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赤い服

10月に父の見舞いに帰省した時に、友人が「こゆのおかあさんがあそこにいたよ、ここにいたよ」という。どうして、うちの母と分かったのかなあ?と疑問に思ったら、うちの母はいつも赤い服を着ているから、目立つ。
靴から帽子にいたるまで、全て赤いので、どこからでも、うちの母と知れる。
痴呆症になったわけではない。
前から赤いものが大好きで、全身を赤い衣類で覆うから、12月になると、まるでサンタクロースみたいいだ。
つい近年まで、2〜3ヶ月に一回は、洋服の詰まった大きな段ボールが送られてくる。
白いズボンだけでも、10本以上もあるし、同じ服も結構ある。
驚くなかれ、これが大学生の頃からずっと続いているのだ。
「いつになったら、やめてくれるのかなあ」と思っていたが、なかなか問屋はおろさなかった。
洋服を買うのが大好きなのだ。
娘は、着せ替え人形にしたいほど、かわいいということだからか?
小さい頃、洋裁が得意な母は、自分と私と弟のお揃いの服を作っていたし、大島紬も織っていた。
だから、無駄に高級な大島紬もタンスの肥やしになっている。
溢れるほどの服に囲まれて、自分で好みの服を買うようになったのは最近だ。
毎日、ファッション雑誌を見ては研究している。
母のコレクションは、フクロウ。
幸福を呼ぶらしい。
祖父も焼き物のコレクションをしていたらしいし、祖母の実家もコレクターだ。
ものを集める趣味は遺伝するらしい。


 


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