒こしょうせんべいと鎌倉のおいしいクッキー

「そんなことでどうする。震災ごときで画廊を開けられないくらいなら、画廊なんかやめてしまえ」と怒鳴られた。
なぜなのだろう。
お客さんやら、批評家にまで、数人だが批判を浴びた。
というのは、震災でキャンセルが相次いだ訳だが、事情は果たして人により,微妙に違うのだ。
心配症の私は、美術評論家に相談はせずに、すぐに弁護士に相談に行った。
私の弁護士はいつも口癖のように、「何も未だ起こってませんね。何か事が起こったら相談に来てください」と言う。
さらに「あなたに必要なのは、安心する事です」と。
この頃は、「雑談でもいいですよ。いつでも来てください。」と歓迎されるようになった。
これは,歓迎なのか,そうでないのかは不明だが、なんでもかんでも、相談に行くようになってしまったが、弁護士さんにお任せするのが一番安心なのである。
私には、法律という武器がないから,闘えないが、弁護士にはあるので、少々お金がかかっても面倒なことは弁護士に依頼するというのが一番だと思う。
相手にとっても、公平な判断である事の方が,感情的にならずにすむだろうから、いい方法と思う。
私のとった震災後の行動を弁護士は、「なかなかいい判断でしたね。正しい判断と行動だと思いますよ。」と云われたので、その日は、ほっとして夜はぐっすり眠れた。
さて、いろいろと云われても、私には弁護士がついているし、黒こしょうせんべいと鎌倉のおいしいクッキーがついていたのだ。
震災時に画廊で待機してもらった方たちが、先週,お見えになり、お礼にとせんべいをおもちくださった。
「楽しいひとときでいい思い出が出来ました」とせんべい。
「初めて逢ったばかりの私にお腹すいてませんか?カップラーメンたべます?もう,電車はもう動いてませんよ。ここにいてゆっくりしていってくださいね」と声をかけたらしい。
そして、私は,夜,皆を点呼してたらしいのである。よく見てるなあ.覚えてない。。。。
自分の事ではなく,人のために動いてる私を観察し、私のホスピタリティに感動しました,とまで言われ、こちらがびっくりした。
こんな人もいるんだなあ、お礼に来てくれるなんて。。。とこちらが感動したくらいだ。。。。
私としては普通の事だし,当り前の事だし,それにお礼にまで来てくれるなんて,恐縮です。
だから、だから、批判を浴びても何でも、真心で生きていけばいいんです、頑張れ、と自分に言い聞かせている。

2011年06月11日

「日本現代美術マーケットの潮流:アートフェアを通して」

美楽舎 第260回例会

アートスペース羅針盤 中央区京橋3-5-3京栄ビル2F TEL 03-3538-0160
2011.6.19(日) 15:00〜16:30
懇親会   〃      16:30〜17:30
(懇親会費  会員1,000円 会員外1,500円)

■講演会(会員以外の方参加歓迎)
池内務 氏 (レントゲンヴェルケ代表取締役)
 
■美楽舎会員募集中
美楽舎は、美術愛好家による任意団体。会員は骨董から現代美術まで幅広い愛好家・コレクターです。
■美楽舎事務局 〒104-0061 中央区銀座1-5-1第三太陽ビル6F K’s Gallery 内
TEL/FAX 03-5159-0809  メール: HYPERLINK "mailto:kgallery@eagle.ocn.ne.jp" kgallery@eagle.ocn.ne.jp


1992年28歳での「アーノマリー」の活動では椹木野依とともに村上隆等の展示を開催、南画廊東京画廊以降の新世代現代アートの先駆的役割を果たした人です。
近年もアートスパイラルを開催、先般は「行商展」開催するなどめまぐるしく活動し、常に現代アートの先頭に立ち発信を続けています。


2011年06月25日

伊藤清子展ー浮遊するくらげたちー

昨日、ダンスパフォーマンスがあった。
浮遊するクラゲのような、無重力空間にいるかのようなしなやかな動きにすっかり魅せられる。
今まで見たことのない不思議なダンスだったので、とても印象に残った。

クラゲの透明感やぬるぬるした質感やとらえどころのない動きを描くことは大変難しい。
しかも水の中にいるというのなら、背景はブルーにしても良いところだが、黄色やピンクにして表現している。
見るものをだます、あるいは絵画化ということが成功しなければ、作者が求めているイメージは伝わりにくい。
クラゲの足の部分は空間を作り出し、クラゲのひらひらが存在感を出しているため、水に浮かぶクラゲをイメージし、そこに動きを追って見る。
横長のキャンパスに何体ものくらげが絡み合い、もつれあい、浮遊する。
どこに行こうとしているのか。
キャンパスからはみ出して、浮遊するくらげを楽しめる空間。
とても心地いい。

2011年06月30日

佐野紀満展 かすみ雲

佐野紀満の初個展は羅針盤だが、ずっとモチーフは動物だ。
動物は作者自身なのだろうか?
ややデフォルメされている。
しかし、その動物達をくっきりと際出させているのは、背景の装飾にある。
花が多いが,トケイソウやおだまきなど珍しい形の花ばかり。
佐野さんは、かなり勉強熱心なタイプで、日本画の昔からある伝統的な手法を実験的に多く取り入れる作家だ。
今回の新しさは、主にかすみ雲にあるようだ。
かすみ雲は、伝統的な装飾で、丸い雲のような形で、場面の仕切り直しや遠近法に使われるものだそうだが、今回はめだって用いられている。
銀箔の部分がほぼそうなのだろう。
やや暗めにしてみると、銀箔が鈍く輝き効果的である事が分かる。
覗き込むような動物のまなざしをより引き立ててくれそうだ。
しかし、優しいまなざしの動物達は、私たちを癒してくれるのであろうか?
遠いまなざしのチーターは困った表情をしている。
福島の子供達が内部被爆をしていると、ニュ―スで聞きながら、とんでもない事態が訪れたと思う。
原発の近くの海岸で打ち上げられた畸形の亀やイルカに罪はない。
水と空気と土がなければ,生き物は生きていけない。

2011年07月02日

震災チャリチィー展修了しました。

「セックスは女」という女性三人のグループ展を開催中に3.11は起きた。
実存という重い哲学的なテーマに取り組む絵描きは久しく見なくなったが、この三人には、女性性を問い直す真摯なまなざしがあり、大地に生きる女性性のあり方を突きつける痛みや悩みがあり、生きる事の苦悩を直視するまなざしがあった。そこに私の目は釘付けになったのである。
重荷を背負って生きる罪深い女の業は、どのような解釈で持って、私たちの未来を語るのであろうか?
というような事を考えていたのも束の間、3.11は起きた。
今日は、この展覧会を企画,立案に協力してくださった内田あぐり先生と反省会を行う事になり、赤く辛い北京チャンポンが大変美味しいお店、天津飯店に行く。
3.11のとき、先生はメキシコで展覧会を開催していたが、その後、日本に帰国。
義援金を持って,陸前高田に行ったらしい。すごい人だなあ。お金を集めて、役所に届けて、実際に現場に行ったという。行動する先生は素晴らしいと思う。
そうそう、羅針盤でも、東北芸工大の有志で作品でチャリチィー展をやってほしい、そして、東北のみなさんに恩返しがしたいというので、よし、それならやろうという事で、展示をしていた。
本日、二ヶ月ほどの展示を終えた。
皆さんの協力があって、このような展示を出来た事を嬉しく思う。
皆さん、ご協力ありがとうございました。
まだまだたいへんな日が続きますが、日本のためにもうひとふんばりしたいです。
頑張りましょう。

2011年08月11日

美楽舎マイコレ展

今、美楽舎のコレクション展が開かれている。
毎日、この暑い中、大勢の方が訪れ,コレクションをご覧になっていただいている。
コレクターさんがどんな作品を集めていらっしゃるかということは、我々にとってもたいへん興味深い関心ごとである。
羅針盤ゆかりの作家では、佐野紀満作品やかなり昔の作品になるが門倉直子作品まで、展示されている。
門倉直子さんは、先日いらっしゃった。
羅針盤の事務室コーナーに特別展示室を作りましたので,こちらの方もご覧下さい。
現在は、長(おさ)雪恵新作作品展と増田泰子作品展を開催中です。
こちらもおすすめです。
8000円から20000円くらいでもお気に入りの絵が見つかるよ。。。。。コーナーです。

門倉直子さんご来場

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直チャン来ました。
美楽舎の会長の澤登さんと人形なら右に出る方はいないとうわさされるコレクターの丹さんです。
澤登さんが直チャンの作品を今回出品してくれました。
とっても懐かしい作品です。
直子さんもすっかり大人になられ、又,作家としても大活躍なので,嬉しいかぎりです。
今、はまっているブラジルのインポートブランドのルーシーちゃんのお店に無理矢理連れていってしまいました。
ルーシーちゃんは、ブラジルのデザイナーです。
南国情緒たっぷりの鮮やかな色と斬新なデザイン、不思議な布地。
そして独特のキャラクターTシャツ。
ほぼ,毎日通いつめ、とっかえひっかえルーシーを着こなしております。

2011年08月12日

増田泰子の小品もあるんです。

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今回、ちょっと素敵な増田泰子作品も御願いして展示してもらいました。
フレームに入っていて、お部屋に飾るのにとても良いです。
見に来て下さい。

2011年08月14日

うづうづ展 始まります。

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塩崎 美佐子(しおざき みさこ)と山崎 由美子(やまさき ゆみこ)の二人展の搬入でした。てきぱきとした行動に目を見はります。聡明な二人は、手抜かりがありません。いつも感心しております。
飾り付けも終わり、お茶を飲んで一息。
そんな二人を撮りました。
さわやかな女性や子供を描いた作品を見に来て下さい。
裏の小部屋にヌードもあります。

2011年08月18日

注文しました。

山崎さんの描いた子供がうんとかわいいです。
子供の表情が生き生きとしています。
しかもこっちを見てます。いちご王子などは,イチゴをたべながらこっちを見てます。
女の子はポーズをとってます。
ごろごろ寝転がる小さい男の子の姿がかわいいです。
甥っ子が幼稚園の頃を思い出しました。
じゃれてくるので,とても愛らしかったです。
それから、サッカーばかりしていたらしく、夏休みなどに,一度も逢えずにいましたが、
すっかり高校三年生になっていて、この頃の写真を見たら別人の男の子が。。。。。
残念です。
姪っ子が小学一年生なので,ぜひ,かわいい盛りの頃ですので,描いてもらおうと注文しちゃいました。
とても楽しみです。

2011年08月31日

中風明世展

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初日は、モダンアートの作家さんがいらして、歌を歌わされるはめに。。。。
コレクターさんが、歌と作品があわないと怪訝そうでした。
震災後と震災前の作品が明暗を分けていました。

2011年09月29日

立花多美子展開催中です

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近づくとたくさんの生き物がうごめいています。
それは、破壊されて散らばっていたり、溶けつつあるようなたくさんの生命体です。
馬が走っていたり、兎が跳んでいるような絵を見るより,はるかに生き物の動きを感じるところがすごいと思います。

2011年12月14日

ニューヨークの画廊からようこそ

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チェルシーの画廊から、オーナーのお見えです。
スタイリッシュな方ですが、搬入と飾り付けを手際よくしていただきました。
すっきりとした良い展示になっています。
みなさん、ぜひ、いらして下さい。
アニータさんもいらしてます。

2012年01月26日

おすすめです。

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搬入後の三人です。
西村さんと下山さんは初めての展示ですが、とても見応えのある作品を作り、また演出も凝ったものとなりました。
是非、ご覧いただきたいと思います。

2012年01月30日

AXIS 2012が始まりました。

現代美術家協会の若手作家も交えての恒例の展覧会、AXIS 2012が始まりました。
岩手と長野の支部長たちから選ばれた作家たちの素敵な展覧会となりました。
才能あふれる新人を交えての展覧会です。
ぜひご覧頂きたいおすすめの展覧会です。

2012年02月15日

東北芸工大と京都造形の展覧会が始まりました。

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今回は、明日から始まる京都歩きのイベントにも参加します。
スタンプラリーの会場になっています。

明日からは、山形の東北芸工大の卒業生の展示会も同時に始まりましたので、
ぜひ、山形にも足を運んで下さい。
今日、夜行バスで山形に行くと云う方もお見えになりました。

小品室には蜜蝋を使ったインスタレーションもあり、見応えのある作品ばかりです。
ぜひ、みなさんに見て頂きたいです。

2012年02月29日

ユソンの個展が始まりました。

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韓国の留学生で、多摩美術大学の大学院生の有善さんの修了制作展を開催中です。
3月で韓国に帰国するらしいのですが、日本では初個展です。
今日は大雪の日ですが、晴れ間が見えたらみなさん、見に来て下さい。
とても楽しいユソンさんが待ってます。

どこへ

どこへ。。。と題された作品は、スコップの上に苗木をのせた絵である。
その奥には大きな木が描かれている。
私はどこに植えられるのだろう?多摩美かな?それとも捨てられるのかな?と不安に思って受験した時の絵だという。
毒キノコの絵もおもしろい。
たくさんのキノコが描かれているその上に大きな目が。。。
人は見た目じゃ分からないよ。きれいなキノコには毒があるよと。
どの絵にも物語があり、自己分析の中から導きだされた格言がある。
絵は日記のようなもの、自分の子供のようなものというユソンさん。
善が有るというよい名前だが、損有るよとも読める。
評論家のとある先生が、良い事をして,損するのは嫌だなとつぶやいておられた。

2012年04月03日

安倍千尋展

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夕暮れ時の空が再現されていて、美しかったです。

お着物があいます。

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素敵なお着物のお友達をアップしてみました。

2012年04月05日

明日は9時まであいてます。

サクラが咲きました。
春ですね。
昨年の大震災の事が思い出されながらも、春の到来には心がうきうきします。
吉川雅基展を開催しています。
昨年の被災地にボランティアに行き、現地の様子を知り、表現者として悩みながらダイレクトに伝えようとする作品に圧倒されるものがあります。
純度の高いストレートな作品。
ぜひ、ご覧になって下さい。
明日は夜の9時まで開けております。

2012年04月17日

訳してもらいました。

外国の雑誌社から、取材の申し出があり、得難いチャンスと挑戦する事にした。
といっても、作家がインタビューに答える、それを訳してもらい、データとともに送ると云う作業。
以下、今の羅針盤の紹介文なども考えてみました。

東京、京橋にあるギャラリー、アートスペース羅針盤は、オープンして13年目を迎える。
若手作家の登竜門的画廊として、アートシーンの新たな方向性を指し示す羅針盤(コンパス)のような
ギャラリー。
次の時代を見通し、将来性のある現代日本画の若手作家の企画や羅針盤セレクションの企画がコレクターの人気となっている。
広く、開放的なギャラリー空間で、大作を展示する新人作家たちに多くのチャレンジができる環境を与えている。

アートスペース羅針盤
代表 岡崎こゆ

The art space Rashinban, established in 1999, is located in Tokyo’s Shinbashi neighborhood. In Japanese the term Rashinban means “mariner’s compass,” and the gallery serves as a compass for young artists, pointing them in new directions and introducing them on the art scene. The gallery exhibits the works of these promising young artists, and Rashinban selections are very popular among collectors of modern Japanese painting. The gallery’s spacious exhibition areas are the ideal environment for displaying the works of these blossoming artists.

The art space Rashinban
Koyu Okazaki


2F Kyoei Bld. 3-5-3 Kyobashi Chuo-ku Tokyo Japan 104-0031
Tel/Fax 03-3538-0160
E-mail info@rashin.net
http://www.rashin.net/

2012年04月19日

19回目の記念の集合写真 ホリゾン展から

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19回目のホリゾン展でした。
震災の時はキャンセルになったのですが、今年、開催出来て本当にほっとしました。
来年は、20回目ですが、5月の最終週に決まっています。
メンバ−のご活躍と健康を祈って、集合写真を撮りました。

自然とともに

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菅沼さんは、bun展というグループ展に参加して、何度か発表している作家さんです。
BUNは、文化学院の卒業生の集まりですが、今は、ここで活動しています。
菅沼さんは、木炭を使って、都幾川村の岩や水や木を描いています。
100号近いパネルを山奥まで持っていき、そこで、自然の風景を描いています。
毎週、毎週、週末になると自然と対話する作家の生の作品をぜひ見に来て下さい。
迫力があります。

2012年05月13日

御出迎え

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作家の方達が耳をつけて,御出迎えしました。
兎耳や象耳など、作家さんにあわせて、購入して来て下さったようです。
最終日、トナカイの赤い耳を持って来たプロデューサーの青木さんに,これつけて下さいね、と云われた時は閉口しました。
250人程の来場者で,最終日は,ごった返しておりましたが、作品も小さい作品までふくめるとが、30点近く売れました。
青木さん,本当にありがとうございました。
幸福のタネをたくさんまいてくれました。
みんなが幸せにならないとだめなんですよ!というのが青木さんの口癖です。
前々日の打ち上げも大変楽しく笑い転げてばかりいました。
羅針盤、楽しいですよ。

2012年05月19日

始めるに遅いということはないということ

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青木俊子先生は、68歳にしてジャクソンポロックの出たニューヨークの大学に行きだした。
そこに,教科書に載っていたドルマン先生がいらしたからで,門を叩いたのだという。
それだけでも大変なことだが、現役の作家にして,ギャラリーを経営しておられる。
現在、72歳とのことですが、見た目がお若いのとお元気なので本当にびっくりさせられる。
毎日,栃木県の宇都宮からおいでになり、7時までお客様のお相手をなさり、夜は制作をなさっているという。
というのも、来週からまた展示をなさるのだという。
作品も、アルミを溶剤で溶かしたり、切ったり、はったりと大変力のいる仕事をなさっている。
タフでなければ,画廊も制作もできない。
骨密度100パーセントらしい。
人生の先輩として、見習いたいと思います。

2012年05月21日

がんばるエネルギー

福島の原発からそう遠くないところで、作家活動をしている作家さんからのメールです。

驚きました 今コンパス通信を見たら青木俊子さんという方すごい女性ですね
刺激になりました
びっくりです

また福島の為に頑張るエネルギーもらいました
ありがとうございます

2012年05月29日

辰巳 義隆 展 始まりました。

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瀬戸内海の海に浮かぶ島々。
四季折々の風景を描いています。
光と空気と水平線。

大阪出身の作家さんですが、今回羅針盤では、初めての展覧会ですが、辰巳さんにとっては40回目の大きい個展となりました。
是非、ご覧頂きたいと思います。
都美術館の新象作家協会にも出品しています。

2012年06月14日

ひもちしません。

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23人の会に出品している林さんの作品です。
もちに絵が描かれています。
よく見ると、日本の原発です。
絵に描いた餅ではなく、もちに描いた原発図。
ドンドン、ひび割れてきました。
時々、水をさして下さいとのコメントが。。。。

2012年06月21日

人生悔いなし

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作品の題名はないのではなく、こちらの柱に貼ってあるこの言葉である。
第3の人生という本を出版され、今では、75歳以上のエリート老人の会もあるという。
私のバイブルというべき経営本だが、このほかにも、ワンフレーズエッセイ集や画集も四冊、詩集も歌集も出版されている。
いつもポケットにノートを入れて、いつでもメモっておられるし、カンツオーネを歌う歌手でもある。
かつては、絵描きさんの傍ら、神田にギャラリー彩心という画廊もやっておられた。
不動産鑑定士の事務所をやりながらである。
人生悔いなしという先生のお言葉は説得力がある。

2012年06月29日

美しすぎる日本画家

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この頃、週刊ポストなどで美しすぎる日本画家特集などが組まれている。
今、個展中の佐久間香子さんも八頭身あるプロポーションの持ち主で、日本ユニバースなどに出たら、よろしいのにと、お客様にアドバイスされていたので、写真を一部アップさせて頂いた。

「生命の一瞬の揺らぎを白い線で表現してるんですね」とのある鑑賞者の感想のように、大きなシャクヤクの花のまわりに白い線をずらすようにして、わくどりしているところが個性的な描き方になっている。

躍動感や生命のきらめきを絵に吹き込み、澄んだ空気を空間全体に醸し出しているあたりが、佐久間香子の魅力である。

2012年07月07日

最終日になってしまいました

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羅針盤セレクションのドローイングと小品展は今日が最終日となってしまいました。
昨日ももう一枚欲しいというので、戻って来て購入してくれたお客さんや前から欲しかった
ワタベカズの作品を三枚もまとめて、購入してもらったりしました。
今日は、最終日でお天気も悪いのですが、たくさんのかたに見に来てもらうことを期待して待っています。

2012年07月12日

作家募集中

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ドローイング&小品展の最終日はこんな感じでした。
人が一杯です。
羅針盤セレクションは羅針盤の企画する展覧会です。
作家さんで企画してほしいという方はファイルをもって、参加したいですと申し出て下さい。
私が気に入れば、来年のセレクションに参加出来ます。
お待ちしています。

評判になっています。

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大塚亨の彫刻展が人気となっています。
プレで日曜日に画廊を開けました。
作家の大塚さんは仏師なので、仏像を依頼されたり、今は、修理などの仕事をしています。
今回の展覧会のみどころは、ドレスです。
木彫に漆で彩色していますが、どれも古色の味わいがあり、巧みな技も見せてくれています。
ぜひ、ご高覧ください。

2012年07月18日

ひろこ倶楽部

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オープニングにワンピース倶楽部の代表、石鍋様がシャンパンをもっていらして下さいました。石鍋さんは、一人、一点でも作品を買いましょうとワンピース倶楽部を立ち上げて下さいました。
さらに、東北の被災地の復興に、ヤッベし祭りというボランティア活動の主催者らしく、会員は100名をこえてるらしいです。
そこに作家の針生君が参加していたようで、その話で、盛り上がりまして、羅針盤の元気な作家さんが俺も参加したいと広がりを見せています。いいことですね。
石鍋さんのファンのひろこ倶楽部の方と一緒に写真に写っているのは、仙台出身の作家の針生くんです。
今回の羅針盤セレクションは、大賑わいです。


2012年08月03日

解体と再生

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なるほど。総てのものは、細胞でも解体と再生である。
段ボールを素材にしたアートは、いろいろとあるが、ミニマムで、美しい絵画作品がおづアートである。
昨日は、イラク生まれのクルド人作家がいらして、さかんにビューティフルを連発していた。

2012年08月06日

スピリチュアルな世界

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竹内宏臣展が始まりました。
何かを描いているわけではないが、目には見えないものを感じ取るとこのような絵になると云う。
ブータンの国の和紙、ロクタ紙などを支持体にして、墨やアクリルで描く。
コントロール出来ない何かに引っ張られてるような不思議な感覚に圧倒されます。
ぜひ,見に来て、感じて下さい。

2012年08月28日

了徳寺大学 ステップの展示

先週、了徳寺大学学生選抜展を開催。
現代美術の先生がお見えになりました。
これから何か企画しようと意気込みを語って下さいました。
ありがたいことです。
生徒さんたちとぱちり。

2012年09月11日

高岡 暁 展 始まりました。

粘菌などをモチーフにして、独自の世界を墨や鉛筆や岩絵の具で描いている。
独特なタッチと繊細さで見る人を惹き付けていた。
初日には多くの方が見えて、小品で手頃な価格ということもあり、かなりお嫁入りが決まって本当にうれしい。
作家の高岡さんは奈良で高校教師をしており、ちょうど文化祭などの行事が重なって、最終日にしか画廊には在廊出来ないと残念がっている。
素敵な作品ばかりなので,是非、ご覧いただきたいと思います。

2012年09月21日

なかまたち

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多摩美術大学の同級生たちみんなで搬入しました。
チームワークが最高。
今、福井道顕展を開催中です。
奥の部屋にはアプリの絵本の原画があります。
のはらちゃんとおさらちゃんです。
明日までですが,是非、ご覧下さい。

2012年10月04日

黒田ひろしパリ画展


パリの風景をいろんな視点から切り取って油彩で描いています。
一人の少女が誕生してから、成長するというストーリー。橋のアーチが円を描き,人生が輪廻するという
深い意味も込められていました。
絵を描く楽しさが伝わるという意味では、原点なのかもしれないと思わせる作品ばかりです。
初個展とは思えない作品群で、見る人を楽しませてくれています。

2012年10月31日

清水智和展始まりました。

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お茶の水美術予備校の生徒たちが,清水先生にレセプションのオードブルを買って
来てくれました。
楽しいひとときです。

2012年11月06日

清見加奈子展に素敵な来客が。。。。

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大島紬の帯を締めた素敵なお着物の方がいらして下さいました。
感謝。。。。

2012年11月24日

山本さんと千菅さんの二人展です。

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深いブルーの作品は,まるで陶版画のようでした。セラミックのような質感に、前衛書の趣のドリッピングが素敵でした。小品もクオリティが高かった。。。。
過去の幼年期の記憶を引き出すかのような叙情的な作品は、千菅浩信さんの作品です。
今回は初めての出品でしたが、その作品には,非凡なテクニックに裏打ちされた確かさがありました。
背景の油彩の筆致が見事で、本当に素晴らしかったです。

なんなの こんなの おもしろかったよ。

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楽しかったです。
特におもしろかったのは、うさぎろう うきよのにぎわい です。
中村あやこさんの兎が、現代の風俗を映し出して本当に笑えます。
昨日は、レセプションでしたが、二次会でもワンコインバーに行って,わいわいがやがや。。。。
毎日、お祭り騒ぎで楽しかった。
本当に大勢の方に見に来て頂いて,ありがとうございました。

2012年12月06日

武田裕子展、終わりました。

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大変な人気でした。
仏画の模写の作品は、芸大美術館に展示されていました。
これがもう,ここ近年見た作品の中でも圧巻というべきものでした。
特に、今回の個展は期待以上の完成度があったと思われます。
作品の多くがお嫁入り出来て、本当によかったです。
武田さんの笑顔が印象的です。

日本橋めぐりの会の川崎さんがお見えです。

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今回は,日本橋めぐりの会の川崎さんの協力で,和紙絵本の原画を展示しています。是非、ご覧下さい。

岡ちえこさん、お着物で素敵です。

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2012年12月26日

ハートを描いてもらいました。

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作家さんや来た方にハートを描いてもらいました。福島の歯医者さんやお医者さんの病院に飾ってみてもらう予定です。ご協力頂いた方,ありがとうございました。

2013年01月09日

鉄の彫刻です。

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今年は、5日からオープンしました。
初日には、たくさんのお客様がいらして、新年会ができました。

今年も皆様のご愛顧を賜りますようにお願い申し上げます。
皆様のお越しをお待ちしています。

2013年01月17日

荒井裕太郎展

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小品もジュエリーも好評でした。
今年は5日から始めましたが,思いがけなく、いろんな方との再会もありました。
おいしいウィスキーやワインの差し入れがあり、夕方からは少人数で新年会を開催しました。
皆様、ありがとうございました。

剣山利人展やっています。

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伊勢は,真珠の養殖でも知られる志摩に在住の剣山さんの個展をやっています。
剣山さんは、東京では,初個展ですが、志摩半島のリアス式海岸の入り江の地形をモチーフに独特な筆を使わない描画法で、画面を消したり、枠を縁取ったりして、独自のスタイルをもっています。
色彩は,海のブルーを基調としています。
魚や真珠もモチーフに使われています。
初日は大雪に見舞われて大変でしたが、力作ばかりですので,是非、ご覧いただきたいです。

2013年01月29日

日本画6人展

羅針盤セレクションの日本画6人展では、たくさんの方にお越しいただき、ありがとうございました。
搬入時のみんなで写した写真をアップしました。
「良い展覧会ですね」とみなさんからおほめ頂きました。


日本画6人展、好評でした。

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平田清隆展始まりました。

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150号の大作をふくむ良い展覧会です。
爽快な作品群です。
ぜひ、ご高覧下さい。

2013年02月05日

2013 AXIS始まっています。

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長野支部の現展の事務局の渡辺泰史さんです。
損保ジャパンで特別審査員賞を受賞しました。
賛助作品が一点ありますが、事務室にも飾っているのでのぞいて下さい。
今回のグループ展は、現展の所属作家さんですが、表現が個性的でおもしろいです。
ぜひ、ご高覧下さい。
金曜日は,パーティーが5時からです。
皆様のお越しをお待ちしています。

2013年02月19日

樋口詩乃初個展 INVOLVE始まりました。

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コレクターさんが,素晴らしいよ、と宣伝して下さいました。
昨日は,オープンに,そしてクローズ前にも2度も見に来て下さいました。
おかげで,こんな雪の日にも見に来て下さる人が大勢いました。
樋口さんは、多摩美術大学の院生ですが、この展覧会は終了制作展を兼ね、新国立美術館と同時期に開催しています。
5メートル近い大作を展示しています。
解体したなま肉とメカニカルなものを同時に描く希有な素材に注目が集まっています。

2013年02月27日

武蔵野美大の仲間たち

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搬入に駆けつけてくれた友人たち。
助かりました。
みんなも良い絵を描いています。

2013年03月08日

宮ケ丁 渡 展

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タイトルが面白いです。
田村隆一が好きという作家のタイトルのつけ方が面白い。
「越境を唆す3つの窓」というタイトルは、簡単に解釈するとこうだ。
富山生まれの宮ケ丁くんは、都会に憧れを持つ。東京には、山を越えて行かねばならない。
富山のテレビ局は、当時、3局しかなかったが、そこから、多くの刺激を受けた。
という具合だ。
蝶の標本を見たのがきっかけで、「まばたきの夢 呼吸の数」という作品が出来た。
人間のように名前のない蝶たちでもその瞬きの数だけ、蝶の個体差があるという具合に,作品のタイトルがつけられている。
4メートルをこえる大作が二枚も展示されていて、見に来た人を驚かせています。
明日までなので,是非、ご覧下さい。

2013年03月15日

悪夢

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キョンさんは、チェジュ島の出身である。
韓国の観光地で、キョンさんはソウルの美術大学を出たあと、日本の現代美術に憧れて,日本の多摩美術大学の大学院を受験。入学後は、夢をモチーフに制作したが、3.11の地震の津波の映像が悪夢となり、一週間のうち4〜5回ほど、夢をみるようになったらしい。
初日の3月11日にいらしたコレクターさんは、3.11に哀悼の意を捧げるといって,絵を予約して下さった。
作家さんがあまりに美しい人なので、そのギャップに驚くばかりである。

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キョンさんの名前は、辰という字がついている。
占い師さんがつけたそうだ。
辰は,色でいうと紫だそうだ。
写真家のTさんがいらしたので、せっかくなので、ポートレートをとってもらう。
ユさんの修士論文は、悪夢についてですが、あまりにおもしろい論文なので、Tさんも熟読。
大きな顔に目は真っ黒。
背景は、心臓などの静脈がトクントクン脈打っている様として描かれている。
死人の魂が,大きな波に呑み込まれていく様を大きな目として象徴的に描いたのだろうか?
夢を見ることも楽しくなるという作者の貪欲さに驚かされる。

2013年04月11日

中川知美さん

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モダンアートのベストセレクションにも選ばれた中川知美さんの個展でした。
コラージュの作品で、ある記憶の風景のようでした。
あるような、ないような、絵画の本質に迫る作品で、とても素敵でした。
中川さんは、とてもおしゃれで、キュートな方です。

芹沢マルガリータさんの個展です。

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素敵なお着物のお姿でギャラリーに出迎えてくれています。
作品は、オーストラリアのアボリジニの聖地,ウルルやベルギーやチェコスロバキアの橋や街や通りの風景が色鮮やかに描かれています。
明日は,どんなお着物でしょう。楽しみです。


2013年04月13日

アートソムリエの山本さんのブログから

京橋が変わる様子をアートソムリエの山本さんがブログに以下のように掲載しています。

午後は羅針盤の「芹澤マルガリータ展」を見たが、名前の通りモスクワ生まれの女性作家。ギャラリーシークでは花をテーマにした「百花繚乱展」というグループ展を行っている。

 さて、京橋は銀座と日本橋に挟まれて地味な場所だが、東京駅や地下鉄の駅も近いので非常に便利なところだ。近々京橋交差点に巨大ビルが完成するし、元中外製薬・千代田火災が入っていたビルも建築中で、古い明治屋ビルも名物ビルの面影を残して改築する予定だ。
 京橋の新しいビルにはこれも改築予定のブりジストンや、サントリー、大手クリニックが入るようだ。京橋の一角は今でもかなりのギャラリーが集積しているが、羅針盤の前の通りにはいまだに2階建ての古いビルが残っていて、このあたりもギャラリーになり「京橋のギャラリー通り」になってほしいものだ。京橋の巨大なオフィスビルが完成し、アートに関係のあるブりジストン、サントリー、お医者さんなどが入ればお客も増えるのではと期待している画廊主も多いようだ。

2013年05月15日

満尾洋之さんインタビュー★

満尾洋之さんインタビュー★

今回のコンセプトは?
ータイトルのリミナリティーとは、境界状態(人が社会から逸脱している状態)という意味があります。人々が、所属する社会を移動する途中、境目を表現しています。それは例えば、会社の帰りに飲みに行くことであったり、ネットカフェに行くことであったり、遊園地に行くことであったりする、憩いの時間なんです。
それらを、もともと好きだった河鍋暁斎の絵に登場するカエルや、浮世絵の要素を取り入れながら描いています。また、カエルは両生類ですから、タイトルのリミナリティー、境界を表現するのに合っているということもあり、登場させています。

都会を舞台に描かれていますが、何故ですか?
ー都会に魅力や迫力を感じているというのがあります。例えば東京モンスターという作品は、新宿のビル群を鳥瞰図で描いていますが、都会のビル群そのものが、ある意味で妖怪のような怖さや迫力を持っていると思っています。新宿以外には、上野や、地元である荒川の風景を引用しています。中には、震災ボランティアに行った経験から、東北の風景も引用していたりします。これは、被災地の悲惨な街並みを見た後に、都会に帰って来た時の落差が頭に強く残っていたためです。

その他、技法などについて教えて下さい。
ー基本的には墨で描いています。カエルなどの黒以外の色は、水干絵具(水彩絵具に似たもの)を使っています。墨は滲み防止剤を用いながら、裏からも描くことで、独特な質感を出しています。また、背景にはマーブリングを用いることで、画面全体を柔らかい印象にし、怪しい雰囲気も表現しています。
下図には写真を用いています。こうすることでより平面的でシュールな要素を取り込むことが出来ます。よく版画に見えると言われますが、これは写真を下図に用いているためです。

以上今回の個展の作家である満尾洋之さんへのインタビューでした!
是非アートスペース羅針盤で生の作品をご覧下さい!

2013年06月05日

盛大なオープニングと成りました。

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福島から作家さんが駆けつけてくれました。
盛大なオ−プニングです。
モダンアートの石川忠一さんの乾杯の言葉に胸が詰まりました。
ますます閉塞して行く状況下で明るい希望を見出そうとする作品となっているように思います。
政治色は強くないものの現代美術家のメッセージは込められた作品となりました。

2013年06月10日

ふくしま作家展インタヴュー

福島在住作家展
よこたこういちさんインタビュー★

現在、アートスペース羅針盤で開催中の福島在住作家展に出品中のよこたこういちさんにお話を伺うことが出来ました!

今回の展覧会を開催するまでに至るキッカケなどはあったんでしょうか?

ー東日本大震災で被災し、現在も放射能の心配の中で頑張っている作家を紹介したいという思いはありました。そんな時、羅針盤の岡崎さんが福島に来られ、在住作家の絵を観て感動して下さったんです。そこで、羅針盤で在住作家展を実現しよう!という話しになったんです。


今回出品されている作家さん達はどのように集まったんでしょうか?

ー私の知人作家や、福島の作家の協力を得て集まった作家さん達です。


全体の作品や展示について教えて下さい。

ー実際、福島に住みながらの制作活動は、放射能などの様々なストレスが伴います。作家の中には放射能レベルが高い地域に住んでいる作家もいます。私も原発から38km地点に住んでいます。また、家族が県外に行ってしまい、1人で福島に残って制作している作家もいます。しかし実際の作品は、そういった暗い面を感じさせない明るい雰囲気のものが多いですね。


展覧会として、メッセージなどはありますか?

ー今も福島で作家達がしっかりやっているということをとにかく見てもらいたいです。


最後によこたこういちさんの出品作品について教えて下さい。

ー私は絵は習ったことがないんです。完全に我流です。しかし、先生がいないので自由に制作出来ます。そこがいいのかもしれません。
今回の作品は正方形のものが多いですが、普段はまとまりずらいのであまり好きではないんです。なので正方形の作品は珍しいかもしれませんね。また、私の作品は画材屋で買ったものはほとんどありません。時には自分のネクタイやシャツの柄が良いと思い、ハサミで切って使います。ネクタイなどは今までに20本程ダメにしましたね(笑)
3.11メートルという作品があります。この作品の中央にある黄色には、幸せがどんどん広がっていくように、という願いが込められいます。
私の作品にはハートのモチーフがよく登場します。どんなことがあったとしても、最後はハートだと思うんです。

よこたこういちさん、ありがとうございました!
今回の展覧会は、新聞などにも複数取り上げられており、なんと安部首相からメッセージも送られています。
震災から早2年3ヶ月。今でも苦しんでいる人々がいます。その中で頑張っている作家がいます。是非そのことを多くの人に知って欲しいと思います。

福島在住作家展!本日17時までですが(汗)、是非お越し頂きたいと思います。

駄文失礼致しました。

2013年07月28日

吉岡順一さんにインタビュー

作家さんインタビュー★

こんにちは!暑い日が続きますね!熱中症に注意して過ごして下さい!

今回は吉岡順一さんにお話を伺いました!


展覧会のテーマは何ですか?

ー非現実的な世界や、「寓話」をテーマにしています。作品では、面白い形のものや、人が見た時に分かりやすいものを心がけて制作しています。


全体的な色合いが白っぽく霞んだような印象があり、飛行機や戦車のような絵が多く見られますが、戦争をイメージしていたりするんでしょうか?

ーよく言われるのですが、そういうつもりは実はないんです。ただ、一見可愛らしいものにも、裏の顔がある、ということや、形は借り物であるということを表現しています。
白っぽい色にしているのは、マチュールやテクスチャーを見やすくするためです。霞んだような印象にしているのは、時間の経過や風化を表現したいからです。


どんな風に描いているんですか?

ー木製パネルにキャンバスを貼り付け、アクリルとメディウムを混ぜたものを塗り、しっかりとした地を作ります。その上から膠とアクリルメディウムの混合物を塗り、形を盛り上げたりします。乾いたら上からニードルなどで削っていきます。決して新しい技法ではありませんが、ここまで削るのは珍しいかも知れませんね。5年程前からこういった作品を作っています。その前まではかなり抽象的な作品を作っていました。しかし、抽象作品は無責任にイメージをさせてしまうという欠点があるのも事実です。やはり少しは何かの形を作ってイメージを誘導させることも必要なのかも知れません。

* * * * * * * * * * * * *

吉岡さんありがとうございました!
中高一貫校で美術の先生をされているということで、展覧会場は吉岡先生を慕って来た女子大生がたくさん!☆
久しぶりに年齢層の若い会場でワクワクしました♪

2013年08月05日

作家さんインタビュー★木村みなさん

作家さんインタビュー★

こんにちは!
ゲリラ豪雨や雷の多いこの頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
お出掛けの際には傘を持ち歩かれると安心ですよ(^O^)

現在アートスペース羅針盤では、「女流日本画家12人展」を開催中です。
今回は出品作家の木村みなさんにお話を伺いました!

作品のテーマについて教えて下さい。

ー以前から、テレビで観たドキュメンタリーの影響で、遺伝子やDNAに関心がありました。遺伝子組み換えの野菜や、犬の遺伝子操作は、いいとこ取りをして、人間の都合のいいように操作されているのです。
しかし、いいところ同士をくっつければ更にいいものが出来るという考え方は、安易過ぎるんじゃないか、いつかしっぺ返しが来るんじゃないか、と感じました。
昨年から「特別な木」のシリーズを描いています。その「特別」という表現には、遺伝子組み換え作物などの、人間が「特別に」作ったものへの皮肉が込められています。一見綺麗だけど、どこか変。その変な事実を知らない私達。その不気味さや矛盾を自分なりに解釈して描いています。


画材について教えて下さい。

ー基本的には日本画で使う画材を用いていますが、その中に、パステルや水用絵具を用いています。水用絵具は発色が良く、油絵のようなテクスチャーと、透明感が長所です。日本画と違う材質を用いることで、面白さが出るので使っています。古くからずっと用いられているという点で言っても、日本画の画材には魅力があると感じています。日本の伝統を学ぶことも出来ますし、それを継承していくことにもなるので日本画にこだわっています。


面白い落款ですが、なんて書いてあるのですか?

ー「みな」という名前は、水無月に生まれたことからつけられました。なので「水無」という漢字を、中国の金文文字を用いて作って頂きました。

いつ頃からこのテーマの作品を作られているのですか?

ー2007年制作の、「花ノ精」からです。地面に落ちた花をみて、この花もいつのまにか土に戻るんだよな、とイメージしていました。そこから、生命力や命の循環ということを考えるようになり、自分の心理や内面的なものを表現するようになりました。また、昨年頃から一見美しい自然にも矛盾があるということを、「特別な木」のシリーズで表現するようになりました。


今後の作品のビジョンなどはありますか?

ーその時その時の自分が嫌でも作品に出ます。その偶然性を大切にしているので、あまり計画はしません。しかし、「常に全然違うことをしたい」とは決めています。

木村みなさんありがとうございました!
女流日本画家12人展は土曜日まで開催中です!皆様是非お越し下さいませ。


2013年09月11日

田中裕子展始まっています。

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羅針盤では、伊藤清子さんがずいぶん前からクラゲを描いていましたが、田中さんの描くクラゲは
また、独特な雰囲気です。
もともとは、植物などを描いていましたが、今回の気球が人気で、今後は広い大地に浮かぶ気球を描きたいと言っています。
期待の作家さんですね。

2013年09月22日

篠田守男と中風明世

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初日は、台風でした。
中風さんは、早朝、岐阜を出発。結局台風で羅針盤の会場には、たどり着けませんでしたが、
篠田先生は、8時間かけて到着しました。
「かっこ良くなくちゃ、美術家じゃない」という、おしゃれな篠田先生と後日、再度来廊した中風さん。
篠田先生の新作9点は、まだ、画廊の事務室に展示してございます。

2013年09月29日

ざわざわ

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ボランティアスタッフのちさちゃんと立花多美子さんです。
搬出のお手伝いに来てもらってます。
将来、ギャラリーカフェをオープンしたいという夢を持っています。
立花さんの作品は、ざわざわと生き物たちがたくさんいます。
会話しながら描いていると言う立花さんの声が聞こえてくるようでした。

作家さんインタビュー☆立花多美子編

作家さんインタビュー☆

9.23〜9.28までアートスペース羅針盤にて開催中の、立花多美子展の作家、立花多美子さんにお話を伺いました!


Q.会場突き当たりに赤い絵があり目を引かれますが、あれはどういった作品なんでしょうか?


A.あの絵には元の絵があるんです。元の絵は『随想"ぴょーん"』という130号の大きな作品で、今回の個展のために小さく持って来やすいように描き直したんです。この赤とオレンジのトーンは、夕焼けの色です。あの、うわー!というような色に包まれて、ここにずっといたいなぁ、、という現実逃避的な願望の作品です。縦長の画面は難しかったので、画面の外まで広がっていくようなイメージで描きました。


Q.他の作品は白っぽい印象がありますが、この絵だけ赤いのは何故ですか?

A.実はこの作品の白バージョンが隣の作品なんです。普段は白バージョンのような淡くふわーっとした色を使っているのですが、元気がない時に赤を使うんです。自分の性格と真反対に見せたい、とにかく逆をやってみたい!と思った時に赤を使います。

Q.丸く、どんどん増えていく細胞のような丸は、どういった意味があるんですか?


A.確かによく細胞と言われます。私は看護師で、産婦人科にもいたことがあるので、胎児擬似体験の作品を描いた時に、細胞をイメージして描いたことがあります。ですが、実際にはちょっとしたぐるぐるの落書きを描いたりしているうちにどんどん派生していって、あんな形になるんです。


Q.ところどころに顔がある虫のようなものがいますが、キャラクターか何かなんでしょうか?


A.落書きしているうちに、自分の中で物語が出来てきて、絵と対話しながら描いています。その中でなんとなく動物や虫に見えて来たりするものに、顔を描いたりして遊び心を出しています。描いている時はとても楽しいんです。また、観る人によって好きな向きで観てもらえるように、どの向きでもいいように描いています。一部切り取ってもきちんと絵になるようにしていたりもします。向きによって雰囲気も変わってくるので、時々展示期間中も変えたりしています。


Q.いつから絵を描かれているのですか?


A.高校時代に美術部で絵を描いていました。結婚して、子供が生まれてから、また絵を描きたいと思うようになって、32才の時に再び絵を描き始めました。34才の時にモダンアート協会に入り、会員として展覧会に出品するようになりました。今は岐阜に住みながら、農機具置き場でのびのびと制作しています。

立花さん、貴重なお話ありがとうございました!
桂ゆきやジブリの世界を感じさせる作品達、観ていてとても癒されます☆

2013年10月09日

シンデレラボーイ

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田嶋健太郎さんの個展が終わりました。
大変な反響でした。
まさに久々の大器に出会いました。
初個展で、2〜3年後の大きい展示会が企画される予定が決まりました。
作品もたくさん売れました。
まさに、シンデレラボーイ。
「僕の生活は、変わらないです。こつこつと描いていきます。」の言葉通り、本当に描くことが好きで毎日、6時間以上描いているらしい。
実在しない人物を描いてるというが、心を揺さぶる想いがあふれている。
見る人は、記憶の誰かを投影し、様々な感情を味わうことだろう。
熱烈なファンが毎日のように訪れ、ため息をついていました。
来年も羅針盤で2度目の個展が予定されています。
乞うご期待ですね。

2014年01月09日

開廊時間変更しました。

あけましておめでとうございます。
今年も宜しく御願いします。

今年から開廊時間を変更致しました。

12時〜20時まで
最終日のみ 12時〜18時まで

仕事終わってからでも来て頂けるようにと開廊時間を遅く延長いたしました。
皆様方のお越しを心よりお待ち申し上げます。

中野めぐみ展

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新年は、中野めぐみ展で始まりました。
喜怒哀楽をもつ人間性をきわめて客観的に描く中野。
ストレートに対象に迫り、近づき、拡大して、描くことでかえって、生身の人間を深く感じさせる。
モデルの視線の先にあるものを一緒に見つめる時、人は必ずしも一人ではないことを認識し、更に夢や希望を感じるのではないかと考え、新年にふさわしいと思いましたが、いかがでしょうか?
皆様のご高覧いただけますようにお願い致します。

2014年01月30日

死生観

最近、死生観という言葉を良く耳にする。臓物をだらりとぶらさげた美女図。
職能(ご飯を食べるための)としての画家というものがあるとすると、職業画家にとっていままでそこは一番近づいてはダメなジャンルでした。そういう作品はたいてい生きているうちにお金になりません。しかし、そこに大スターが生まれて有名人となり、下図が数千万で取引されたとなると、死生観を唱える声がそこかしこに出てくる。
アートは単なる装飾ではなく、太古から、土偶や洞窟画をはじめ、作り手をとりまく時代の死生観を映してきたので、いまさら声だかに「死生観」を唱えるのもなんだかな感が強いけれども。
強烈なタナトフォビアに罹っている画家ならばおいておいて、薄っぺらくファッショナブルに「死」を弄ぶことは、とても気恥ずかしい。
特に、3.11でくり返し流された濁流の映像の底に、有無を言う間もなく奪われた命が何万もあったという事実は、美しく臓物をさらけ出す、というようなファンタジーを軽々超えた。
土砂に埋まり、海陸の微生物たちによって急速に酸化させられ、地球規模の物理力でゴチャゴチャになった死体を、3.11以降もずっと長い間、丹念に探し、掘り出す自衛隊員たちの方が、制服故に誰だか特定できないぶん、死をファンタジーにくるんで司祭顔をしている有名画家よりも、もっと身近な死を悼む司祭にふさわしい。
あなたも、そして私もいずれ死ぬ。そして、3.11が教えてくれたように、遠い先ではなく、「死」はいつも私たちに寄り添っている。その全貌は、画家如きに分かるわけがない。だって私、まだ死んでないもん。

と、いうメールが来ました。
どうなのでしょうか?
今日は、朝から芸大の修了制作展をさくっと見ました。
単純には語れないということかな。

2014年02月07日

マチダナヲ展

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不忍池をこのように描くとは。
とても素晴らしいと思いました。

2014年02月14日

針生卓治展

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初日のレセプションを明日に延長しましたが、明日も雪の影響で、交通がままならない状況ですが、
針生さんは、終日、ギャラリーにおりますので、お近くにお越しの皆様、また、明日天気がよくなった場合には、是非、お越しいただきたく、お願い申し上げます。

2014年04月07日

櫛田彩菜展で写真を撮りました。

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ちょっと遅くなりましたが、記念の写真です。

2014年04月14日

飯島真理展始まりました。

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とてもいい色彩の響きあいがあります。
深くて優しい絵に感動します。
小品も評判が良いです。

2014年06月13日

森に迷い込んで

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素敵な空間演出に脱帽。
植物の声を聞き取り、すべて素材のままでオブジェを作る池谷雅子さんと森の妖精をイメージした落合瑛子さんの作品展でした。
会期中、大勢のお客様で、賑わっていました。

個性ぞろいで楽しませてくれてます。

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円形のキャンパスの中で眠る女性を描く渡邉葉子さん、紙を焦がすという。大胆な手法で、マチエールを作り、大木の生命力を力強く描く後藤吉晃さん、ひまわりや桃の花を背景にこちらを見つめる女の子を描く秋山淳さん、細かいペン画で童画のような世界も描く滑川道広さんら同級生が集まって展覧会を開催しました。ご高覧宜しく御願いします。

2014年08月19日

おおかみと髪の毛

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東北芸工大の大学院生の二人展が開催中です。
柴田梓さんは,おおかみをモチーフに描いています。
小松久美子さんは髪の毛を題材にしています。
どちらも迫力があり、見応えがあります。
是非、ご覧くださいませ。

今週から、11時から午後は7時までに時間を変更致しました。
お客さんの要望もあり、8時まで開いていましたが、来月より一階にギャラリーが引っ越ししてきます関係で、時間を変更致しました。

どうぞよろしく御願いします。

2014年12月11日

喜寿の自画像-石川忠一展-

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2015年02月09日

久しぶりのコンビです。

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報美社の竹山さんと推薦作家の若林奈穂さんです。
ユニークなフォルムと美しい色彩の水彩画を展示しています。
木版画の中西静香さんの作品も見応えがあります。

2015年05月30日

神秘の森の入り口

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鋳金を金沢美大の大学院で制作している河野太郎の個展を開催しています。
本日までですが、すずでできた貝殻のブローチなども販売しています。
森をイメージして描いた水彩もブロンズとリンクしています。

2015年06月21日

六星展、始まります。

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かわいいです。
おもしろいです。

2015年07月14日

名古屋造形大学 日本画 5人展です。

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2015年09月08日

羅針盤がオアシスになりました。

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メンバーが全員集まれなかったのですが、集合写真を撮りました。

オアシスのオープニングの様子です。

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9月18日、暑い残暑の早朝に骨折しました。
オアシスのオープニングの松葉杖は、来週にはとれます。
順調に良くなりました。
皆様のお見舞いに感謝申し上げます。
ありがとうございました。

2016年01月12日

@WIND展

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岩手県盛岡から、風が吹いてきました。
在住の方ばかりですが、新年にふさわしいレベルの高いグループ展です。
岩手の芸術選奨他、数々の受賞したベテランから若手まで勢揃いしての展覧会です。

2016年01月21日

安喜万佐子展を開催しています。

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報美社との付き合いは、アートスペース羅針盤が立ち上がった1999年からですので、とても長くなりました。
竹山さんは、安喜万佐子さんを評論家の木下長宏先生を通して、紹介されたそうです。
とても幸福な出会いと喜んでいました。
安喜さんは私にとっても、憧れの作家さんの一人でしたので、大変光栄に思っております。
京橋にあった有名ギャラリーのベイスギャラリーや手などの企画作家でスケールの大きい作家として知られており、VOKA展にも選ばれ、注目される作家として高く評価されていました。

2016年02月20日

アクシス展2016のメンバーです。

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今回は、山本淑子さん、渡辺泰史さんをゲストに8名の作家さんに出品してもらいました。
現代作家協会の新進気鋭の作家を推薦してもらい、現展のスターを輩出することを目指しています。

2016年05月16日

谷川 将樹 展が始まりました。

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2016年05月25日

トルコの風景

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2017年01月14日

フェイスブックの投稿から

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 ー新たな画家の発見ー

2017.1.10
本日最初は京橋一丁目にある「アートスペース羅針盤」で開催されている「WIND展(会期 : 1/9〜1/14)」です。

⭕以下、11名によるグループ展となる。
 標題で書いた『新たな画家の発見』とは山崎航太(34歳)さんである。彼はアートスペース羅針盤初出演とのこと。作家の技量については、オーナーの岡崎さんと意見が一致。古典派の構図や技法さらには彩色を研究し独自の世界を構築して表現している稀有の作家といえそうだ。昭和初期のノスタルジアを感じさせる画面を見ていると岩手県出身の著名な画家たちのDNAを強く感じざるをえない。もし、現代画廊の州之内徹さんや芸林の梅野隆さんが生きていたら、この絵を見て何と言っただろう。タッチに甘さがあり、構図的にも多少無理はあるものの作品に流れる本質を見る視点には一本筋が通っているような気がする。少し誉め過ぎたかもしれないが、やっぱり「いい絵」は誰が見ても「いいね」ではないだろうか。一見の価値ありである。
 それ以外にもFBFの本田綾子さんの細密より造形にこだわった作品や千菅さんの影を持たない沈黙の肖像画、山本淑子さんの心象的小宇宙など見処沢山である。ついつい、長居をしてしまった訪問であった。
 岡崎さん、ご商売の邪魔してm(_ _)m 。

2017年01月27日

記念撮影

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2017年01月31日

平田清隆展を見て  投稿から

2017.1.30、本日四件目、京橋三丁目にある「アートスペース羅針盤」で開催されている「平田清隆 展 (会期 : 1/30〜2/4)」です。


作家が在廊で、作品のコンセプトや技法について「根掘り葉掘り」聴くことができました。お時間をとらせて申し訳ありませんでした。
 作品は大半が「水彩、ガッシュ、墨」で、「一部アクリルや木炭、パステル」等も使われているようです。「偶然の美」「二度と描けない絵画」が持ち味のようで、過程を振り返っても再現できないといってました。作品はモチーフに風景があって、それを抽象化したかのように見えますが、全くそうではなく、心に内在する形や色を画面に構成していくとのことで、故に「偶然の美」ということになります。また、作品によっては、墨を棒の先につけ線のブレを楽しみながら下書きをつけ、一気に色の爆発を被せていくとのことでした。とくに水彩ですので、乾いたあとの色の変化は事前に読みきれず、それが偶然の面白さに繋がっているともおっしゃっていました。
 また、水彩にアクリルを加え色を定着させる方法や抽象絵画といえどもただ平面的でなく、古典的な遠近感を色の濃淡で現すさ方法など、聴けば聴くほど感動で、勉強になりました。ありがとうございました。なお、作品の題名は略させていただきました。多くの作品が「untitled」で、特定の対象を示唆するような具象画とも違いますので、独で判断しました。m(_ _)m

2017年02月15日

中西静香・若林奈穂 展

投稿から
素敵なレヴュ--に感謝します。

2017.02.15 Wednesday
2395 アートスペース羅針盤(中央区京橋3-5):中西静香・若林奈穂 展


会場風景。

若林奈穂のエリア
見慣れた街の風景。
光や騒音や、人や様々な構築物の重なりは、
作家の中で

幻想的な色や色彩に分解され、再構築され、
ここだけの世界が現れます。

画面からは、街の妖しいエネルギーが発散されています。

中西静香のエリア
作家の内面で生まれ育ち、活動する生き物。
澄んだ音色が聞こえてくるようです。
透明感ある色彩による浮遊感と同時に、
「重さ」や、生き物の「思い」も伝わります。

なぜか説得力のあるリアリティ、
そんな印象でした。

http://monyaart.jugem.jp/


2017年02月16日

AXIS2017 EASTの投稿から

2017.2.13、3箇所目は京橋三丁目にある「アートスペース羅針盤」で開催されている「AXIS2017 EAST」です。
 この展覧会は、賛助出品会員である「渡辺泰史さん」からのDMで知りお邪魔しました。
 この展覧会に出品された作家は、「石井清、カイヒデユキ、小松茜、竹内功、冨田佳那、浜本みつえ、原三男、本田綾子」の方々と、「渡辺泰史さん」と「山本淑子さん」の賛助会員の皆さんです。皆さん「現展」のメンバーです。それぞれに特色のある作品を出品していてバラエティに溢れた展覧会です。個人的には小松茜さんとカイヒデユキさんの作品に大変興味を引かれました。また、FBFの本田綾子さんが普段描く緻密なペン画と違ってこんな大胆な絵も描くんだとビックリしました。また、若手のなかに混じって渡辺さんの作品は孤高のアートを貫いている清々しさがありました。

2017年02月22日

小松久美子&柴田梓展

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2017.2.21、本日最初は京橋三丁目にある「アートスペース羅針盤」で開催されている東北芸術工科大学アートウォーク2017「小松久美子&柴田梓展 (会期 : )」です。

作品は添付写真の通りである。柴田梓の狼はいわゆる白狼で背景は濃い群青色でコントラストも鮮やかで神秘さが漂う作品である。小松久美子の作品は女性が持つ髪の毛への執念がとぐろを巻いていてなかなか不気味である。一見静かに見える作品だが、髪には隠された情念が内包されていて見るものが引き込まれそうな怖さを感じる。

2017年02月28日

同級生と一緒に

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同級生のみなさんが集まりました。

2017年03月28日

レヴューから

2017.3.13、本日4箇所目は、京橋三丁目にある「 アートスペース羅針盤」で開催されている「粂浩一朗 個展 (会期 : 3/12〜3/18)」である。

<画家のプロフィール>
1956年 神奈川県生まれ
現在、独立美術協会の会友/茅ヶ崎美術協会会員

画廊オーナーの岡崎さんと作品の話題をしていて気づいたのは、描かれているモチーフが「バリ島」とか「南洋の島々」とかに限定される異空間の風景の中に存在する女性像であり、その描かれかたも神秘的な雰囲気が漂うシャーマニックなものであることである。また、良く見るとあちらこちらにコラージュがなされており、作品のモダンさを作り出している。作品の多くは平面的であるが、もともと女性そのものを写実的に描こうとするのではなく、鑑賞者に画面に展開する物語をどう見せるのかに力点をおいたストーリー性豊かな作品になっていて、全ての作品を一つに束ねて「粂ワールド」になっているとも言える作品である。作家が在廊しているときに改めて訪れ、作品コンセプトを聴いてみたいと強く感じた展覧会でもあった。

2017年06月27日

吉澤舞子展、五年ぶりに意欲的な大作を展覧

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すごいパワーです。

2017年07月18日

松岡 学 画廊めぐりノートから

モチーフがとても魅力的です。
長年の風雪にさらされて随分とくたびれていますが、
何とか現役として存在している建物。
工場建築のような機能優先の無機的な建造物ではなく、
住まいのような温かみある郷愁もなく、
廃墟建築のような、妖しい美しさもなく、
再生より解体を待つ、ほったらかしの建物。

画家はそんな建物、そんな状態になるに至った時間や営みに
畏敬の念を感じたようです。
美しくもない忘れられた建物の在り様が、
気持ちを込めた筆遣いの一本一本によって、
稀有な存在に変容する。
そんな印象でした。

阿部 観水 画廊めぐりノートから

不思議な絵です。
菱田春草の「落葉」を思わせる、
背景描写を省き、苔むした樹木の幹と地表をだけ描いた大作には、
意外なことに魚が泳いでいます。
「松にシーラカンス図」においては、
そんな非現実的な関係性は、更に確信的になっています。
恐らく、「奇を衒う」とは異なる次元の装飾性と思われます。

おたがいに自律した存在を同一画面に置くことで、
無関係であるが故の関係性が生まれます。
その鑑賞者の内部に生じるざわめきは、
様々な形式が出そろった現代美術において、
意外な風穴になりえる。
そんな印象でした。

2017年08月26日

どちらにいる

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2人の作家は、同じ多摩美術大学の大学院を修了した同級生である。
昨年は、修了個展を行った2人だが、今回は、コンセプトをたててルールを決めた展示となっていて、興味深い。
修了展でむくりこくりという恐ろしいものの象徴として、クジラを描いていた山嵜さんが今回は、風景や波、クジラと空を重層的に、しかもグラフィカルな手法で描いてきた。
様々な新素材を取り入れた実験的な作風もおもしろい。
折笠さんのペインティングは、リズム感や一触即発の危機感や生々しさを感じるライブ感覚が魅力となっている。
波打ち際に打ち上げられた人体の一部が空間に浮かび上がる効果も、背景の薄墨によっていきている。
先月、父が亡くなり、肉体が焼かれ、骨になり、父の魂はどこにいってしまったのかと不思議になった。
昔のアルバムに小さな赤ちゃんを抱く父の若い姿。
そして、私が生まれる前の父の写真を見ながら、私の知らない父がいるという不思議。
父の人生に思いを馳せるたびに、寄せては繰り返す波のように悲しみと慰めの感覚に襲われているが、
そういう私の今の心境に寄り添うような2人の絵。
私の今の素直な感情を引き出せる2人の絵。
アートを鑑賞する醍醐味は、自分の今の気持ちに寄り添って、悲しみや慰め、喜びや希望を感じる感覚を追体験させてくれることだと憶う。


2017年10月09日

展覧会の印象記  紋谷 幹男(もんや みきお)さんから

藤野翔子の展示エリア。

日本画による寒色系色彩の抽象表現。
全体に、流れ、凍結など、
時の移ろいと、水の振る舞いが底流に感じられます。

独特な感性です。

未来、あるいは過去といったものが、
確かにに存在しているはずという
イメージが静かに広がっていきます。

緻密な描写で、
何かが生きているように描かれ、
不思議な温かさが感じられる。
そんな印象でした。

展覧会の印象記  紋谷 幹男(もんや みきお)さんから

阿久津真那の展示エリア。

野生の大型動物が疾走する様子を、
真横から、大画面に描いています。
色は使わず、白から黒の諧調だけで表現しています。
さらに、地面や背景も描かれませんので、
走るという「動き」の純化のようです。

画家の自然の創造物への畏敬の念、感嘆が、
重みある空気感となって画面を包み込んでいます。
動物の疾走と呼応するようにたなびく空気の動き、
振動までが表現されている。
そんな印象でした。

2017年10月13日

猫ギャラリー

    〜猫ギャラリー始まる〜

2017.10.11、京橋三丁目にある「アートスペース羅針盤」で開催されている「伊藤清子展(会期 : 10/9〜10/14)」を拝見しました。


いったい何枚の絵が展示されているのか数えるのも大変なくらい展示されている。世の中には、猫カフェというのがあるが、ここに描かれた猫たちは彼らがモデルであることが多いという。素晴らしいのはその表情の豊かさである。作品のなかには「大首絵シリーズ」というのもあるのだが、そのシリーズに限らず、どの作品も猫顔が「ドアップ」で「どや顔」である。その猫たちの視線が360度で押し寄せてくるから堪らない。いやはや凄い迫力で、猫好きでなくてもその存在感に畏れ入るだろう。特に、セルフポートレートの次の添付写真2枚(背景が赤と黄色の大型作品)は秀逸である。猫というのは犬と違って小動物であるせいか、全身像で現されることが多いが、この2枚の顔面ど迫力は空前絶後のデュオ・ポートレートである。存在感という言葉は彼らのためにあるといっても過言ではない。おまけに「可愛い」。我が家にも猫はいるのだが、主人を無視した「唯我独尊」の行動が、猫と飼い主の距離感としては好きだと言う方も多いと思うが、この展示会場の猫たちは距離間なんてなんのその、これでもかとすり寄ってくる。絵画という世界のなかでしか味わえない夢のような"cat world"である。なお、猫ちゃんのことばかり書きましたが、作品のモデルには添付写真でご覧いただけるように「ワンちゃん」や「ウサギさん」「アヒルさん」等も登場します。
 追伸、オーナーの岡崎さんに聴いたところでは、千駄ヶ谷の佐藤美術館で「〜現代作家70名が描く、つくる〜吾輩の猫展(会期 : 11/7〜12/24)」があるそうで、勿論「伊藤清子」さんも出品するそうです。

初心に帰る

羅針盤が1999年の3月にオープンし、3月12日に父の兄にあたる隆善伯父さまからお便りをいただき、時々読み返して初心に帰っています。
伯父さまは既に他界していますが、小学校の先生でした。

各地から春の息吹の便りがテレビの画面にいろどりを添えてくれています。
そこへ、すばらしい便りが飛び込んできました。
それは、「アートスペース羅針盤」の開廊の案内状です。
わが姪で美の世界にかかわる人が出ようとは全く夢みたいな話です。
古代から世界中の人類の先祖たちは、「真」「善」「美」を追求してきました。
私の父は僧侶でしたから、善の世界を歩んできました。一族に名前だけ善をいただいている者が何人もいます。
真理の追究は学問の世界です。
古代エジプトのピラミッドの中に足跡がたくさん残されています。
ルネッサンスに見られる美の世界への人々のあこがれと多くの遺産は心の糧として如何に美を求めたかを示していますね。
このごろ週刊アートギャラリーが発刊されています。7号まで出ましたので、その度に書店に出向いて求めています。「巨匠達の作風に迫る」と6号のピカソのところに出ています。
美術史はよく知りませんでしたから、少し勉強してみようと思ったからです。
もし、近かったら現代の画家の作品を見に行きたいところです。人々の暮らしの中に潤いと安らぎを与えるものに美術の世界は大きな働きがあります。リストラと高物価の中であくせくしている現代人の心の中に必要なアートのニーズは今後益々大きくなるでしょう。
西洋でも中国でも日本でも権力の世界はわずかしか残ってはいませんが心の奥に深く入り込む宗教や藝術の世界は後世に残っています。
将来性のある仕事を選んだこゆちゃんのけい眼に敬服します。
古人のことばに「天の時」「地の利」「人の和」とあります。
前の二つはうまくできているので残された「人の和」を大きく育ててあせらず、じっくり取り組んでください。
信用が第一歩です。目先の利に走らず、客の立場に立ったサービスと誠実さで経営していけばきっと成長すると思います。育てたものを社会に還元するよう画廊から更に進んで美術館目指してがんばって下さい。


2017年11月14日

金城徹展 鉄錆の魅力

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金城さんは沖縄からのメッセージを鉄錆に託して、その痕跡を作品にしています。
素敵な作品です。

2017年11月16日

飯田文香展のレヴュー

紋谷幹男が画廊巡りの印象を綴っていきます。

人物や背景が緻密に描き込まれた日本画ですが、
実際の状況を再現したのではなく、
画家の独特な感性によって再構築され、
画面上だけの世界が生まれています。

大画面上のめくめく多様な出来事を、
一つ一つ追ってゆく、
贅沢な鑑賞体験ができます。

写実的な実際の事物の関係の中に、
装飾的な文様が大胆に挿入され、
日常の風景は、妖しい非日常性を帯び始め、
空間の幻想性が意識されます。

主体や背景といったヒエラルキーは意図的に無視され、
構成要素全ては等価に扱われ、
結果、美しく、理解が可能な混沌という
刺激的な事態が起こります。

特定の事物そのものではなく、
私たちが日常と呼んでいるこの世界に共に在るであろう
深淵を知らしめてくれる。
そんな印象でした。

2018年11月02日

山嵜雷蔵展 レヴュー

展覧会タイトルは、ーEATHBOUND ー。

ベックリン、フリードリヒあたりの、
ロマン主義の画家の作品が思い浮かびます。

一見、再現的に描かれた風景ですが、
作家の内面を見つめ、想像力を開放しています。
結果、訪れることができないが、
どこかにあるに違いない、という、
ぞくっとした予感を誘います。

重量感あるマチエール、刻まれた痕跡などが、
作者の情念と置き換わるように、
力を生み出しています。
劇的な構成による緊張感に満ちた画面のなかに、
叙情的な調べが渡ります。

形態や色、装飾的要素が錯綜する混乱の先に、
独自の絵画的豊かさが漂う。
そんな印象でした。

山嵜雷蔵展   http://monyaart.jugem.jp/?eid=3466

■紋谷 幹男(もんや みきお)

2018年11月13日

向こう側

戸田礼子さんの最新作は、「有刺あした」である。
夕焼けの向こう側には理想郷があり、有刺をくぐりぬけて、あちら側の世界に飛び立つ鳥を描いた作品から、暗黒と未来への希望を示唆したものらしい。

アートスペース羅針盤も1998年に有限会社を立ち上げたので、約20年の歳月を経て、今がある。
現状は、厳しいが未来への希望と夢を与える仕事をしているという自負をもちたい。

2018年12月15日

紋谷 幹男(もんや みきお)さんから

会場風景。
展覧会タイトルは、ー環る景色(めぐるけしき)ー。

いかにもな、山水画風の大作です。
色は使われず(僅かに黄色だけが認められます)、
山水画アイテム(山岳、樹木、岩石、河川)の組み合わせで
架空の風景を成していますが、
肝心の全体像には、
伝統的な山水画に潜む、神仙や霊獣の予感や、
しっとりとした心象風景が見出せません。


表現における言語として山水画を取り込んだものの、
精神性に「深入り」せずに、
不思議な雲の渦巻や、
スケールアウトした石ころなどを、
さりげなく取り込むことで、
抽象表現の一形態としてドライに割り切っているようです。

結果、山水画に似た風景だが、
キリコにおけるアーチの並ぶ古典的な建築と同様、
人気のない、時の流れの止まる、
非日常的な世界を出現させている。
そんな印象でした。

2019年07月02日

辻本健輝展   http://monyaart.jugem.jp/?eid=3833

■紋谷 幹男(もんや みきお)プレヴューより

展覧会タイトルは、ーこの雨のようにー。

モチーフは若い女性。
さっさっと絵筆を走らせ、
若い女性の姿を通して、
その女性の内面を予感させながら、
その場の空気感を表現しています。

ジャズでスタンダードの旋律を追いながらアドリブするように、
女性像の再現という旋律を追いながら、
この場だけの特別な空気感をアドリブのように、
展開させています。

真摯に技術を磨き、
仕事を積み重ねることで、
新鮮な絵心は、味わい深い作品として昇華する。
そんな印象でした。

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