« すきずき展 その2 | | 長期の不在 »

手塚 葉子 展

手塚さんは、二回目の二年ぶりの個展である。
みかんの皮を干して,インスタレーションをやると豪語していたが、やはり、所詮,みかんの皮。
腐ってカビが生えてきたと,あたりまえなことを大真面目に云っていた。
その後、ある有名な会社の広報部に正社員として入社した。
仕事は忙しく、だんだん制作から遠のくのではないかと心配した。
しかし、その心配はご無用で、ますます迫力が出て、勢力的になっているようだ。
搬入の日は、ボランティアの学生さんが来た。
学芸員実習の講義をとっていて、画廊でも実習体験がしたいというのだ。
21歳の茶髪。
今どきのおしゃれなイケメンくん。
しかも、頭のいい子で、物わかりがよく,気の短い私を怒らせることはなかった。
それどころか、終わってから、すぐにお礼のメールが来た。
楽しかったと。
性格もよく、もしかしたら、すごいやつになるかもと予感さえした。
作家の葉子ちゃんも喜んでいたので、仕事ははかどる、テンションは上がる、楽しい気分で盛り上がる、いいことばかりだ。
お酒は飲まないらしいので、ややつまらない。
なので、今度は豪華なお弁当をごちそうしよう。
自分からボランティアを申し出る心意気がいいではないか?
日本男子も捨てたものじゃないな。
すぐにお金を欲しがるさもしい精神の貧困な若者が増えている昨今の世の中で、額に汗して学ぼうという殊勝な心がけがいいではないか?
お金より素晴らしい宝物を彼にあげたいなあ。
それが何十年後かに実を結ぶような素晴らしい学びになるように。
私もやっと年齢をへて、そういう宝物を授けてあげられるような人脈をもてるようになったと思う。
人生の後半をどう生きるか、私もそろそろ試される年齢にもなったのである。

 


  〒104-0031 東京都 中央区 京橋 3-5-3 京栄ビル2F
TEL&FAX 03-3538-0160

E-mail info@rashin.net