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最終日のこと

最終日のこと,この頃、お見えになるお客様が『あれ、わっからねえなあ,宇宙かい?』と一言。
「いつも仕事でもやもやしてんだからさあ、この絵を見るとますますもやもやするよ」とかいいながら、片隅の椅子に腰かけてから、数分が過ぎた。さらに奥の部屋にかけてあった過去の作品が一目見て、お気に召したらしい。電気をぱっと消すと,絵は全く見えなくなるんです、というと、何のことかわからないらしいので、フレームのアクリル板の方に樹脂で溶かして輪郭をつけたひと形の部分が,ライトを照らして影となり、描かれたように見えるんですよとライトをつけたり,消したりしながら、説明。絵よりライトの設置の方にお金がかかるなどと笑いながらいっていた。『びっくりしたなあと』大笑いしながらのやりとり。そして、購入。さらに、お客さんは、草間弥生をはじめて見た時の感動と一緒の心のときめきを今、屋宜久美子の作品に感じたそうで、えんえんとどんな気持ちになったのか,語り始め、あの50号もある4点の連作を買いたいと言い出した。今回の展示で彼女の作品に魅了されてしまった多くのコレクターさんがたくさんいた。屋宜久美子は私が思っていたとおりの本当に素晴らしい感性の作家であることが証明された展覧会になった。
以下は、ギャラリーレビューの記事である。
これを毎週10年近く書いてきたSさんのレヴューはまさに私が感じた通りのことをこのように素晴らしい文章にしてくれた。的を得て、さらに読む人にもはっと気づかせてくれる詩的な文章である。自分が書けないので,以下、引用させていただきました。

屋宜久美子@アートスペース羅針盤
<06/23/08〜06/28/08>
深海と体内、それに宇宙をイメージして制作したという。皮膚のような表層的イメージは、ひかりを透過して深層へとみちびく。
筆をつかわず、キャンパスを上下して絵具を移動させる。偶然の軌跡がもたらす造形である。それにしてもマチエールの平滑なつくりは目をみはる。
自然界との調和をもとめるかのように、アクリルケースにメディウムをたらした作品もある。そのシルエットが自然の光景をつくる。そのナイーブなイメージが魅力だ。


 


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