« 普天間基地問題 | | 田村正樹展 »

生まれてる

「こゆさん、今日すごいいいことがあったんです。」というので、何かと聞いてみたら、玄関にミミズのような、小さいもの、しかもひょろ長いものがいるという。
近づいてみると、それはヘビの子供。
「いいことありますよねえ。。。。」というが、お金でも落ちていたのかと思うのが凡人。さすが作家さんは違う。
今日も、「笑われるかもしれないけど、今日はいけません。すずめのひながいて、えさが見つからないので見つかるまでは、出掛けられないと。」
ほほう、この一週間の間に、ヘビの子供が生まれ、雀の子供まで生まれた。
私には、ヘビの夢を見たら、お金が入ってくるといいなあと思うくらいだが、どうやら、展覧会よりも重要な出来事らしいのである。
金の雫ふるふると題する上野真由の作品は、ブータンの和紙にドローイングされた作品で、ちょうど
来られないと連絡が彼女からあったので、作品を今一度見てみた。
そこには、何か蠢く生き物の姿があるように思えてくるから不思議だ。
もともと、神話的世界に題材を求めて作品化してきたが、この頃は、立体のようなものも手がけるので、だんだん空想的、妄想的世界も現実味を帯びてきてしまったように感じるのは私だけか?
和田奈緒美さんの絵画は、細胞分裂のようなミクロの世界を描いた作品だが、生命の誕生を身体的、感覚的に表現されているように感じる。
テクニックではない、自分を見つめる大いなる畏敬の念が感じられてならないところが、魅力だ。
作品も作家の子供のようなもので、作家の産みの苦しみからしか生まれないが、ヘビの子どもはヘビからしか生まれず、雀の子供は雀でしかない。
無から生まれた大いなる作品に畏敬の念を持って見ることが出来れば、作品鑑賞はイマジネーションの宝庫となる。

 


  〒104-0031 東京都 中央区 京橋 3-5-3 京栄ビル2F
TEL&FAX 03-3538-0160

E-mail info@rashin.net